2月10、11日、幕張メッセにて、ゲームファンとゲーム大会の祭典「闘会議2018」が開催されました。闘会議は2015年から開催され、今年で4回目を数えるイベント。ユーザー参加型のイベントで、ゲームの大小、アナログ・デジタルを問わず、毎年さまざまなゲームの大会が開かれます。
今年は例年とは様相が異なり、単なるゲームイベントとしてだけではなく、別の側面でも注目が集まっていました。それは、複数あった日本のeスポーツ関連の団体がJeSU(日本eスポーツ連合)に統一され、そこからプロライセンスが発行される大会が開催されることになったからです。
今回のプロライセンスの発行の名目は、日本では景品表示法、風俗営業法、賭博罪の3つにより、高額賞金を出せない状況を打破するため。つまり、日本人で事実上のプロゲーマーは何人もいましたが、ライセンスで認められた選手が生まれ、高額賞金のeスポーツ大会が開催されるようになるというわけです。ただ、この方式でも若干不明瞭な点があり、当初のJeSUの発表内容だけでは、いろいろな憶測が飛び交ってしまっている状態でもありました。
その懸念などを払拭すべく、闘会議2018のオープニングイベントとしてJeSU闘会議発表会がステージの1つで行われ、JeSU代表理事の岡村秀樹氏と理事の浜村弘一氏が登壇。ステージでは司会者から巷で疑問視されているいくつかの質問が投げかけられ、両登壇者はそれに丁寧に答えていました。
プロライセンスはプレイヤーの活躍の場を制限するものではない
プロライセンスの発行については前述のとおり、現在日本の法律ではeスポーツ大会にて高額賞金を出す・受け取るができないという状況に対して、プロとして参加することで、法律を回避するという名目がJeSUによってすでに発表されています。
ただ、ライセンスに関しての立ち位置がよくわかっておらず、JeSUが発行するプロライセンスを受け取ってしまったら、JeSU認定大会以外に出場できなくなるのでは? という懸念もありました。その質問に対しては、「ありえない」と回答。あくまでもゲームプレイヤーの活躍の場を増やすためのJeSUなので、これまでに活動してきたコミュニティなどを阻害するつもりはなく、話があればサポートしていきたいとのことです。
また、闘会議2018では6つのタイトルのみプロライセンスが発行されたことについても、「今回のタイミングに間に合わなかっただけで、これからどんどん増えていく、現在30~40社と話をしている」とのことでした。ゲームについても特にカテゴライズやタイトルの選定はなく、「競技性があるものであれば認定する」という発言も。例えば、対戦するだけでなく、ゲームのクリアまでの時間を競うタイムアタックなども入るとか。
そのほか、オリンピック種目としてeスポーツが入るのを目的とし、JOCに加盟を申請するなど、今後もさまざまな活動もしていくという話もありました。
現状の法律で高額賞金を出すためには、プロライセンスの発行だけが唯一の道であるかどうかもわからないなど、まだ問題点は多くあり、不明瞭な点も多いですが、個人的には、とりあえずは今後の活動を見守るのが1番ではないかなという印象でした。
「パズドラ」や「モンスト」などでプロライセンスを懸けた大会が開催
闘会議2018の各ステージでは、JeSU認定のプロライセンスを発行する大会や、先行してプロライセンスを発行された選手による初の高額賞金の公式大会などが開催されていました。具体的には、「パズドラ」や「モンスト」「ウイイレ2018」「鉄拳7」の大会では上位入賞者にプロライセンスが贈呈され、また、「ストリートファイターV」と「鉄拳7」ではプロライセンス保持者によるトーナメントも開催され、優勝者には賞金200万円が贈られました。
eスポーツでも「観戦する楽しみ」という土壌はできつつある
eスポーツというと高額賞金が注目されがちですが、必ずしも賞金が出るものばかりではありません。「スプラトゥーン2」によるSplatoon甲子園2018や「大乱闘スマッシュブラザーズ for Wii U」によるniconicoチャンピオンシップ2018などは賞金が発生しない大会でしたが、闘会議2018のなかではトップクラスの盛り上がりを見せていました。
特に「スプラトゥーン2」はプレイ人口も多く、他人がプレイする画面を見ていても状況がわかりやすく面白いため、観戦タイトルとしてはかなり完成度が高いものです。そして、大会常連チームなどもおり、観戦者のなかにはチームのファンも見て取れます。
「ストリートファイターV」にしても、出場したプロライセンス保持者も有名プレイヤーで、それぞれにファンがいます。ほかのプロスポーツと同様、eスポーツでも観戦する楽しみというのはすでにできつつある感じです。
日本はeスポーツ後進国と言われており、実際に遅れをとっています。2022年アジア競技大会ではメダル種目として採用も決まっていますし、そろそろ巻き返さないとまずい時期にきているのかもしれません。とりあえず、JeSU公式のeスポーツ大会は今後も定期的に開催されるようですので、一度その雰囲気を体験してみてはいかがでしょうか。