冬になれば一面銀世界のロシア。子どもの雪遊びのなかでも不動の人気はやはり雪合戦です。しかし、スノーボールを作っていると、遊びが始まる前に子どもの手はかじかんでしまって遊びどころではないこともしばしばあります。
また、2~3歳の子どもはまだ手が小さくてうまくスノーボールを自分で作れません。毎回、親にスノーボールを作ってほしいとせがみに来るのですが、親も極寒のなかで手袋をベタベタにしながら作りたくないのが本音。
ところが、ここロシアではそのような悩みを解決する道具が3年前に登場して、子どもたちから絶大な人気を誇っています。それは、ぎゅっとはさむだけでスノーボールが作れる「スノーボールメーカー」です。
ロシアでは公園に行けば、いまやほとんどの子どもが持っているといっても過言ではないこのスノーボールメーカー。ロシアの冬の外遊びに欠かせない本製品はプラスチック製で、はさみのようになっており、先端はスノーボールを作るために球状になっています。
筆者のマイ・スノーボールメーカーの重さを測ってみたところ90グラムと、携帯電話よりも軽く、小さい子どもでも取っ手部分を握って自分で簡単に持ち歩くことが可能です。また、スノーボールの作り方も、雪を挟むだけというもので、子どもの弱い力でも簡単にスノーボールが作れ、手がかじかむのを防いでくれます。
このスノーボールメーカーで目を引くのは、売り場や公園で目立つ鮮やかなビタミンカラーです。ロシアでは冬の間、日照時間が極端に短く、一日中グレー色の空が広がるのですが、見ているだけで元気になるような色とりどりのビタミンカラーの本体はとても目立ちます。色は青、緑、ピンク、黄色、赤などがあり、最近では片方ずつ異なった色のカスタム商品もでているそうです。また、先端の部分の形も丸だけではなく、お花やミニオンなど様々な形が作れるシリーズも出てきています。
スノーボール1個を作るのにかかる時間はなんと2秒。その間手が雪に触れることはまったくありません。短時間でたくさん作れるので、スノーボールを積み木にしたり、並べてボーリングしたりするなど、アイデア次第で新しい遊びが可能となりました。スノーボールを作るために開発された商品ですが、筆者の家では土遊びでも使っています。少し湿った土が必要ですが、挟むだけでとてもよい泥団子ができるので、子どもたちは一年中スノーボールメーカーを手放しません。
さらに特筆すべきは、1個あたり100~200ルーブル(日本円で200~400円)というリーズナブルな価格です。筆者には子どもが2人いますが、1つずつ買ってあげてもいいかなと思えるほどです。その手ごろな価格ゆえ、ロシアの子ども1人につき1個は間違いなく買っているのではないかというほど普及し、外遊びの際このスノーボールメーカーを見ない日はないといってもいいほどです。
筆者の家では、玄関先にいつもこのスノーボールメーカーを置いて、いつでも持ち出せるようにしています。ふわふわのパウダースノーにスノーボールメーカーを差し込んで、雪をすくっていくのはさながらアイスクリーム屋さんのよう。雪合戦はもちろん、アイスクリーム屋さんなどのおままごとをしたり、積み木のように積んで、誰がどれだけ積めるかなどを競争したりしています。
こちらは、友人が教えてくれた、スノーボールで囲ってキャンドルを灯したもの。これはロマンチックなアイデアで大人も楽しめそうです。シンプルだけれどもアイデア次第で広がりがあるこのスノーボールメーカーは子どもたちだけではなく大人も魅了しそうです。
雪国ならではの困りごとをシンプルに解決したスノーボールメーカーは、ちょっとした発想の転換で子どもの雪遊びシーンを大きく変えました。日本ではなじみがないスノーボールメーカーですが、北国やスキー場などで子どもたちの心をつかむための玩具として活躍してくれそうです。