クアラルンプールからクルマで1時間ほど、高原リゾートとして人気の「ゲンティン・ハイランド」。道中に見る熱帯の森林地帯から突然、カジノやホテルなどの娯楽施設が立ち並ぶ、巨大な街へと一気に拓ける風景は圧巻です。その手前にある中華風の仏教寺は絶景スポットとして有名。しかし、そのお寺は別名「地獄寺」と呼ばれており、さらに奇妙なことに境内にはなぜか誰でも知っているアレがあるのです。それは一体……?
一見するとごく普通の東南アジアの仏教寺だが……
地獄寺の正式名称は「清水岩廟」。もともとは山頂にあるカジノを中心とした「ゲンティン・ハイランド」を興した華僑の富豪リム・ゴートン氏が私財などを寄付し建立した寺です。ゴートン氏のビジネスが大成功を収めたことから、それにあやかろうといまでは世界中から参拝者が訪れる寺になっています。
なかに足を踏み入れると、八重の仏塔や大仏、仏殿などが、整備された敷地内に点在しており、ゆっくりと拝観できます。また、寺自体が断崖絶壁に建てられていることから、ここは熱帯雨林のジャングルを眺められる絶景スポットでもあるのですが、一体なぜ「地獄寺」と呼ばれているのでしょうか?
その理由は、「園世勤((Journey To Enlightenment)」というあるアトラクションにあります。中国古来の言い伝えをもとに作られたという「10大地獄の部屋(10 Chambers of Hell)」です。
これは「生きている間に悪いことをすると地獄でこんな目に遭うよ」という教えを、閻魔大王とその手下たちを中心にジオラマ化したもの。この「the 地獄ワールド」が散策順路に沿って繰り広げられるという、ちょっとカオスな世界観になっています。公式サイトを見ると「子どもたちも興味津々!」のようなことが書かれてあるのですが、実際は夜中にトイレに行けなくなりそうな世界が広がっています。
このような、ごまかし的な感じも含めて東南アジアらしさが感じられるのが地獄寺の魅力です。そして、敷地内にはいかにもひなびた感じの飲食店やお土産店があったりします。ゲンティン・ハイランドの手前にあるため、観光客はそれなりに入っているのですが、平日などは閑散としていることもあります。
そんなローカル感たっぷりの雰囲気のなか、ふと違和感を感じるものがあります。「えっ、あの緑の人魚のロゴは?」