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2016/4/17 8:59

走れる機構がてんこ盛り! 優等生ハイブリッドミニバン3車種

ミニバン市場は、かつてのブームも終焉を迎え、近年は選ばれたモデルが生き残っている状態。現在のトレンドは、トヨタのアルファードに端を発する“高級車志向”で、快適装備や安全装備はもちろん、低燃費技術まで盛り込まれています。走行性能も安全性も優秀な3車種を自動車ライター・小野泰治さんがチェックしました。

 

私が採点しました!

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自動車ライター 小野泰治さん

国内外の最新モデルを数多く試乗しインプレを実施。ミニバンでも運転して楽しい性能を求める、走り重視派です。

 

いまクルマで最も総合性能を求められるのがミニバン

ミニバンの魅力は、室内が普通の乗用車より圧倒的に広いことにあります。ですが最新モデルでは、最高水準の燃費や安全性も必須。ライターの小野泰治さんは次のように語ります。

 

「少し前なら大柄なミニバンだと燃費が多少悪くても許されていましたが、現在では乗用車レベルかそれ以上の経済性がないと支持を得られません。オデッセイが新たにHVを設定したり、メルセデスのVクラスがディーゼル化されたりしているのはその現れです」(小野さん)

 

安全装備の充実化が急激に進んでいることもトレンドのひとつです。

 

「大人数を乗せるクルマですから当然といえば当然の流れですが、いまや最低でも衝突被害軽減ブレーキや車線逸脱警報が選べないと商品として失格です。また、死角の多いボディ形状なのでパーキングアシストなども今後は当たり前になるでしょう」(小野さん)

 

中が広くて経済的、加えて安全性も高い最新ミニバンは、いまやもっとも高い総合力が要求されるカテゴリといえます。

 

 

ハイブリッド仕様を追加して上質感と低燃費性能を両立

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ホンダ

オデッセイ ハイブリッド

364万6400円〜400万円

【自動ブレーキ:搭載】

【車線逸脱警報:搭載】

【構造:低床】

【燃費性能:26.0㎞/ℓ】

ブームの立役者として、1994年以来20年以上も販売を続けている乗用車ベースのミニバン。5代目となる現行型は2013年に登場し、歴代モデルで初めて後席スライドドアが採用されました。今年1月に待望のハイブリッド仕様を追加。

 

【SPEC(ハイブリッド・アドバンスドパッケージ 7人乗り)】

全長×全幅×全高:4830×1820×1695㎜

パワーユニット:2.0ℓ直列4気筒エンジン+モーター

最高出力:145PS

最大トルク:17.8㎏-m

 

室内空間を犠牲にしない配置

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バッテリーを1列目座席下に配置してスペース効率を最大化。独自の低床構造と相まって広い室内空間を確保しました。

 

上級グレードまでハイブリッド化

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ベースモデルに加え、高級感のあるデザインを備えた上級モデル「アブソルート」にもハイブリッド仕様を採用しています

 

装備を充実させて快適性が向上

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ハイブリッド追加と同時にベースモデルも改良されています。大型アームレストやプラズマクラスターエアコンなどが採用されました

 

【プロの5項目採点!】

安全性はもう一声ですが燃費は秀逸

室内広さ:16

乗降性:15

快適性:16

走行性能:18

安全性:13

合計78点

「大柄なボディながらHVの燃費効果は絶大。走行性能が高得点なのは、その経済性を評価した結果といえます。一部グレードで安全装備がオプションなのは減点対象です」(小野さん)

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ホンダ独自のハイブリッドシステム「スポーツ ハイブリッド i-MMD」を搭載しています。

 

 

国産ミニバンに匹敵するフレンドリー機能の充実ぶりが光る

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フォルクスワーゲン

ゴルフ トゥーラン

284万7000円〜376万9000円

【自動ブレーキ:搭載】

【車線逸脱警報:搭載】

【構造:低床】

【燃費性能:18.5㎞/ℓ】

11年ぶりにフルモデルチェンジした、輸入車には珍しい7人乗りミニバン。先代に比べてサイズを拡大し、室内空間を広げています。ハイブリッド車はないですが、小型ターボエンジンでそれに匹敵する良燃費を獲得しました。

 

【SPEC(TSI コンフォートライン)】

全長×全幅×全高:4535×1830×1660㎜

パワーユニット:1.4ℓ直列4気筒エンジン+ターボ

最高出力:150PS

最大トルク:25.5㎏-m

 

新開発エンジンで燃費効率もアップ

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小排気量の1.4ℓターボエンジンを採用し、ボディ重量を軽量化。低燃費化にも貢献しています。

 

快適性と安全性ともに向上

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室内が広くなり乗員の快適性が向上しました。衝突被害軽減ブレーキなどを採用し、安全性もクラストップといえます。

 

【プロの5項目採点!】

広くない代わりに走りと安全性が抜群

室内広さ:12

乗降性:13

快適性:16

走行性能:18

安全性:20

合計79点

「室内の広さは小柄なサイズ相応ですが、それだけに走りの質はミニバン離れしています。安全装備も充実し、2列目をチャイルドシート内蔵にできる点も魅力です」(小野さん)

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段差のないラゲッジフロアを実現するなど、高いユーティリティ性能を誇ります。

 

 

自動ブレーキ機構を新採用した高級感あふれるミドルサイズミニバン

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トヨタ

エスクァイア

268万8218円〜325万5709円

【自動ブレーキ:搭載】

【車線逸脱警報:搭載】

【構造:低床】

【燃費性能:23.8㎞/ℓ】

売れ筋の5ナンバーモデル・ノア/ヴォクシーをベースに、存在感のあるデザインや内装の高級素材で上質感を高めたミドルサイズミニバン。今年1月に衝突回避支援パッケージが追加採用され、安全性を高めています。

 

【SPEC(ハイブリッドXi)】

全長×全幅×全高:4695×1695×1825㎜

パワーユニット:1.8ℓ直列4気筒エンジン+モーター

最高出力:99PS

最大トルク:14.5㎏-m

 

室内スペースも荷室も最大級

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低床フラットフロアの採用で、クラス最大級の室内空間を確保。開口部が広く、使い勝手に優れる荷室スペースも備えています。

 

乗る人を選ばない乗降性

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両側スライドドアの乗り込み口は、低いうえにステップ(段差)がなく、子どもでも乗り降りしやすい設計になっています。

 

【プロの5項目採点!】

自動ブレーキの標準化がトピック

室内広さ:20

乗降性:18

快適性:16

走行性能:12

安全性:15

合計81点

「5ナンバーボディながら、十二分な室内空間を確保しています。衝突被害軽減ブレーキなどを全車で標準化したことも魅力といえます。ですが、なぜかサイドエアバッグはオプション……」(小野さん)

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7人乗りは、2列目に超ロングスライド機構を備えたキャプテンシートを採用しています。

 

【URL】

ホンダ http://www.honda.co.jp/

オデッセイ ハイブリッド http://www.honda.co.jp/ODYSSEY/

フォルクスワーゲン http://www.volkswagen.co.jp/ja.html

ゴルフ トゥーラン http://www.volkswagen.co.jp/ja/models/golftouran.html

トヨタ http://toyota.jp/

エスクァイア http://toyota.jp/esquire/