上部のクリップで紙を挟み、パラパラめくって確認するほか、硬質なボードの上では立ちながらでも筆記できる。そんな展示会の会場や屋外でのイベント時など、オフィスのデスク以外で活躍するファイルが、クリップボードだ。
一方で、クリップとボードの2パーツだけで構成されているため、立ったまま確認する、立ったまま筆記するシーンで面倒が多いのも事実である。上端のクリップ1点で紙を留めていることで、紙をパラパラとめくりやすい半面、筆記中にめくった紙が戻ってこないように手で押さえ込まなければならなかったり、“遊んでいる”紙の四隅が折れてしまったりするのだ。
1.めくったページを手で押さえなければならない……
2.ページがパラパラとめくれてしまう……
3.めくった紙を戻したとき、書類の角がヨレヨレに……
ならば紙を固定してしまえ、という発想
これをあたかも、一分の乱れもなくピシッとキープされた七三分けのように、風が吹いても振り回しても紙をしっかりとホールドし、バラバラになったりシワになったり汚損しないのが、キングジムから発売されたクリップボード、「マグフラップ」である。
キングジム「クリップボード マグフラップ」各950円(税込)
2箇所のフラップで紙を固定できるクリップボード。最大収納枚数は約30枚、スチール面に貼り付ける際は最大10枚まで。高さ325×幅227×厚さ18mm
http://www.kingjim.co.jp/products/file/brand/magflap
まず「マグフラップ」の表裏は、こんな感じ。
一見して通常のクリップボードとは異なることがわかる。では実際に、上記クリップボードの3つのウィークポイントをどのように解決しているか、検証していこう。
めくった紙は背面でホールド!
ウィークポイント1「めくったページを手で押さえなければならない」は、「背面フラップ」によって解決した。背面の中ほどにボディと同色のフラップを設け、めくった紙をこれで挟んで、フラップの左右上端に内蔵したマグネットで固定する仕組みだ。
これによって、めくった紙は手を離しても背面側でしっかりとホールドされるので、手は自由な位置に置けるし、筆記する際にはバランスのいい位置に手を置いて危なげなく支えることができるのだ。またマグネットの磁力は充分なので、紙に折り目をつけるなどしてめくる必要もない。
風でめくれてしまわないよう下部もホールド!
つづいて2「ページがパラパラとめくれてしまう」は、「底面フラップ」で解決している。ボード表側の下部にもフラップを備え、上下で紙を固定する。
下側も紙を固定することで、不意の風でめくれてしまうのを防ぐほか、ボックスや本棚などにそのまま入れる際に紙の端が折れてしまうのも防いでいる。また、使用しないときや紙をパラパラとめくりたいときは、裏側に折り込み同じくマグネットで留めておけるのもうれしい。
左右に長いクリップで四隅に死角なし!
上部のクリップをカバーする「全長クリップカバー」も、にくい配慮だ。これによって、3つ目のウィークポイントも解決できる。
左右幅いっぱいの長さがあるので、めくったり戻したり負担のかかりやすい紙の上部をくまなくカバーでき、紙の端がヨレてしまうのを防げる。
このように、マグフラップが紙を強固にホールドできるキモはマグネットとフラップだが、そのマグネットを上下左右に内蔵していることを活用した付加機能がこれ。
スチール面であれば接着するため、オフィスの仕切りや棚、ロッカーなどに貼り付け、掲示板として活用できるのだ。これはほかのクリップボードにはない新しい使い道である。
最後に、デザインや使い心地をチェックしておきたい。ビジネスシーンで使うアイテムは、カラーにも気を遣うものだ。
いずれも鮮やかになりすぎないようコントロールされ、独特のシボ感も相まって絶妙な色合いに仕上がっており、カラーを選ぶ楽しみとビジネスシーンで浮かないマナーとを兼ね備えている。またその表面のシボは、書き心地にも影響を与えている。
よくある硬質なプラスチック製のクリップボードは、重ねた紙の枚数が少ないとボードの硬さがダイレクトに伝わってしまい、ボールペンなどが滑りすぎて書きにくい。だが、マグフラップは表面にシボ加工を施したPPフィルムを貼っているため、硬すぎず柔らかすぎず、適度なタッチ感で筆記できるのだ。紙をホールドする以外に、筆記する際の使い心地にも配慮しているとは抜かりない。
以上のように、紙をここまで確実にホールドし、立ちながらの筆記の使い勝手に血道を上げたクリップボードが、かつてあっただろうか?徹底的な作り込みにはもはや、快感さえ覚えるほどなのである。