『これからがうまくいく! 40代選択の知恵』(佐藤綾子・著/学研プラス・刊)は、パフォーマンス学の第一人者として活躍している佐藤綾子さんの“生き方指南書”だ。
パフォーマンス学とは、人の中にある良いところを上手に表現できるようにするアメリカではじまった実践的な学問だ。佐藤さんはこれを日本人として初めて導入し、各方面で活躍する人々の表現技術の指導にあたってきた。
本書には心理学の確かな理論をバックボーンに、ちょっとした工夫で40代をもっと楽しくする方法がたくさん紹介されている。女性向きに書かれた本だが、よりよい40代を選択するさまざまなヒントは、男性たちにも大いに役に立つだろう。
コブつき大学院生、通訳、講師、主婦
今から30数年も前になるが、佐藤さんからいただいた名刺の肩書きには“コブつき大学院生、通訳、講師、主婦”と書いてあった。佐藤さんが処女作『愛して学んで仕事して』という本を出された後、お母さん雑誌の特集で彼女を取り上げることになり、編集プロダクションに入ったばかりの駆け出しの私がインタビューに向かったのだ。当時は、芸能人をはじめ、スポーツ選手、料理研究家、手芸家などなど、ありとあらゆるジャンルの人の元へ取材に行っていたが、今でもその日のことを鮮明に思い出せるのは、佐藤綾子さんひとりなのだ。それこそ自己表現の技術、パフォーマンスのチカラではないかと思う。
「私には5つの顔があるのよ」と佐藤さんは言っていた、母として、妻として、学生として、通訳として、講師として、一日の中で顔を使い分けていた。密着取材をさせてもらったのだが、時間の無駄がいっさいなく、すべてを完璧にこなしていたし、なによりも前向きな姿に私は感銘を受けたのだ。
40歳は新しいスタートライン
さて、人生の折り返し地点である40代になると、それまで順調にキャリアを重ねてきた人も、ふっと「このままでいいのかな?」と疑問を感じることがあるだろう。ここで、正しく、また、長持ちする選択の知恵を身につけられるかどうかが、今後の人生を左右していくのだ。
本書は、
第1章 「40代の選択」三つのヒント
第2章 大人の女性の人づきあい
第3章 仕事とどうつきあうか
第4章 家族とどうつきあうか
第5章 大人の女性は美しい
という構成になっている。では、いくつかを抜粋してみよう。