「キリン、レモン♪キリン、レモン♪」――世代を超えて愛され続ける国民的CMソングのひとつ、キリンビバレッジの「キリンレモン」。最近では、モデル・女優として活躍中の佐久間由衣さんが出演し、人気急上昇中の6人組アイドル・BiSHがこのCMソングを現代版にアレンジして歌うなど、何かと話題を集めています。なんとこの曲、1960年代から使われているんです。
そんなキリンレモンは、なんと今年で発売90周年。1928年生まれのキリンレモンは、同社初の清涼飲料水として発売されたのだそう。筆者も子どものころから幾度となく飲んできた飲み物ですが、「レモン味の炭酸飲料」という以外、あまり深く考えたことがありません。
今回、キリンの方に「昔のキリンレモンを飲んでみませんか?」というお誘いをいただき、いまと昔のキリンレモンの飲み比べをしてきました!
かつては超高級品だったキリンレモン
そもそも、キリンレモンってどうやって誕生したのでしょうか? 疑問をぶつけたキリンビバレッジ株式会社 マーケティング部 商品担当の二宮倫子さんからは、意外な答えが返ってきました。
「日本で炭酸飲料が飲まれるきっかけとなったのは、ペリーが持ってきたラムネです。1853年のペリーの浦賀来航時に幕府の役人たちがその存在を知り、炭酸ガスの入ったラムネを飲んで酔っ払ったような気分になったそうですよ。」
そのラムネが日本中に広まり、時を経てキリンレモンが発売されたのが1928年。明治時代に流通していたサイダーがりんご酒のような味だったのに対し、キリンレモンはライムやレモンなどの柑橘系の香料を使用し、まったく新しい清涼飲料水として話題を集めたのだとか。
「しかし、その値段は高く、1本25銭もしたそうです。当時、あんぱんが1つ5銭、ラムネ1本が2銭、大卒の初任給が50円程度だったことを考えれば、かなり高級だったことがわかります。」
いまでこそスーパーの特売でも買えるリーズナブルな飲み物ですが、昔はそうじゃなかったんですね。
秘伝のレシピを知っているのはなんとたった1人
清涼飲料水の味は、香料の調合比で決まります。最初のキリンレモンの味を決めたのは本庄杢三氏。他社に真似されないようにと、当時は彼だけがレシピを管理していたそうです。レシピが完成してからも香料の調合は極秘とされ、製造責任者が後継者を選んで伝授するという、驚きのスタイルでキリンレモンは作られ続けました。
「そのせいで今回の復刻版の開発は、『発売当時のレシピがない』という問題にいきなり直面しました。結局、社内に残された約30年前のレシピを手がかりに、当時を知る70~80代のOB社員に教えてもらって完成したのが、こちらのキリンレモンです!」
実際に飲んでみると、いまのキリンレモンに比べると、全体的に柔らかさを感じます。甘さもいまよりは少し強く感じるかも。キリンレモンが高級品だったことを聞いてから飲んでいるからか、上品さを覚える味です。
それに対し、いまのキリンレモンは、レモンの香りがはっきり感じられ、カフェで飲むレモン水のようなイメージ。筆者がイメージしていたキリンレモンは復刻版の味のほうが近く、いまのキリンレモンはかなり大人の飲み物という趣きです。
瀬戸内レモンピールエキスですっきりした味わいに
「キリンレモンってこんな味だっけ?」そう思うのも無理はありません。何故なら、キリンレモンは今年4月にリニューアルしたばかりだったんです。
「最大の特徴は、広島産の瀬戸内レモンのピールから一晩かけて引き出したエキスを使用していること。レモン果実を炭酸水に加えたような爽やかさがあり、大人も楽しめる味覚に仕上げました」(二宮さん)
もちろん、現在も誕生時から変わらない「人工甘味料、着色料、保存料不使用」を貫いており、天然水を使用するといった、品質本位な清涼飲料水のまま。
ボトルのデザインも発売当時のものをモチーフにして、瓶に見立てた容器や、キリングループの象徴である聖獣マークを使用するなど、新しいのに懐かしさを覚えるものになってます。このデザインに変更してからは、若い世代にInstagramでシェアされることも増えたそうです。
今回試飲させていただいた復刻版キリンレモンは、実はみなさんも飲むチャンスが! 復刻版と新しいキリンレモンの飲み比べセットが1万名に当たるキャンペーンが開催されているんです。応募締め切りは5月31日までなので、気になった人はぜひ応募してみてくださいね。