沖縄でよく食べられている「スパム」。青地に黄色で「SPMA」と書かれた缶詰で知られる食べ物です。実は、ハワイはスパムの消費量がアメリカのなかでも多く、年間700万個もの缶詰が食べられているのだとか。そんなハワイに根付く、スパムの食文化とはどんなものでしょうか?
第二次世界大戦後にハワイに浸透
スパムとは、「Spiced Ham」を短く言ったことば。ポークハムをベースに、塩、砂糖、コーンスターチなどをミックスして作られます。第二次世界大戦中、アメリカの軍隊ではランチョンミート(加工肉)が食糧として利用されていました。戦争が終了すると、ハワイの一般市民の間でもそのままランチョンミートが食べられるようになり、やがてスパムとして人々の間に浸透していったそうです。おまけに、日系人が多いハワイでは白米も食べられていたため、スパムとごはんという組み合わせでハワイの食文化として育まれていったのだとか。
現在、スパムを代表するメーカー「Hormel」では、ベーシックなものから減塩タイプ、ハラペーニョ味、テリヤキ味まで15種類以上がラインナップ。スーパーの缶詰売場では、かなりのスペースを割いて、それらのスパムが販売されています。
おにぎりなら「Spam Musubi」が定番
戦前、日本から多くの移民が暮らしていたハワイには、日本の文化が今も多く残っていて、おにぎりも「Musubi」と呼ばれて親しまれています。梅干しやシャケといった、日本でもおなじみのおにぎりと一緒に、必ず並んで売られているのが、スパムを使ったおにぎり。通称「スパムむすび」です。ハワイ出身のオバマ前大統領が、ハワイに帰省してゴルフを楽しんでいる最中、スパムむすびをオーダーしたと報じられたこともあります。
基本のスパムむすびの作り方は、厚めにカットしたスパムをソテーし、俵型にしたごはんの上にのせ、スパムとごはんが一体化するように軽くプッシュ。仕上げに数センチ幅の海苔をぐるっと巻きつけます。店によって、厚焼き卵やアボカドをはさんだり、ごはんにふりかけをまぶしたり、さまざまなバリエーションがあります。