【きだてたく文房具レビュー】段ボールの梱包テープを安全確実にカットするカッター
我が家はとにかくやたら段ボールが届く。これは夫婦ふたりして、通販およびネットオークションに過剰依存しているのが原因であり、最近では届く段ボール箱が、週に平均して10個を下回ることはない。
そういうこともあって、開梱作業用の梱包オープナーで「新製品が出た」という情報には、敏感にならざるを得ない。なにせ毎日1~2個はバリバリと開けてるわけだから、ちょっとでも使いやすい道具が欲しいのだ。
そこで今回は、先の4月に発売されたデザインフィルのオープナー「ダンボールカッター」を1か月間使ってみての評価をしてみたいと思う。
いきなり結果から言えば、評価は「とても良い」だ。
運用においてやや気になる点がないでもないが、それでも今後我が家における開梱作業の柱としてバリバリ働いてもらおう、と考えているぐらい性能の良いオープナーである。
まず使い方だが、コイン形のボディを中心からパックマンのように開くと、中からセラミック製の刃が現れる。
この開閉するときの動作がやや固い(開けづらい)のが、先に述べたやや気になる部分なのだが、これは家庭内で頻繁に使われる刃物であることから、チャイルドロック的な意味合いでこうなっているのだろう。単にヒンジの締め付けが強すぎるだけで、使ってるうちに開きやすくなるかな……とも思っていたのだが、少なくとも1か月程度の使用では、変化はなかった。やはりこういう仕様らしい。
で、現れた刃を段ボールの口を留めているテープ部に突き刺し、そのまままっすぐ滑らせるとテープがきれいに切れて開梱できるというもの。作業的には、これまでの梱包オープナーとさほど変わることはない。
では、このダンボールカッターのどの部分が「とても良い」かと言うと、まずこのセラミック製の刃がとても「ちょうどいい」のだ。
刃が段ボールに刺さり込む深さは約4㎜。この4㎜というのがちょうどいい。
刃先が1~2㎜ではやや物足りない。刃が短すぎると、段ボールの綴じ口の隙間にうまく入り込まず、上滑りをおこすこともある。かといって10㎜以上も刺さるようでは、段ボールの中身を傷つけるかもしれないという怖さもぬぐえない。
そもそも段ボールの厚さは規格が決まっており、日常的に宅配用梱包として多用されているのが「Bフルート」と呼ばれる厚さ3㎜のもの。引っ越し用や家電などを梱包する頑丈な「Aフルート」で5㎜厚。つまり刃先が4㎜というのは、中身を傷つける心配がほぼゼロで使えて上滑りもしにくい、ちょうどいい長さというわけだ。
さらにこの4㎜の刃は、海外からの荷物にも使いやすい。
海外便は途中で箱が開く危険性を考慮してか、ビニールテープでやたらとぐるぐる巻きに梱包されていることが多い(一般的に“ミイラ巻き”などと呼ばれる)。むろんしっかり梱包してくれることはありがたいのだが、厚手のビニールテープが重なった部分には、安全性を考慮したプラスチック刃の梱包カッターでは歯が立たない、なんてこともある。
対してこのダンボールカッターの刃は、切れ味もちょうどよく、刃先を指でなぞって皮膚が切れるほど鋭くはないが、テープには気持ちよく刺さるので、金属製のカッターを使うほどおっかなびっくりせずに、グイグイと多重ビニールテープに切り込めるのがとても気持ちいいのだ。
また、使う際のフォルムも“ちょうどいい”感が高い。コイン型を開いて山がふたつ連なったような形で使うのだが、この山の丸みが指をかけるのになかなかしっくりと来るのである。
つまり力をかけやすいということで、先の海外から届いたミイラ巻きも切りやすい。さらに刃がセラミック製の頑丈なものということで、多少はねじり込んだりひねったりという無理な動きも、フォルムとの合わせ技で効いてくるという寸法だ。
ちなみにボディ裏面には磁石を内蔵しており、冷蔵庫や玄関ドアに貼り付けることもできる。玄関先やキッチンというのは開梱作業をしがちな場所だけに、これも地味にありがたい機能だ。
こういう細かく気の利いた感じも含めて「とても良い」ので、開梱ツールに迷っている通販ヘビーユーザーは、一度試してみてほしい。サクサクと効率よく段ボールが開けられるので、ほんとに快適なのだ。
【著者プロフィール】
きだてたく
最新機能系から駄雑貨系おもちゃ文具まで、なんでも使い倒してレビューする文房具ライター。現在は文房具関連会社の企画広報として企業のオリジナルノベルティ提案なども行っており、筆箱の中は試作用のカッターやはさみ、テープのりなどでギチギチ。著書に『日本懐かし文房具大全』(辰巳出版)、『愛しき駄文具』(飛鳥新社)など。近著にブング・ジャムのメンバーとして参画した『この10年でいちばん重要な文房具はこれだ決定会議』(スモール出版)がある。