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2018/8/17 20:30

自衛隊の訓練中は脳内で「ガメラ2」を再生? ――激レアさんの自衛隊での日常がレアすぎる。

テレビ朝日「激レアさんをつれてきた。」で、「ただムッキムキになりたいだけでフランス外国人部隊に入った激レアさん」として出演し話題となった大仏見富士(おおふみ・とし)さん。彼の自衛隊時代の日常を描いた『自衛隊入隊日記 完全版』(学研プラス・刊)8月7日に発売された。自衛隊を経てフランスの外人部隊に入隊し、その後自伝エッセイの出版という、激レアな経歴をお持ちの大仏見さんにお話をうかがった。

 

 

工場のバイトから自衛隊へ

そもそもの始まりは、留学資金を貯めようとして始めたバイトだった。1日12時間、目の前に流れてくる部品に電動ドライバーでネジを留めていくという仕事だ。

 

「3Dグラフィックが全盛期だった時代、美術の短大で本格的に学んでからアメリカに留学しようと思っていました。そして、費用を貯めるのにとある工場でバイトを始めたんです。「1年に200万貯まる」なんて書かれていたんですが、実際は全然だめでした」

 

そういう生活が2年続いた頃のある日、大仏見さんは決断する。

 

「衣食住費も全部払ってくれますし、給料を全部小遣いにできるので自衛隊に行ってみようと。小学校の頃からさまざまな武道をやっていて、身体はできているので大丈夫かなと思いました。それがきっかけです。まず、お金を貯めるためでした」

 

決断したら、すぐに実行する。大仏見さんはとにかく、まず体が動くタイプの人のようだ。

 

「あまり深く考えません。とにかくやってみる。僕の根本的な人生の哲学は、「死ぬ間際に後悔する人生はいやだ」ということなんです。やりたいと思ったらやってみる。死ぬ間際に、あれやりたかったこれやりたかったって思いたくないんです」

 

教習用のクルマは20人乗りのトラック

人生を決定づけるような重大な決断の理由は、往々にして意外なほどあっけないのかもしれない。ともあれ、自衛隊生活が始まった。自衛隊という世界は当然ながら一般社会と違う側面がある。それを端的に示すエピソードを紹介しておきたい。

 

「自衛隊って教習所の基地があるんです。教官は資格を持った自衛官です。僕が人生で最初に運転したクルマは、後ろに20人くらい乗れるトラックでした。教習は全部これでやります。厳しくて大変でした。プラスチックのヘルメットをかぶって運転するんですが、坂道発進を失敗しようものなら、教官のシートの下にジャッキが置いてあって、それでいきなりヘルメットを叩かれます。

 

自衛隊特有の教習でトラックで道なき道を行く山道の運転もありました。もう、ひっくり返っちゃうようなものすごい角度の坂を降りろって言われるんです。あと、夜中にライトを消して運転ということもありましたね。本当に暗くて何も見えないところを走るんです。ちなみに教官は暗視ゴーグルを着けてました」

 

 

「ガメラ2 レギオン襲来」を脳内再生して乗り切る

もちろん、辛い訓練もあった。たとえば12時間ぶっ続けの行軍訓練。こんなに辛い訓練をどうやって乗り切ったのか?

 

「行軍は長い時間続くので、ヤバくなったら頭の中で映画をオープニングから再生します。それで現状を忘れられるんです。辛さを忘れて、今ある感覚を全部ゼロにしちゃうことができるので。12時間歩かなきゃならないんですが、その前に映画の見だめをしておいて、頭の中で6本くらい再生するんです。

 

行軍中は何も考えなくていいんで、ずーっと再生することが可能です。工場勤務の時もできていた気がします。だから12時間ネジを止めるだけの作業にも耐えられたんだと思います」

 

『自衛隊入隊日記 完全版』はビジュアルな文章が多い。その理由がわかったような気がした。ちなみに、本当に辛い時に再生したのはどんな種類の映画だったのだろうか。

 

「脳に入ってきやすいので特撮映画が好きですね。高校の時に『ゼイラム』(雨宮慶太・監督/1991年・公開)と出会って、特撮の道を目指そうと思ったくらいです。特撮好きになったのも「ゼイラム」がきっかけでした。僕のマスト作品は『ガメラ2 レギオン襲来』(金子修介・監督/1996年・公開)で、訓練中もよく脳内再生していました」

 

脳と体、それぞれの働きを分離させるという言い方が正しいだろうか。

 

「僕がなんで自衛隊の訓練に耐えられたかというと、何も考えないようにしたからです。無の境地というか。時間が解決してくれるだろうということです。どんなにつらい時でも時間は過ぎていくし、それで解決できるだろうという考え方です。あとはもう、何も考えない。そういうことをやって、どうにかこう、自衛隊でも褒められるような成績を残してきたということがあります」

 

自衛隊時代のエピソードについてはぜひとも本書を読んでいただきたい。「入隊初日は戦闘服への名札の縫いつけで流血騒ぎ」「トイレ掃除の後に待っていたのは恐怖の上長チェック」など、あまり知られていない自衛隊の日常が満載である。

 

 

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