メーカーのたゆまぬ努力で冷食は絶えず進化を続ける
ここ1年の間に、日本国民1人あたりの冷凍食品消費量は1kgも増加しました(※)。その理由として、共働き世帯の増加や、各企業が「働き方改革」を推進していることなどにより、生活に“時短”が求められるようになった点が挙げられます。冷凍食品ジャーナリストの山本純子さんは、そのような社会背景の変化だけでなく、冷食自体の進化にも注目すべきだと語ります。
「日本初の市販冷凍食品は1930年に誕生しましたが、90年近い歴史のなかで、幾多の“革命”がありました。平成以降で代表的なものを挙げると、まず94年にニチレイから登場したレンジ調理できるコロッケ。いまでこそ当たり前ですが、当時は画期的な技術でした。99年には自然解凍で食べられる製品が登場。冷凍庫から出してそのまま弁当に入れられる時短おかずとして人気を集めました。2000年代に入ると、ラーメンやチャーハン、パスタなどの“主食”にヒット製品が続々と登場。製法は絶えず改良され、いまではレストランと遜色のないクオリティに高められています。ここ数年では、コンビニPBが注目されたり、おつまみやフルーツなどが充実したりとバリエーションが拡大。また、16年末にはフランスの冷食専門店ピカールが日本に上陸し、行列ができるほど話題に。市場はますます活気を帯びています」
※:一般社団法人日本冷凍食品協会の統計資料による
冷凍食品のプロ・山本純子さん直伝!
冷食をもっとおいしく食べる超鉄則
いまや一般家庭の生活に深く入り込んでいるとはいえ、冷食にはまだ知られていない事実や、誤解されている点が数多くあります。よりおいしく食べるための鉄則や知識を明らかにします!
一、野菜やフルーツは冷凍が断然高コスパ
冷凍の野菜やフルーツの多くは、それぞれ「旬」の時期に収穫しています。生鮮品のように季節や天候で価格が変動することはなく、栄養価も旬の時期のものを安定キープ。コスパが高い商品です。
二、冷凍野菜は加熱しすぎに要注意
冷凍野菜は、下茹でのあとで急速凍結しています。熱を入れすぎると栄養価が下がり、色も悪くなるので注意しましょう。そのまま使えるタイプは加熱調理不要です。ちなみに、冷食は保存料不使用です。
三、パッケージなどに書かれた調理方法を順守すべし
レンジ調理するときすべてにラップをかける人は多いですが、たとえばチャーハンならラップなしのほうがパラパラになっておいしくなります。メーカーが推奨する調理法を守らないと味が落ちるので要注意です。
四、冷凍うどんは茹でずにレンチンで時短を実現
冷凍のうどんは、茹でなくてもレンジ調理するだけでおいしく食べられます。湯を沸かすだけでも気が滅入るような暑い日は、レンチンしたうどんに冷たいつゆで、時短&手軽な食事を楽しみましょう。
構成/川内一史(本誌) 文/中山秀明