【きだてたく文房具レビュー】収納時の面倒を解消したロールペンケース
ペンケースというのは、形状から言えばざっくりと「箱形」「袋型」「巻型」の3種に分類される。
箱形というのはまさに直方体の箱であって、代表的なところでいえば小学校低学年の頃に誰もが使っていた、マグネットでパチンとフタの閉じるペンケースだったり、あとは「象が踏んでも壊れない」のアーム筆入れのようなタイプだったり。
また袋型は主に布製のもので、ジッパーやスナップで閉じるような、いわゆるペンポーチとも言われるようなものだ。
このふたつは、基本的に誰でも見たことがあると思うが、対して認知度が低いのが巻型……「ロールペンケース」といわれるものだ。方形の布や皮にポケットやペンホルダーがついており、そこに筆記具を挿し込んだら、あとはクルクルと巻いて持ち運ぶ。
・中身の量に合わせて巻けるので、箱形や袋型に比べてコンパクトに持ち運べる
・広げると中身がひと目で見渡せて、必要な物を取り出しやすい
というメリットはあるのだが、ペン型の物以外、例えば消しゴムやテープのりなどの小物が入れにくかったり、収納時にいちいちペンをポケットに差し直すなどの手間があったりするためか、立ち位置的にはややマニアックなジャンルと言える。
ところが、近年のペンケース機能化競争の流れがついに僻地まで届いたか、巻型にも機能的で面白い製品が登場し始めている。今回は、そんな巻型ペンケース=ロールペンケースのオススメを2点紹介したい。
大容量&ザラッと出し入れ簡単なロールペンケース
まず紹介したいのが、Beahouse(ベアハウス)の「どや文具ペンケース」だ。もともとは2012年ごろに、関西の文房具ファンの集い「どや文具会」から生まれた機能性ロールペンケースなのだが、今年の夏に素材を帆布からナイロン素材に替えてリニューアルされた。
実はこれ、筆者が帆布バージョン発売時からこれまで長年愛用し続け、個人的に「最強ペンケース」と感じている製品なのである。
なにがどう最強かというと、先に述べたロールペンケースの弱点である“収納時の面倒さ”を完全に解消しながら、大容量なのにコンパクトに持ち運べる、というのがポイント。
文房具をあれこれ大量に持ち運びたいけど、いちいち中身を出し入れするのが面倒、という不精者の荷物持ちには最適解と言える機能を備えているのだ。
形状としては、巻型と袋型のハイブリッド。ポーチに長いロール用のフタがついた感じ、と思ってもらえばいいだろう。
収納はこのポーチ部で、容量としてはそのまま500mlのペットボトルがすっぽり入るぐらい。一般的なペンなら30~35本は余裕で飲み込むし、ハサミにカッター、マスキングテープなんかもそのまま収まる。
中身を詰め込んだら、あとはロール部でクルッと包むように巻いて、ゴムバンドでまとめる。中身が少なければグッとコンパクトに、腹一杯まで収納しても、それなりのサイズにキュッと締めることが可能だ。
文房具を取り出す時は、ロール部を開いて、その上にポーチ部から中身をザラッと広げる。すると簡易的なペントレーのようになるため、必要なものがサッと取り出せるという仕組みである。
大容量のペンポーチでは、必要な物を取り出す時に中をごそごそと探る手間があるが、これなら中身は一目瞭然。使いたいものがすぐ使えるアクセス性の高さは、ロールペンケースの特性そのものだろう。
そして、最大のポイントが収納時のスピード。
ロールペンケースだと、使ったものをひとつひとつポケットに挿し戻して……となるが、どや文具ペンケースの場合は、ロール部の端っこをつまんで持ち上げるだけ。すると、広がっていた文房具が今度はポーチ部にザラッと流し込まれるので、またロール部でくるっと巻いてハイ、収納完了、となる。
ボールペンだの蛍光マーカーだのとあれこれ広げると、作業後にしまうのが面倒に感じるものだが、これならわずか数秒で片付けが終わってしまうのだ。不精者の最適解とは、まさにこれが所以である。
今回のリニューアルによって機能面が変わった……という印象はなく、単に素材の変更だけのようだ。価格的にはちょっと手を出しづらい製品と思うが、この説明でピンと来た方なら購入して絶対に損のない逸品。ぜひ、スピーディーな“ザラッと出し入れ”を体験して欲しい。
もうひとつオススメしたいのが、こちらも巻型と袋型のハイブリッドであるレイメイ藤井「クルマーレ」だ。