1日6時間以上の睡眠を1週間で5日以上とった社員に対して報酬を支払う――。
今年10月、ウェディングプロデュース企業の株式会社CRAZYが、このような新しい福利厚生制度を取り入れて話題となりました。ほかの会社を見てみても、企業の福利厚生には社員のライフスタイル全般をサポートするような取り組みが増えてきています。そこで今回は、ゴールドマン・サックスやApple、Facebook、Amazonといった海外の大企業が行っているユニークな福利厚生制度についてご紹介します。
性別適合手術費用援助: ゴールドマン・サックス
金融大手のゴールドマン・サックスは性別適合手術への費用を援助しています。LGBTの学生を対象にした会社説明会を開くなど、多様性を認め合う文化が根付いている同社では、性別を問わず誰でも使える「だれでもトイレ」が設けられ、自認する性別で氏名を名乗れるなど、トランスジェンダーの社員への配慮やサポート体制も整っています。
卵子凍結費用の援助: Apple、Facebook
女性の社会進出が進むにつれ、出産年齢の高齢化も進んでいます。20代で子どもを産むことを望まない女性たちに対して、30代や40代での出産で生じるリスクを軽減するため、卵子を凍結保存しておくという選択肢が出てきました。そんな卵子凍結にかかる費用を援助する福利厚生制度を設ける会社が大企業の間で増えてきており、AppleやFacebookなどが採用していますが、卵子凍結の費用を払うことで、出産・子育てよりも仕事を優先させていいのかという倫理的な観点から物議を醸しています。
ペット同伴出勤: Amazon
世界のECサイトを牽引するAmazonの本社(シアトル)では、なんと6000匹もの犬が社員と一緒に社内にいるそう。「ペットを連れてくると社員は笑顔になれる」という考えのもと、同社では毎日ペットを同伴して出勤することができます。おまけに社内には、犬を走らせて遊べるドギーデッキ、犬の糞を入れる袋や犬が飲んでも安全な噴水も用意されていて、愛犬家にとってはパラダイスのような労働環境。家族同然である愛犬と常に一緒にいられるなら、仕事にも身が入って生産性もぐんと上がりそうですよね。
奨学金返済援助: PwC
大手コンサルティング企業のプライスウォーターハウスクーパース(PwC)では、学生時代に借りた奨学金の返済を援助する福利厚生制度を設けています。同社は毎月100ドル、年間で1200ドル(約13万円)の返済をサポート。返済期間を短くし、社員の金銭的な負担を軽減することを目的に、このような制度が用意されているんです。
パートも取得可能な最大4か月の育児休暇: IKEA
アメリカのIKEAでは、2017年より育児休暇が最大4か月に延長されました。この育児休暇は男性、女性問わず取得可能。在任期間と育児休暇期間の長さによるものの、休暇期間中でも給料が支払われるというのが特徴です。しかも、正社員だけでなくパート社員も対象になっており、家族と過ごす時間を大切にする企業文化が反映されている制度と言えるでしょう。
従来の福利厚生の枠を超え、驚くような制度を設けている企業も少なくありません。日本でも働き方が多様化するいま、福利厚生の視点で企業を評価してみるのも興味深いかもしれません。