三菱地所は、横浜ランドマークタワー69階展望フロア スカイガーデンにて、日立製作所及び日立ビルシステムが提供するコミュニケーションロボット「EMIEW3」(エミュースリー)4台の正式導入を決定。12 月11 日(火)より本格運用することを、横浜ランドマークタワーにて発表しました。
窓から見える景色の解説や施設の案内を行うロボット「EMIEW3」
EMIEW3は、四輪で自走しながら音声によるコミュニケーションが行えるロボットです。高さは90㎝、重さは15kg。突起の少ないデザインを採用し、人と同じ速度で走行できるほか、段差乗り越え性能を備え、屋内でのスムーズな移動が可能。また、万が一倒れても自分で起き上がることができます。
EMIEW3の最大の特徴はコミュニケーション。音声入力により、質問に回答したり、窓から見える景色の解説をしたり、施設の案内をしたりしてくれます。そのコミュニケーション能力の高さを担保しているのが、高い音声認識力。EMIEW3には全部で14個のマイクを搭載しており、雑音だけを除去し、音声信号を抽出して認識することができます。
スカイガーデンでは普段BGMが流れているほか、来場者が多いとさまざまな方向から関係のない音声が飛びこんでくるので、対応する客の声のみに反応する技術が極めて重要。これにより、客はストレスなく案内してもらえるというわけです。対応する言語は現在、日本語、英語、中国語の3か国語で、今後増えやしていく予定です。
高度な接客・案内ができる要因は外部クラウドとの連携にあり
こうした高度な接客・案内ができる要因は、外部クラウド上に実装したロボットITとの連携にあります。EMIEW3自体には言語を解析する能力はなく、別室のロボットITに転送されて解析・処理したうえで、EMIEW3が対応する言葉を選択。会話はすべてログが残っており、答えられなかった質問や聞き取りづらかった言葉などを解析し、今後の会話に対応できるよう修正されます。つまり、EMIEW3が人と会話すればするほどスムーズな受け答えができ、答えられる質問の数も増えていくというわけですね。
【動画】
今回のランドマークタワーでの導入では、EMIEW3が69階展望フロアスカイガーデンに3台、2階展望フロアチケット売り場に1台設置。多言語(日・英・中)での施設案内及びチケット購入方法の案内、スカイガーデンからの景色紹介、クイズゲーム等エンターテイメント、スカイガーデン内でのイベント実施などを担当する予定です。
データを蓄積したあとの成長が楽しみ
発表会では、1時間ごとに3体で行うというダンスも披露。今回は、歌手のAI(アイ)の「ハピネス」に合わせたダンスを踊っていました。ダンスの種類はエンジニアがプログラムすることで対応できるので、今後踊れる曲数を増やすことも考えているとのこと。稼働時間は日没の時間によって変動するとのことで、現在では10時~16時を予定しています。安全性の面から繁忙期には稼働しないとのこと。また、基本的にEMIEW3への質問はひとり3問まで。応対を希望する客が増えた場合は、整理券の配布なども視野に入れているとのことでした。
三菱地所は、深刻な人手不足を解決するため、また、ランドマークタワーへさらなる付加価値を付与するために、EMIEW3の導入を決めたといいます。ただし、今回は実証実験の意味あいが強く、運用に際しては人を配置し、安全に動作するかを見守る予定とのこと。今回の導入でデータを蓄積し、多言語を操る案内役として実用性が高まってきたら、訪日外国人にとっては心強い存在になるはず。観光立国を目指す日本にとっては追い風になるのは間違いありませんね。