あんなに高校時代に勉強した英語だが、めっきり使わなくなって、英単語がどんどん頭から抜けていっている。時折、調べ物をしていて英語のページに出会うと、それだけでテンションが下がる。
そもそも英単語って、似たようなものが多い。たとえば、「期待する」って「expect」だったっけ? あれ、「except」? 丸暗記していると、うっかりスペルを間違えてしまうようなものが山程ある印象だ。
それに、見知らぬ単語を前にすると、前後の文脈から想像するにも限度があり、まったく歯が立たない。
しかしながら、これが漢字となると話が変わる。
これまでに出会ったことがない漢字でも、なんとなく何に関連する言葉なのか、想像できないだろうか。たとえば、氵(さんずい)がつく漢字であれば「水」に関連したもの。月(にくづき)の漢字なら「体」に関するもの。女(おんなへん)であれば、「女性」に関する漢字、といった具合だ。
この違いはなんなのか。そんな着眼点から生まれた英単語の本が、いま猛烈に売れている。『英単語の語源図鑑』(清水健二・すずきひろし・著/かんき出版・刊)である。
英単語の「語源」に着目する
学生時代、英語の授業などで単語を覚えるとき、どのようにして頭に入れていっただろうか。とにかく例文を見て丸暗記した人、ゴロで覚えた人、耳から覚えた人、さまざまだと思うが、いずれも英語の語彙を増やしていくうえでは、やや非効率な暗記法だと言える。
というのも、先に述べたように、うっかりスペル間違いをしたり、知らない単語に出会ったときに活用できないからだ。
その点、『英単語の語源図鑑』は、英単語を構成する「語源(パーツ)」ごとに覚えることで、連想的に語彙を増やすことができる「語源学習法」に基づいた一冊だ。
英単語は、大きく分けて「接頭辞」「語根」「接尾辞」から成り立つ。たとえば「attraction」は、「at(ad”~の方へ”の異型)」+「tract(引く)」+「ion(名詞を作る働きの接尾辞)」で、「魅力・引きつける力」という意味、といった具合。
このように、語源を手がかりに英単語を見ていくと、芋づる式に単語を覚えていける。
「tract」を核に考えていくと、「contract」は「con(共に)」+「tract(引く)」で引き合う、つまり「契約」。「extract」は「ex(外に)」+「tract(引く)」で「引き出す・引用する」。「distract」は「dis(離れて)」+「tract(引く)」で「引き離す→紛らす・散らす」という意味だ。
語源がわかれば、単語の意味が想像できる!
そうなると、「tract」が含まれた英単語に出会ったとき、たとえまったく知らない単語であったとしても「引くという意味に関連した単語かな?」と想像できるのである。
これって、冒頭で述べた「漢字の部首を見れば、なんとなく何に関連したものかがわかる」のと同じだ。
私が「どっちだっけ?」と不安になった「expect」と「except」の違いも、「expect」は「ex(外を)」+「(s)pect(見る)」=「外を見る→予期する・期待する」。一方「except」は「ex(外に)」+「cept(つかむ)」で「つかみ出す→~を除いて・~以外は」。成り立ちがわかえれば、両者を間違えることもない。
ただの丸暗記でやってきた私にとっては、目からウロコな事実である。
まずは、ページをパラパラめくって眺めることからスタート
『英単語の語源辞典』は、それぞれの単語についているイラストも、語源を覚えるのに一役買っている。シンプルなイラストながら、意味が伝わりやすい。
私自身もまだ読み始めたばかりだが、すでに活用している人のアドバイスによると、まずは覚えようとしないでページをパラパラめくって眺めることでOKなのだそう。トイレに置いて、気が向いたときに見るという方法でも良さそうだ。
ちなみに著者によれば、語源によってなんと1万語レベルの語彙が身につくとのこと! 1万語というと、英字新聞や雑誌を不自由なく理解して読めるレベルの語数とされている。
英語を学び直したい人、来年は英語に本腰を入れて取り組むぞという本気モードの人から、なんとなーく英語が身についたらいいなというゆるい目標の人まで、新しい視点での「語源学習法」をぜひお試しあれ。
【書籍紹介】
英単語の語源図鑑
著者: 清水建二、すずきひろし
発行:かんき出版
1単語につき1イラスト! ページをめくるたびに重要単語が頭に飛び込んでくる!! 本書は、「語源」を学び、超効率的に英単語を覚える本です。「語源」とは、漢字でいう、偏(へん)・旁(つくり)・などにあたるもので、たいていの英単語は、次の3つの「語源」に分解されます。