積み木を重ねたタワーからブロックを抜いて一番上に積み重ねる。シンプルな遊びなのに、子どもから大人まで楽しめる「ジェンガ」。そのジェンガをプレーできるロボットが開発されました。引き抜くのに最適なブロックまで自分で選べるというスゴ技ロボットです。
センサーとカメラが触覚
ジェンガを人間がプレーする場合、どのブロックが引き抜きやすいのか、目で見たり手で軽く触ったりして判断します。ブロックの抜き方も、その位置によって押してみたり引いてみたり、横にスライドさせてみたり。さらに抜いたブロックを一番上に置くときも、タワーが崩れないように全体のバランスを見ながら置き方を考える必要があり、様々なテクニックと「頭脳」が必要となります。
そんなジェンガをプレーできるロボットを開発したのは、アメリカの名門マサチューセッツ工科大学(MIT)のエンジニアたち。ロボットは先端が柔らかい2つのグリップでできており、カメラと手首部分には力を検知するセンサーがついています。2つのグリップでブロックを押したり引いたり、持ち上げたりしながら、ブロックの感触やタワーのゆれ具合をセンサーとカメラで感知し、そのブロックが抜けるかどうか判断できるのだそう。
ジェンガを機械学習
チェスのようなゲームと違って、ジェンガにはブロックを抜けるかどうか検討するほか、押す・引く・置く・並べるといった様々な動きが必要です。ロボットにもそれらの巧みな操作が求められるわけですが、人間でもタワーを倒さずにブロックを引き抜いて置けるかどうかは視覚と触覚を使いながら、しかも回数を重ねて判断できるようになっていくもの。そのため、このロボットは実際のジェンガを使って機械学習を重ねたそうです。
例えば、スマートフォンのライン生産では、スナップフィット(金属などの結合に用いられる機械的接合法の一種)やネジを回すといった作業は視覚よりも触覚に大きく頼っているのだとか。今回のジェンガロボットの技術は、そんな微妙な力加減を感じとることも必要とされるテクノロジーの発展に役立つものと期待されているそうです。このロボットの誕生は製造業だけでなく、様々な産業にも影響を与えそうですね。