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2019/3/15 19:30

「宇宙開発」が身近になる! 「JAXA」が初のクラウドファンディングに挑戦

クラウドファンディングというと、資金の少ないスタートアップや起業を目指す人が利用するものというイメージがあるかもしれませんが、そんな概念を覆す大スケールのプロジェクトのクラウドファンディングが始まりました。それが、JAXA(宇宙航空研究開発機構)が初めて試みる「宇宙開発サポートクルーの募集」です。

 

なぜクラウドファンディング?

↑出典: JAXAのクラウドファンディングページより

 

そもそもJAXAは日本の宇宙航空の研究を行う機関で、その運営費の大部分は税金でまかなわれています。しかも宇宙航空に関する研究開発というと、莫大な金額が必要となるもので、一般市民がかかわるようなものではないと考えてしまう方も多いでしょう。そんな研究開発について、なぜクラウドファンディングが利用されることになったのでしょうか?

JAXAでは、クラウドファンディングに挑戦した経緯について次のように述べています。

 

「将来の宇宙開発に必要となる先端的な研究開発は、将来の見通しがつきづらいこともあり、限りある資金の中で実施しています。 (中略)研究開発の進め方について検討を重ねた結果、外部の方々の多種多様なご意見を多く取り込みつつ、スピード感を持って資金を獲得する方法の一つとして、クラウドファンディングを活用することに行きつきました」

 

一般市民からすると縁遠いと感じる宇宙開発だけれど、広く資金を集めて、研究をさらに加速させていきたい。一般市民にも宇宙開発を身近に感じてもらいたい、という意図があるようです。

ここ数年、欧米のクラウドファンディングでも宇宙開発に関する様々なプロジェクトが立ち上がっていました。アポロ計画当時のNASAの管制室を完全復元したり、アポロ11号の飛行計画書を再発行したり、宇宙望遠鏡を打ち上げたり。成功したプロジェクトもあれば、資金が集まらずに終わったものもあり、宇宙開発に関するクラウドファンディングは簡単に行くとは限らないようです。

 

しかし、JAXAの熱い思いが詰まった、かつてない壮大なスケールのプロジェクトは、宇宙への興味関心を寄せる一般市民のハートをがっちりとキャッチ。3月8日の募集開始から1週間ほどで寄付者は100人以上が集まり、寄附総額は目標金額450万円の半分近くを突破。クラウドファンディングのページには、「夢ができました」「一緒に開発をしている気分になっています」「宇宙開発がもっと身近に、もっと活発になって欲しいと思っています。応援しています!」など、力強い応援メッセージが数多く寄せられています。

 

宇宙開発の一員に

JAXAのクラウドファンディングで用意されている支援金額は、最も低いもので3000円。高額な場合は30万円、50万円、100万円と、バラエティ豊か。支援者がもらえるリターンには、JAXAのホームページへの名前掲載や開発チームからの感謝状、非売品のJAXAグッズなどが用意されています。さらに、筑波宇宙センターの通常の見学ツアーでは入れない施設を見学できる特別ツアーや、研究者たちとの意見交換会に招待されるなど、宇宙航空などに興味がある方にとっては魅力的な体験もラインナップされています。

 

今回のクラウドファンディングでサポートクルーから集めた支援金は、「ワイヤレス電力伝送技術*」を確立するために必要不可欠な送受電コイルの設計・製作に使われるそうです。

*スマートフォンのワイヤレス充電のように、宇宙機が給電システムに格納された後、有線を介さずに無線で充電ができるようになる技術のこと。

 

ロマンあふれるこの宇宙開発支援。クラウドファンディングで支援すれば、自分も宇宙開発メンバーの一員になった気分がしてくるかもしれませんね。JAXAのクラウドファンディングは4月26日までです。