ゴミの分別、……してますよね? 分別が面倒くさかったり、忙しくて収集日に出しそこなったりした結果、ゴミ屋敷化。そんな悲劇も見聞きする昨今ですが、ここイタリアでは、分別の仕方がわからなかったり収集日に出しそこなった時には、そーっと黙って道路に捨てる。そんなことがありえます(笑)。いえ、笑ってる場合ではなくホントの話。昨年からゴミ分別が徹底化された南イタリアのとある街角の状況をご紹介!
ゴミの分別自体はイタリア全土で進んでいる
イタリアのゴミ分別は80年代にジワジワと始まり、2012年には65%のリサイクル率を目指す新法が制定。各自治体で順次実施され、現在イタリア全体の約98%でゴミの分別が義務化されています。最新データ(2016統計)では、リサイクル率全国平均52.5%。特にヴェネトやロンバルディアなど北イタリアの州で約70%前後と高く、ゴミ自体の量も減っているそうです。
平均を下げているのは、南イタリアのシチリア州。なんと、リサイクル率12%!このご時世、「ぶっ!」と吹き出してしまう数字ですが、意識低い!と一方的に責めるわけにもいきません。なぜなら、シチリア州の州都パレルモでは数年前からゴミ分別が始まりましたが、市内でもスタート時期に差があり、旧市街エリアで始まったのは2018年から。パレルモは私の住む街でもあり、「そりゃ2016年のデータには反映されないでしょうよ!」とつい御近所の好で贔屓目になってしまいますが、しかし現状を見ると……次回のデータも期待できない予感はしています(白目)。
パレルモ市のゴミ分別は、たったの5種類「紙・ダンボール」「ガラス」「プラスチックと缶」「生ごみ」「それ以外」(イタリアの各市で分別・収集方法は異なりますが、だいたいこんな感じ)。昨年、我が家にも5種類のゴミ箱とゴミ捨て方法の冊子が配布されました。ゴミ箱まで用意してくれるなんて親切!それに、分別内容も至極簡単。毎日、各マンション前に置かれる収集用ゴミ箱に捨てるだけです。
さて、そんなゴミ分別が始まった結果、何が起きたでしょう?
なんと街にゴミが溢れました(笑)。分別がよくわからない、指定曜日に捨てそこなったなど、理由はいろいろあるでしょうけれど、だからと言って家の中においておくのは嫌なのか、堂々と道路に捨てているのです。
それでも山になったゴミを放置しておくわけにもいかず、時々回収車ががっつり根こそぎ持って行っていくれているので、ベットマットを捨てる時はそーっと夜中に…と思わなくもないですが、ゴミ捨て場となった近隣の方が気の毒すぎます。
実際、激怒り。張り紙には、「ここにゴミを捨てるヤツは、野蛮な豚野郎だ!」と書いてあります(でも、効果はなさそう)。パレルモは約3000年の歴史を誇り、かつてはシチリア王国の首都でもあった街。1430年に出された公共スペース清掃令は、イタリアで最も初期の街ゴミに関する政令だったようですが、600年後は野蛮な豚野郎(笑)。
数ヶ月経ち、少しずつ山は小さくなっているので多少、街の人々の意識も改善はされているようですが、長い歴史の街だけに、何事もゆっくりと「ピアノピア〜ノ」(イタリア人がよく言う「ゆっくり行こうぜ」みたいな意味のフレーズ)に進んで行くのかもしれません(期待)。
※ちなみに、シチリア州の州都パレルモ(人口約70万人)以外の小さな市町村では、きちーんと分別収集されて道路にゴミが落ちていない素敵なところも多々あります。念のため。