ついつい増えてしまう本や雑誌を、どのように整理していますか? とりあえず収納力のある棚に入るだけ詰め込んだり、本棚から溢れた分はしかたなく床に積み上げたりと、その保管方法に悩んでいる人も少なくないでしょう。
すっきりと整理収納したいのはもちろんですが、装丁が美しい本も多く、本をインテリアの一部として“飾る”ように収納できたら素敵ですよね。今回は、本をアート作品やオブジェのようにとらえる“飾る収納”についてのアイデアを、日本橋高島屋にある本棚専門店「HummingBird Bookshelf(ハミングバード・ブックシェルフ)」のオーナー、柳下恭平さんに伺いました。
本はどこにでも置ける最高のツール
まずは、どこに本を置けばベストなのか、考えてみましょう。本を整理しようと考えると、ついすべてが入る大きな本棚を買って一気に収納しようとしてしまいがちです。でもよく考えてみれば、本はどの部屋に収納しても間違いはありません。リビングや寝室、キッチンなど部屋ごとに本を収納すれば、一部屋ずつのボリュームが少なくなるので、本を手に取るきっかけを作りやすく、“積ん読”からも解放されるでしょう。
「たとえば靴は靴箱にしか置けませんが、本はどの部屋にあってもいいですよね。トイレなら、ちょっと立ち寄ったときにパラっとめくれるような、一度読んだものが向いているでしょう。どこから読んでも楽しく読める、エッセイや漫画もおすすめです。家族と住んでいる場合、トイレはひとりでゆっくりできる空間でもありますから、ばかばかしく笑えるものもいいと思いますよ」(ハミングバード・ブックシェルフ 店主・柳下恭平さん、以下同)
部屋ごとに置きたい本
・玄関…読みかけの本を玄関に積んでおけば、出がけに持っていくのを忘れません。
・寝室…寝る前に、じっくりと15〜20分かけて読み進められる小説や物語など。ヘッドチェストに置く場合は、頭に落ちてきても痛くない文庫本など軽いものがいいでしょう。
・キッチン…レシピ本だけでなく、献立を考えるときにめくると役立ちそうな、食事系の漫画なども。
・風呂場や洗濯機前…雑誌や、見開きで完結しているようなビジネス書など。さっと見て暗記したい勉強の本もおすすめ。
“飾る”を意識した収納術3
ここでは実際に飾ることを意識した収納について、見て行きましょう。
1. 背表紙の色やデザインを意識して飾る
inahono「木のブックスタンド」
3456円
こちらはブックスタンドに文庫本を飾った様子。あえて、表紙の色が違う本を組み合わせて置いています。玄関先やベッド脇など、ちょっとした場所にはサイズの小さな文庫本をこのように置くのがおすすめです。
「背表紙で遊びながら置く本を決めるのもいいのではないでしょうか。ビジネス書は書店で目立つために作られているので、背表紙や表紙に明るくビビットな色を配した本が多く、逆に文庫の背表紙は、デザインはシンプルです。それらも考慮しながら、テイストを合わせて飾っていくといいかもしれません。本は開いている時間より閉じている時間の方が圧倒的に長いわけですから、読むことと同じように、置いておくことについても向き合えるといいですよね」
2. テーマごとに分けて箱に収納する
ハミングバード・ブックシェルフでは、テーマに合わせて選んだ数冊の本を「Boxshelf(ボックスシェルフ)」を収めた形で売っています。このままトイレやチェストの上に置いて飾れるとあって、人気の商品です。
「テーマ別になっていると、背表紙の言葉に統一感が出て整理されたイメージをつくることができますから、自分なりに、旅気分を味わいたいときに読む本、リラックスしたいときに読む本、など、テーマを分けて収納してみてください。本は一冊だけプレゼントすると、メッセージ性が強すぎてしまう場合が多いのですが、このようにいくつかの本が入っていると、自然にメッセージを送れるので贈り物にもしやすいんですよ」
「Boxshelf」(ボックスのみ)
1296〜1620円(文庫版・四六判・雑誌・3wayの4サイズ展開)
また、本が入っていないBoxshelfのみの購入もできます。本棚のような大きい家具を置けない場合は、Boxshelfを重ねたり並べたりしていくのも手です。
「引っ越しや本の移動もこのまま運べばいいので便利ですし、このまま本棚に収納することもできます」
3. 表紙を見せて飾る
「ブックスタンド シングル」
604円
表紙のデザインが気に入っている本なら、“絵画”のように飾ってみましょう。
「いくつかの表紙を並べると、それだけでその人の好みがわかりますよね。本棚にすべてを押し込んで入れてしまわず、少し余裕を持って、ブックスタンドを使って表紙を見せる飾り方をする部分や空白、文具やオブジェなども取り入れると、圧迫感なく収納できます。表紙を飾るこのタイプは、本の中身ではなくジャケットが気に入ったものや、好きな装丁家のものなどを飾るといいでしょう」
賃貸住宅で本棚をつくるには?
戸建てや分譲マンションなどでは壁一面に本棚がある書斎を建築する人もいますが、賃貸ではなかなかそれが叶わないもの。それでも壁を傷つけずに本を飾る方法はあるのです。
・壁を傷めず飾れる本棚
「bbbshelf」
9万1800円
賃貸物件は壁に穴を開けたり飾り棚をつけたりするのは難しく、壁を有効に使うことができません。そんな住まいでも無理なく使えるよう、ハミングバード・ブックシェルフでは壁のようなボード上に飾り棚をつけた本棚を考案したそう。
「下段は、雑誌などの収納をメインとした本棚に、上段は表紙を見せたり文具を置いたりできるよう、ディスプレイを意識した本棚になっています。このまま部屋に入れるだけで使えるので便利ですよ」
・組み立てが簡単な本棚
「Stackshelf」
1万1800〜1万6200円
こちらは、ネジやボルトなどを使わずあっという間に組み立てられる本棚。重ねて使うこともできるので、置きたい場所のサイズに合わせて選べます。
「棚などの家具はとにかく組み立てが面倒、という声を多く聞きます。苦手な方でも組み立てられ、本棚自体が軽いので移動するのにも楽に運べます」
・本が多い人は突っ張り式のシェルフで収納力アップ
「Wallshelf」
9720〜14万5800円
収納力が欲しい人には、壁に突っ張らせて使う本棚がおすすめです。また、突っ張り式ですから壁や天井を痛めることもなく、賃貸物件にも向いています。
「箱タイプの本棚より、棚が互い違いになっている方が多く収納でき、高さがあるので圧迫感がありません。本だけでなくCDやアクセサリーなど、さまざまなものを陳列しておくことができ、ディスプレイしやすいですよ」
本は収納するだけでなく、お店のように陳列して見せることを意識すると、物足りなさを感じていたディスプレイコーナーが華やいだり、本そのものが部屋の差し色になったりと、“読む”だけにとどまらない使い道が生まれます。新しく本を購入するときは、ぜひ背表紙の色やジャケットにも目を向けて、飾り映えを意識して選んでもいいのではないでしょうか。
【店舗情報】
HummingBird Bookshelf(ハミングバード・ブックシェルフ)
所在地:東京都中央区日本橋2-5-1日本橋髙島屋S.C.新館5階
電話番号: 03-5542-1916
営業時間:10:30~20:00
定休日:無休(元旦を除く)
アクセス:JR「東京駅」八重洲北口徒歩5分、東京メトロ銀座線・東西線「日本橋駅」直結、都営地下鉄浅草線「日本橋」駅徒歩4分
http://www.hummingbird-bookshelf.net/