編集部と自動車ライター、専門家が最近乗ってよかったクルマをレポートするコーナー。今回はアウディQ5のクリーンディーゼル仕様と新エンジン搭載のフォルクスワーゲン・ポロ、そして3代目ホンダ・インサイトという組み合わせ。いずれも要注目ポイントはパワーユニットになるわけですが、結論からいえばその完成度はハイレベルでした。
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【その1】上質な走りはディーゼルでも不変!
アウディ Q5 40TDIクワトロ(SUV・試乗)
SPEC【Q5 40TDIクワトロ・スポーツ】●全長×全幅×全高:4680×1900×1665㎜●車両重量:1900㎏●総排気量:1968㏄●エンジン形式:直列4気筒DOHCディーゼル+ターボ●最高出力:190PS/3800〜4200rpm●最大トルク:400Nm(40.8㎏-m)/1750〜3000rpm●JC08モード燃費:15.6㎞/ℓ
ディーゼル特有のネガティブさを感じさせない洗練度の高さ
日本向けとしては、1980年に輸入されたセダンの100L5D以来だというアウディのディーゼル。その搭載モデルとして選ばれたのはミドルSUVのQ5で、新世代の2ℓクリーンディーゼルターボは190PSのパワーと400Nmのトルクを発揮します。
気になる動力性能は、車重が1.9トンに達するQ5にも十二分といえる水準にあります。ディーゼルらしい大トルクがわずか1750回転から最大限に引き出せるとあって、日常域でも力強さを実感。高速クルージング時には、大排気量のガソリン車に通じる安楽さも満喫することができます。
ですが、それ以上に印象的だったのはディーゼル特有の音や振動を意識させない洗練度の高さです。元々、Q5はプレミアムなSUVらしい走りの質感が魅力でしたが、それはこのモデルでも不変。いまや輸入SUVのエンジンはクリーンディーゼルが主流ですが、Q5でもこの40TDIが売れ筋となることは間違いないでしょう。
【注目ディテール01】装備や使い勝手はガソリン車と同等
内装はデザイン性と高い質感を兼ね備えたアウディらしい仕立て。550〜1550ℓの荷室容量はガソリン仕様と変わらず、SUVとしてのユーティリティもハイレベルです。
【注目ディテール02】「クリーン度」はトップレベル
日本のポスト新長期規制はもちろん、今後一層厳しくなる世界各地の規制を見据えた排ガス対策が施される2ℓディーゼルターボ。ミッションは7速DCTを組み合わせます。
【注目ディテール03】力強さは日常域でも実感
低回転から充実したトルクを発揮するディーゼルの威力は、日常域や高速クルージング時に実感できます。遮音や振動抑制が巧みな点もプレミアムSUVのQ5ならではの魅力。
【その2】3代目はエコでフォーマルなセダンに変身
ホンダ インサイト(セダン・試乗)
SPEC【LX】●全長×全幅×全高:4675×1820×1410㎜●車両重量:1370㎏●総排気量:1496㏄●エンジン形式:直列4気筒DOHC+電気モーター●最高出力:109[131]PS/6000[4000〜8000]rpm●最大トルク:134[267]Nm(13.7[27.2]㎏-m)/5000[0〜3000]rpm●WLTCモード燃費:28.4㎞/ℓ
※[ ]内は電気モーター
大柄なセダンながら優れた経済性を両立
14年以降、販売が途絶えていたホンダを代表するハイブリッド車のインサイトが復活しました。先代のボディは5ドアハッチだったが、3代目となる新型はミドルセダンへと装いを一新。パワートレインは、1.5ℓガソリンエンジンに2つの電気モーターを組み合わせたホンダ独自の「スポーツハイブリッド1–MMD」を搭載します。
その走りは、電気駆動モデルらしい静粛性の高さが印象的。実際日常域では発進から40㎞/hあたりまでエンジンが始動することはなく、その存在を意識させません。また、高い経済性もハイブリッド車ならでは。今回は長距離を走らせたのですが、大柄なセダンながら郊外路では常に24〜26㎞/ℓの好燃費を連発していました
【注目ディテール01】室内はセダンらしい落ち着いた仕立て
シフト操作をスイッチ化、メーターのグラフィックもハイブリッド車らしいデザインとなりますが室内はミドル級セダンに相応しい落ち着きと質感を兼ね備えます。
【その3】新開発の1.5リッターエンジン搭載
フォルクスワーゲン ポロ(ハッチバック・試乗)
SPEC【TSI R-Line】●全長×全幅×全高:4075×1750×1450㎜●車両重量:1210㎏●総排気量:1497㏄●エンジン形式:直列4気筒DOHCインタークーラー付(4バルブ)●最高出力:150PS/5000〜6000rpm●最大トルク:250Nm(25.5㎏-m)/1500〜3500rpm●JC08モード燃費:17.8㎞/ℓ
走行モードの選択でキャラクターが変わる
フォルクスワーゲンのポロに新グレードTSI R―Lineが追加されました。日本仕様車では初となるEA211型TSIエンジンをベースにした1.5ℓターボチャージャー付きの「1.5TSI Evo」を搭載。いままでメインのパワーユニットだった1ℓ3気筒と、「GTI」に積まれる2ℓ4気筒の中間に当てはまるグレードです。
R―Lineは専用のスポーツサスペンションを装備し、ノーマルモードでは乗り心地がやや硬いです。だが、減衰力などを切り替えられる「ドライビングプロファイル」機能でエコモードに切り替えると、硬さは解消。一方、スポーツモードではステアリングトルクやアクセルレスポンスを変更し、ドライビングの楽しさを味わえます。
【注目ディテール01】スポーティさを強調
エクステリアに小振りなエアロパーツを装備。また、専用17インチホイールやツインエキゾーストフィニッシャーを装着します。
【注目ディテール02】オシャレなインテリア
デジタルメーターは、運転手の正面&高い位置に。インパネの装飾はボディがオレンジなどの場合、同色にもできます。
その1:文/小野泰治 撮影/柏田芳敬、その2:文/小野泰治 撮影/宮越孝政
その3:文/野田浩樹(本誌)、撮影/我妻慶一