技術の進歩は日進月歩です。今回テーマにあげる映像プロジェクターも然り。サイズはだんだんコンパクトになり、光源はランプ方式からレーザー方式に変わり、輝度も高くなっています。NECから登場する高輝度レーザープロジェクター「ViewLight NP-P605ULJL」は、大学や企業、美術館、図書館向けの製品。7月から発売予定で、実売予想価格は56万2000円（税別）です。
画像や映像コンテンツを壁やスクリーンに投影することができるプロジェクター。最近では、家庭用プロジェクターと、ビジネス用プロジェクターの2つに大きくわけられます。特にビジネス用プロジェクターは静かな大空間で使用するため、少しの作動音でも気になってしまうので、シビアな静粛性が求められます。その作動音を一番に抑えることを考え、開発されたのがNECの本製品です。
現行モデルの「NP-P525ULJL」は欧州で開催された映像展示会「ISE2019」において、「BEST OF SHOW AWARDS 2019」AVテクノロジー部門を受賞しています。しかも、プロジェクター部門ではこの製品だけと言う話。トータルバランスと静音性が受け、約1300社エントリーしたなかで13社しか受賞できていません。
そのDNAを受けて、新しく登場するのが今回のViewLight NP-P605ULJL。明るさが5000から6000ルーメンへ、コントラスト比が500000：1から600000：1へ、静音性（エコモード時）が22から19dBへと、バージョンアップしています。「輝度を上げつつ、静音性も上げている。これが本製品最大の特徴です」とは、NECディスプレイソリューションズの商品開発本部PJ開発グループ主任の中川さん。
密閉構造を活かした設計が、ファンノイズを抑え19db（エコモード時）という静音性を保ち、粉塵が入らないようにもしています。なぜなら粉塵が入ると明るさが落ちてしまうからです。その静けさは、例えるなら聴力試験室やアナウンススタジオ並みの静けさです。ファンノイズが気にならず、静かな会議室や教室でも投影画面に集中できることでしょう。
さらに、フィルターレス構造を採用。「フィルター交換の場合、約1000時間で交換してくださいと購入者には案内してます」と言うように、元々フィルター部にはメンテナンスが必要です。たとえば、天井に吊り下げたプロジェクターの場合、そのフィルターの交換作業はとても大変です。フィルター交換にはそのような“手間”、そして交換する人間の人件費という“コスト”が掛かっていました。フィルターレス構造にすることで、手間と経費を削減してくれ、さらに定期的な作業も避けられるとなれば、うれしい限りです。また、エンジン内部で発生する熱源をヒートパイプで外部に伝導し、冷却して液晶パネルを一定温度以下に保持します。
スマートフォンなどのデバイス内のファイルや写真、カメラの映像、ウェブページの画面などを有線/無線LAN経由でプロジェクターへ送信することができます。任意の端末をフル画面投写することもできるので、データの比較や会議中の意見交換などに便利。さらに、最大16台のデバイスの同時接続が可能で、無線LANですと画面切り替えもスムーズに行えます。例えば、プロジェクター画面を最大16分割して同時投射による画面の情報共有といったことも可能です。
本当に動作音が静かで、会議室内の空調の音が気になるくらいでした。音を聴く前はここまでシビアに気にするユーザーがいるのかと感じましたが、筆者は学生時代にプロジェクターの音がうるさくて気になり、授業に集中できなかったことも思い出しました。今でいうと、社内のプロジェクターの輝度が低いので、このプロジェクターを社内に導入して欲しいとも思いました。そうすれば、投影画面も見やすく、会議の発言も声を張らなくて済むのかなと…。
【SPEC】●解像度：WUXGA（1920×1200）●静音設計：19db（エコモード時）●輝度：6000ルーメン●サイズ／質量：W480×D407×H122mm（突起部含まず）／9.7kg