万年筆やガラスペンの人気が高まっています。同時にインクも、さまざまなブランドがカラーラインナップを拡大しており、“沼”と表現されるほどその魅力にはまり込む人が続出。
そんななかで2019年4月、伊勢丹新宿店では万年筆などの筆記具が置かれていたコーナーを一新、自分で好みの色を選んで混色し、オリジナルインクを作れる「インクラボ」をオープンしました。インク作りのほか、万年筆やガラスペンについての相談を受け付ける窓口でもあります。今回はそのインクラボで、実際にオリジナルのインク作りにチャレンジ。教えてくださるのは、伊勢丹新宿店 インクラボ担当の井上庸さんです。
作れる色は1万通り以上
自分だけのオリジナルインクは、用意された24色のインクを混ぜ合わせることで完成。作業はまず、カラーチャートを見ながら、どのような色を作りたいかイメージするところから始まります。
「ベースとなるインクを最大3色までお選びいただき、1:1、1:2、1:1:1のいずれかの割合で混ぜて色を作っていきます。まずはチャートの中の、どの色に近づけたいかを決めて、それを基に混ぜる色を揃えていくといいでしょう。1万2千通りくらいの掛け合わせができます」(伊勢丹新宿店 インクラボ担当・井上庸さん、以下同)
カラーチャートは、種類が多くきれいな色がたくさんあるため、なかなか決められない人も多いとか。「何色系にする、というだけでもイメージがあると試作を始めやすいので、なんとなく緑っぽい感じ、などと決めてお越しいただいてもいいと思います」
人気色はオフィスでも使いやすい寒色
初めての場合は、手紙や書類、公式な場でも万能に使える寒色系がおすすめ。「真っ黒なインクだけでは味気ないノートも、ブルーやグレーを取り混ぜた色で書くと、メモすることさえ楽しくなるかもしれません。すでにブラックやブルーなどをお持ちの方や、遊び心のある色を作ってみたい方は、より楽しい気分になる暖色系をお選びになるといいでしょう」
色の方向性が決まったら、早速オリジナルのインクを作っていきましょう。
1)ベースとなるインクを好みで2~3色選ぶ
今回は2色のインクを完成させることにしました。まずひとつめは寒色系に。「人気のある『フランネルグレー』という渋いグレーに、青色を合わせてみましょう。右から『フランネルグレー』『ソニックブルー』『メープルブルー』。これを1:1:1で混ぜていきます」
ふたつめは、暖色系を作ってみます。「2色目は、右から『バンパイアレッド』という深みのある赤に、透明感のある『ダコタレッド』、華やかでかわいらしい感じの『バターカップ』を混ぜてみましょう」
2)パレットの中で1滴ずつ混ぜていく
インク瓶に装着されたスポイトでインクを取り、パレットに1滴ずつ慎重にインクを垂らしていきます。
「パレットに1滴ずつ落とし、3色をガラス棒で混ぜていきます。ここで多少色ムラがあっても、最終的には攪拌機で攪拌し、インクによって大きさの違う粒子も整ってなめらかに仕上がりますのでご安心ください」
3)ガラスペンで試し書きして色合いをチェック
「ガラスペンにインクを付けて試し書きし、色味を確認していきます。通常の紙のご用意もありますが、万年筆で書くのにちょうどいい紙『グラフィーロペーパー』にも書いてみて、書き心地の違いを感じていただいています」
「ガラスペンは、色が書き始めから少しずつ濃淡がつきグラデーションになっていくのも魅力的ですよね。インクの量によって色味が変わってきますので、たくさん書いてみてください。ここまでをお客さまに体験していただいています」
4)電動の攪拌機でしっかり混ぜてもらう
「色が決まったら、あとはこちらにお任せいただきます。磁石入りのビーカーにインクを注ぎ入れ、電動で20分ほど攪拌していきます。機械の手を借りてしっかり混ぜることで、色が均一になり、最後までお好みの色のままお使いいただけます」。この攪拌が終われば、完成です。
5)レシピカードがあればいつでも追加注文可能
「攪拌が終わると、専用のインクボトルに詰めてお渡しします。一緒に、使用色と割合を書いたレシピカードもお渡ししています。再び同じ色が欲しい! というときにお持ちください。また3ヶ月の“ボトルキープ”というシステムもあり、購入されたインクをお預かりすることもできます」さらにインクラボでは、万年筆を持って行けば、インクの充填や洗浄、インク詰まりの掃除もしてもらえるので安心です。
※オリジナルインクの引き渡しは、色が決定してから30分〜1時間後を予定。
自分だけのインクが完成したら、それを楽しむためのアイテムが欲しくなるもの。同じく伊勢丹新宿店で手に入る万年筆関連のアイテムを紹介しましょう。