立ち食いそば店の食べ歩きが趣味で、立ち食いそばムックも執筆したことがあるライター、平島憲一郎さんが気になるお店をレポートするコーナー。今回は、東京・日暮里の「一由そば 日暮里店」を紹介します。日暮里は「六文そば」というお店が2店舗あるなど、立ち食いそば店が充実した町。なかでも人気なのが「一由そば」です。
日暮里で働く人々においしいそばを24時間作り続ける
同店のご主人は日暮里でおいしいそばを作り続けて40年の大ベテラン。平成20年の「一由そば」開店前は「六文そば」で長いこと働いていたそうだ。
店の特徴は天ぷらの数が多いこと。カウンター上のショーケースには、あじ天、いも天、ピーマン天など約30種類がズラリと揃っている。そばの一番人気は「いかげそ天そば」。大ぶりなゲソがゴロゴロ入って、衣もカリッと香ばしい。味もボリュームも大満足の一品だ。また、天ぷらで麺が見えない「ジャンボいかげそ天そば」も人気。2つの人気メニュー用に、いかげそ天は毎日500枚以上揚げているという。
麺は太めでモチッと食感のゆで麺。つゆは色が濃く、しょうゆが強めで甘みは少ない。宗田節、さば節、かつお節から取っただしはほどよい酸味とコクがあり、つゆに深みを与えている。
客層はビジネスマンや学生、タクシー運転手など様々。荒川区と共同で、栄養満点かつヘルシーな料理「あらかわ満点メニュー」を開発するなど、地域活動にも積極的だ。日暮里の町に根を下ろして24時間休まず営業する同店は、市民にとって頼りになる存在だ。