iPhone 11シリーズの3モデルが9月20日に発売されます。買い替えを検討するうえで、iPhone 11とiPhone 11 Proシリーズのどちらを選ぶか悩んでいる人も多いのではないでしょうか。本稿では、発売前のiPhone 11とiPhone 11 Pro Maxの実機を試用する機会を得ましたので、両機の3つの違いに注目して、どんな差があるのかを検証しました。
【1】背面ガラスの質感
一つ目の違いは背面の質感です。iPhone 11とiPhone 11 Proシリーズは、ともに一枚のガラスから成形した背面が特徴的で、カメラ周りの四角く隆起した部分までがひとつながりになっています。カメラ自体がデザインのアクセントになり、その変化に合わせてAppleのロゴマークは中央へと移動。XS時代にあった「iPhone」の刻印もなくなりました。
iPhone 11は、航空宇宙産業グレードのアルミニウムを側面のフレームに使用します。光沢感のある背面ガラスの表面は、適度に手に吸い付くような触り心地。iPhone XRの質感に近く、光の角度によってはわずかに周囲の風景を反射します。
今回触ったカラーは「グリーン」。ミントのような軽くて涼しげな色合いでありつつも、悪目立ちするポップさはなく、コーディネートを問わずに合わせやすい色味だと思います。ちなみにロゴマークの色はシルバーです。
一方、iPhone 11 Proシリーズは、フレーム部に医療グレードのステンレススチールを使用。背面にはテクスチャードマットガラスを採用し、ロゴマークとカメラ周り以外はサラサラとした手触りになりました。指紋も付きづらく、高級感を醸し出しています。光沢感はありますが、反射による周囲の景色の映り込みはありません。歴代機のどれにもあてはまらない、全く新しい質感です。あえて言うならMacBookのサラサラ感が近いかもしれません。
今回触ったカラーは新色の「ミッドナイトグリーン」。Appleとしては珍しいガジェットらしい色味で、重厚感があります。コーディネートを選ぶデザインだと思うので、人によっては無理に新色を選ばず「シルバー」や「ゴールド」といったカラーも合わせて検討したいところ。
iPhoneのケースを装着しない派の人にとって、こうした差異は重視したいポイント。両モデルともにそれぞれ良さがあるので、どちらを選択すべきかはその人の好みによるとしか言えません。
とは言え、昨今のiPhoneのデザインは、ケースを装着するのが前提であるかのように個人的には思えます。ケースを装着して使用する予定の人ならば、両機の背面素材の差は気にせずに選択しても特に問題ないでしょう。
【2】望遠カメラの有無
まず両者に共通するカメラのアップデートとして、画角120度の超広角カメラを搭載したことは重要です。従来の広角カメラ(標準のカメラ)と比較して、表現の幅が広がりました。超広角カメラで撮影した写真は、周囲の歪みも少なく、日常的に使いやすい。動画やパノラマ撮影で使えることも面白いです。
また、機能としては、新搭載の「ナイトモード」が魅力的(※超広角カメラでは使えません)。実際に撮影してみたところ、ただ明るく撮影できるだけではなく、ディテールが潰れず、さらに温かみのある色味が再現されました。周囲の光量に応じて自動で適用される仕組みのため、設定操作などは基本的に必要ありません。
一方、2つ目の違いとしては、iPhone 11 Proシリーズだけに光学2倍相当の望遠カメラが搭載されていることが挙げられます。従来シリーズでも上位機種では望遠カメラがお馴染みでしたが、iPhone XSの望遠カメラがf/2.4だったのに対し、iPhone 11 Proシリーズはf/2.0。より明るく撮影できるようになりました。先述のナイトモードと合わせれば、暗所でも望遠カメラを有効活用できます。
ポートレートモードでの撮影を行う場合にも、iPhone 11 Proの望遠カメラがあれば、被写体に接近せずに撮影することができます。街で遭遇したネコを撮影してみましたが、正直、iPhone 11 Proでの撮影の方がラク。今回は運良くiPhone 11でも撮影することはできたのですが、半分くらいの距離までぐっと近づく必要があったので、逃げられてしまう可能性が高いと言えました。普段から動物を撮影する人にとっては、望遠機能は必須です。
また、レストランで料理を撮影したり、フリマアプリに小物を出品するために写真を撮る場面では、手元の影が写り込んでしまうことがありますが、望遠カメラがあると遠くから画質を落とさずに撮影できるので重宝しますよ(ただ、筆者はわりとココを重視したい人なのですが、特にこだわりがない場合には多少画質が落ちることを割り切れば別に問題ありません)。
ちなみに、ビデオ撮影の場合には、iPhone 11は3倍までしかデジタルズームで拡大できませんが、iPhone 11 Pro Maxでは6倍まで拡大可能。普段から動画素材を撮影する目的でiPhoneを使用する人にとっても、後者を選択した方が、表現が豊かになるでしょう。
【3】ディスプレイの違い
3つ目の違いはディスプレイです。iPhone 11は液晶の「Liquid Retina HDディスプレイ」を、iPhone 11 ProとiPhone 11 Pro Maxは有機ELの「Super Retina XDRディスプレイ」を搭載します。パッと見た印象はさほど変わりませんが、実はHDRコンテンツを視聴した際の輝度に大きな差があります。
iPhone 11のディスプレイは、解像度が1792 x 828ピクセルで、画素密度は326ppi。コントラスト比は1400:1となります。また、最大輝度は625ニトです。
iPhone 11 Pro Maxのディスプレイは、解像度が2436 x 1125ピクセルで画素密度が一回り高い458ppiに。コントラスト比はピークが2つあり、HDRコンテンツを視聴するときには2,000,000:1コントラストまで上がります。
今回は「TV」アプリでHDRコンテンツをいくつか視聴してみました。一番顕著な違いを感じたのは、Dolby VISION、Dolby Atmos対応の「バンブルビー」後半に出てくるカーチェイスのシーン。衝突して飛び跳ねた車両が電線に接触し、激しく火花を散らす場面です。
この火花がiPhone 11では「明るいな」と思う程度だったのですが、iPhone 11 Pro Maxでは「眩しいっ」と感じるほどに輝きました。ただし、両機ともにHDRコンテンツそのものには対応していますし、オーディオもDolby Atmosや空間オーディオ再生に対応するので、臨場感あるサウンドも共通。コンテンツやシーンによっては両者の違いはあまり感じられことも多いです。映画やゲームの映像のクオリティによほどのこだわりがなければ、iPhone 11を選んでも十分満足できるのでは、と筆者は思います。
まとめ
そのほか、防水性能やバッテリー持ちなどにも細かな差がありますが、どちらが非常に劣るという話ではないので、日常使いではそこまで気にしなくて良いと思います。以上の違いを踏まえてiPhone 11/11 Proシリーズを選ぶ際のポイントをまとめると
- ケースはつけない派で、高級感のあるサラサラした触り心地が好きならiPhone 11 Proシリーズが気に入るかも。ただし、ケースを装着するならどちらでもOK。
- 超広角カメラや夜景撮影の恩恵はどちらでも享受できる。しかし、食事に影を入れずに撮影したり、ペットをポートレートで撮影したりする場面が多いならiPhone 11 Proシリーズの方が満足度が高くなる。
- 映画ファンでHDRコンテンツの臨場感をより引き出して視聴したいならばiPhone 11 Proシリーズを選択すべし。一方、そこまでこだわりがないならiPhone 11で十分。
となります。
あとはご予算次第——。下取りなどを上手に活用しつつ、納得のいく機種をなるべく安く入手して欲しく思います。
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