【きだてたく文房具レビュー】かわいくて、きちんと消せて役に立つ消しゴム
昭和50年代頃、「かわいいけれど役に立たないファンシー消しゴム」というジャンルがやたら人気な時期があった。キャラクター型の消えない消しゴム(キン消しや怪獣消しゴムもこれに属する)、透明素材で消えない消しゴム、粉末状のどう消せばいいか分からない消しゴム……などなど、消しゴムと名乗っているくせに消字性能ゼロに近い“駄消しゴム”が、大量に出回っていたのだ。
これらは、“消しゴム”を名乗ることで学校に持ち込み可能となる“半オモチャ”という位置づけだったので、かわいさ優先。消せる必要はなかったわけである。
しかし時代は平成を経て令和の現在、「かわいいけれど役に立たないファンシー消しゴム」はもう、どこを見回しても存在しない。実は今のファンシー消しゴムは、素材や技術の進化により「かわいくて、きちんと消せて役に立つ」が当たり前なのだ。
消せないファンシー消しゴムを知る我々の世代から見ると「これで消せるとかウソでしょ?」と言いたくなるような、最新ファンシー消しゴムとは、どのようなものか。昔を知らない子どもにバカにされないよう、しっかりチェックしておこう。
頭髪を磁力でカムバック! かわいくて機能的な「磁ケシ」スピンオフ
まず紹介したいのは、GetNavi webでも何度も取り上げてきた「磁ケシ」の新バージョン、「おじケシ」だ。
「磁ケシ」は、黒い消しゴム(B~2Bの濃い鉛筆も良く消える高性能なもの)の中に微細な鉄粉が練り込まれており、その消しカスをスリーブ底部に内蔵した強力磁石で吸着させて、ポイと捨てられるというもの。
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https://getnavi.jp/stationery/336361/
もちろん「おじケシ」も機能的には全く同じ……なのだけど。
ラインナップは、かわいいおじさんキャラが6人。で、この6人ともに共通なのが、ええとあのー、頭髪を簡略化することにより頭頂部で気温や天候の変化を敏感に感じ取れるよう進化したタイプということ。で、なんでこういう特徴的な“ヘアスタイル”の人たちが「磁ケシ」になっているかというと、つまりはこういうことだ。
スリーブ底部(おじさんの頭)に強力磁石を内蔵しているので、消しカスを集めるとこの通り、フサフサ黒々とした頭髪がおじさんの頭に戻ってくるのである。カムバック青春。リメンバーあの頃。
どう見てもヅラだろうそれ、という気はするが、それでも心なしかおじさんたちの顔も喜んでいるように見えるのは、感情移入しすぎだろうか。
集まった髪の毛もとい消しカスは、ゴミ箱の上でスリーブ底部をスライドさせることによって、まとめてポイと捨てられる。
ちなみにこのとき、再び毛を失っちゃったおじさんたちの頭にお花が咲くのだが、これは大きすぎるショックで茫然自失した……的な比喩表現なの?(だとしたら切なすぎる)
ちなみに、「おじケシ」と同時発売された「磁ケシ(動物)」シリーズは、もうちょっとストレートにかわいい感じ。柴犬や猫などの動物10種がスリーブに印刷されており、こちらも同じように底面の磁石で消しカスを吸着するようになっている。
「あれ、こっちは頭髪みたいなギミックはないの?」と思いつつ消しカスを捨てようとスライダを引き出すと……あれ、かわいい!
なんと動物たちが、掴んでいた消しカスを、手を伸ばしてポイと捨ててくれるのだ。こちらは切なさゼロで、ついつい何度もポイさせちゃいたくなること請け合いだ。