ライフスタイル
2019/11/30 18:00

PTA史上最大の作戦!――公園の掃除から畑仕事まで「地域行事」はトラップだらけ!!

あなたの知らないPTAの世界~第4回~

 

【第1回】PTA本部役員への道……それは、1本の電話から始まった!!

【第2回】PTAはやっぱりブラック!? 怒涛の忙しさのなか緊急事態発生!!

【第3回】PTAは誰のため?――対決!! 「PTA活動ゼッタイやりたくない!」ママ vs. 本部役員!!

 

子ども全員が中学校を卒業するまで、PTAの委員をやらなくてもいい!という「永久免除(永免:えいめん)制度」をご褒美に、一年間この身を捧げてPTA本部役員を務めているわけですが――。

 

PTAをやりたくないママたちが続々と出現するも、なんとか話をまるく収めるべく、日々精神をすり減らしながら活動しております。

 

さて、入学式、委員選出、前期PTA総会と怒涛の4月5月が過ぎ、次の大きな行事は2学期の運動会。それまでは、旗振り当番の調整やら広報誌の作成やらいろいろあるけれど、年度初めよりはゆったり過ごせそうかな~。なんて少しホッとしていたのですが、現実はそう甘くなかった。

 

本部役員を引き受けるまではまったく知らなかった、PTAの重大な任務があったのです。それはズバリ「THE 地域行事の参加」!

 

 

地域の権力者が集う合同会議に出席!

校長・教頭先生方との役員会議から始まって、全委員さんとの打ち合わせや土日活動委員会のママたちとのキックオフミーティングなど、さまざまな人との顔合わせが続いた年度初め。

 

そのなかに、謎の合同会議(ここでは、仮にA会議とします)があることを発見したのは、去年の役員さんからの引き継ぎ表を眺めていたときのことです。

 

私「A会議……? これって、どんな会議なんですかね?」

カイチョー「僕も詳細はよくわからないんだけど、地域の方との顔合わせになる重要な会議らしいよ。前年度役員さんからも、できるだけフルメンバーで出てほしいって言われてる」

 

そういえば、前年度さんが「地域の人たちには、くれぐれも失礼のないように」って言ってたっけ。でも、そんなに地域の人と接する機会ってあるのかな? などと思いながら、この日どうしても仕事を休めないというカイチョーとにいやんを除く5名の本部役員で出席しました。

 

ちなみに、前年度さんが一人引き継ぎ役として参加してくれるとのことで、特に何も準備せず軽い気持ちで出席するつもりだったのですが、これがいかに大切な会議だったかを後々痛感することに……。

 

 

VIP待遇の謎のおじいちゃん登場!!

迎えた会議当日。開始時間の20分以上前から次々とやってくる人々。結構年配の方が目立つ。立ち会ってくれた前年度役員さんは、いろんな人に頭下げながら挨拶してるし、市の職員さんや校長・教頭先生までやってきて、想像してたより大きな規模の会議っぽい!

 

そんな中で、明らかに他の人たちとは一線を画す、VIP待遇のおじいちゃんが部屋に現れました。すぐに周りの人に取り囲まれてる! からの、中央のメイン席に座った! 何者かわからないけど、あのおじいちゃんがキーマンに違いない。

 

ほどなくして会議が始まり、徐々にこのA会議の全貌が見えてきました。

 

なんでも、PTAと地域ボランティアさんがタッグを組んで行うイベントが、ものすごくたくさんある様子。たとえば、盆踊りや夏祭り、体育祭、文化祭、クリスマス会、月に何度か放課後の運動場や公民館を開放して、子どもたちに遊び場を提供する放課後クラブや、いろいろな習い事が体験できる土曜日教室などなど。

 

これらは市から一部補助金をもらい、地域のボランティアさんと学校、PTAが協力して行っているんだって。

 

そういえば私が子どものころも、子ども会の支部対抗運動会とか、夏祭り、おみこし他、学校外の行事がたくさんあったっけ。いつの時代も、子どもたちを楽しませるために、地域の人とPTAが尽力していたというわけか……。

 

このA会議は、昨年度の決算報告と主要メンバー顔合わせ、そして年間のスケジュール調整が主な議題です。そして、先程のVIP待遇おじいちゃんこそ、この地域の大地主であり、すべての組織を牛耳る重鎮でした。

 

 

笑顔の裏に隠れた思惑あり! 重鎮vs PTAの攻防戦

じつは、この会議の直前に前年度役員さんからこんなことを釘刺されてました。

 

「何を言われても、『はい』って答えたり、うなずいたらダメだよ!」

 

え、どゆこと? なにを言われるんだろ……。一抹の不安を抱えながら、会議がスタート。

 

重鎮自ら、にこやかに議事進行をしていきます。どう見ても、近所に一人はいそうな気のいいおじいちゃん。けれども、圧倒的な発言権と行使力を持っていること、でもって細かい部分まで耳を貸さない、自分の意図する方向へ事を運びたい!という、少々強引なタイプであることは、会議開始数分で十分伝わってきました。

 

簡単な自己紹介こそしたものの、それ以降は特にPTAが意見を求められることもなく、このまま何事もなく会議が終わるか……と思っていたそのとき。なんだか会議全体の雲行きが怪しくなってきました。

 

年間通じて行う土曜日教室の長をしていた人が「私は、事務局長を昨年度末で退任させていただきました。今年からは一切関わりません!」と突然宣言したんです!

 

ざわつく会議室。すると、重鎮の体が少しずつ私たちの方に向き始め……。

 

「いまお聞きの通り、○○さんが事務局長を辞められるということで、私たちもほとほと困っている。土曜日教室の運営には、少なくとも毎回の出席メンバーの確認と先生への連絡、報告書の作成が必要だ。どうか、どうかご協力をいただけないだろうか」

 

あれ、なんかお願いされてる?「PTAの皆さん」とは言ってないけど、明らかに本部役員がロックオンされてるし! とここで、こそっとメモが回ってきた。開くと「絶対に、ハイって言っちゃダメ!」とのなぐり書きが。

 

そうか、今が正念場なのか! 

 

切々と訴えかけてくる重鎮。対して、頷くことも声を発することもできず、ただ曖昧な表情で時が過ぎるのを待つ我ら5名。

 

様子を見かねて、前年度役員さんが「今日は会長も欠席していますし、この件は日を改めてということでお願いできませんでしょうか」と助け舟を出してくれて、なんとかその場は収まりました……。会議後、改めて重鎮のもとへ挨拶をしに行くと、笑顔で談話しつつも、目の奥には鋭い光が。「さっきの話、会長さんとも相談しておいてもらえませんかね」と言い残し、重鎮は去っていきました。

 

PTA室に戻って、みな開口一番「あっぶなかった~!(汗)」

 

いやー、もしもあのとき、うっかり「ハイ」って答えてたら、ものすごい量の新たな仕事を担当しなくちゃいけなかった! 前年度さんの忠告があって助かった!

 

以降、重鎮とは何度もお会いしてるけど、彼の話は正直、的を射ないことが多い(苦笑)。まわりくどくて、モゴモゴ何言ってるのか聞き取れないこともある。話が回り道しすぎて何の話をしてるのかわからなくなってきたころに、無理めなお願いをぶっこんでくるからホント、要注意人物です。いい人なんですけどね……。

 

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