2019年は中国から勢いのあるポータブルオーディオブランドが数多く日本に上陸しました。その勢いは2020年も止まりそうにありません。
増え続けるブランドのなかで“間違いのない”製品を選び抜くためのポイントは、ポータブルオーディオについてはやはり「音質」へのこだわりに注目することだと思います。筆者が2019年に出会った新鋭ブランドのなかで、AIR by MPOW(エアー・バイ・エムパウ)は音質と機能、コストパフォーマンスの三拍子が揃っていた注目株。手頃な価格でゲットできる同社の製品ラインナップを紹介しましょう。
満を持してローンチした日本オリジナルのシリーズ
AIR by MPOWは、2011年に香港で誕生したMPOWブランドを源流としています。ポータブルオーディオは欧米を中心に実績を積み、いよいよ日本市場に進出するにあたって日本オリジナルブランドのAIR by MPOWを2019年に立ち上げています。
同社の製品が音の良さをうたう理由は、音響設計のエンジニアリングに時間をかけてのぞみ、社内ラボでの品質テストも入念に行ってきた自負があるからです。同価格帯の製品の中でも頭一つ抜けるハイクオリティを追求しながら価格が安価に抑えられているのは、オーディオ製品に経験豊富な提携工場で大規模な生産を行っているからだとか。
さらにヘッドホン・イヤホンの音作りには日本人のサウンドエキスパートが関わっているとのこと。現在完全ワイヤレスイヤホンも含めて4つの製品がAIR by MPOWから発売されています。今回はワイヤレスヘッドホンの「X4.0J」と、ネックバンドタイプのワイヤレスイヤホン「X2.1J」を中心にハンドリングしながら、同社製品の特徴をレビューしたいと思います。ふたつの製品はともにアクティブ・ノイズキャンセリング(NC)機能を搭載した点も見逃せません。
1万円を切るノイキャン&ワイヤレスヘッドホン「X4.0J」
X4.0Jはアクティブ・ノイズキャンセリング機能を搭載するワイヤレスヘッドホンとしてはダントツに高いコスパを実現しています。同社の直販サイトでは8780円で販売されています。
密閉型のハウジングには40mm口径のダイナミック型ドライバーを搭載。内蔵するマイクでハンズフリー通話も可能で。本体はIPX5相当の防滴対応です。
内蔵バッテリーによる連続音楽再生は約20時間まで可能。10分の充電で約1.5時間連続して音楽が聴ける急速充電機能も搭載しています。
ハンドリング性能の面では本体がとても軽いところにも好感が持てます。コンパクトに折りたためるコラプシブルデザインとしているので、パッケージに付属するポーチに入れて旅行など様々な場面に持ち出せそうですね。
サウンドはiPhone 11 Proにペアリングして聴いてみました。BluetoothのオーディオコーデックがSBCまでの対応としていますが、それでもクリアで雑味のない中高域再生を実現している音作りに巧みさが感じられます。ボーカルが伸びやかかつ立体的で、ピアノやギターのメロディも派手さはないものの、明るくキレのあるサウンドが楽しく聴けます。低音がだぶつくこともなくタイトに押し出せるので、アップテンポなEDMやロックの楽曲によくハマりました。
アクティブ・ノイズキャンセリング(ANC)機能はオン・オフを切り換えて使えるヘッドホンですが、やはりオンにした方が音にまとまりが出てきます。消音効果は高・中・低、全帯域のノイズを適度な強度で消し込んでくれます。ANC機能を搭載する低価格帯のヘッドホン・イヤホンにありがちな不自然な消音効果による不快感がありません。例えば航空機の飛行ノイズが程よいバランスに減衰されるので、機内で楽しむ映画や音楽にも集中できます。ヘッドホンの側圧によるプレッシャーも緩やかなので、2時間前後の映画鑑賞の間も負担に感じませんでした。パッケージに付属するヘッドホンケーブルをつなぐとプレーヤー機器に有線接続もできるので、機内エンターテインメントも不自由なく楽しめます。
アンダー1万円のANC機能を搭載するワイヤレスヘッドホンとしては、音質と実用性の両方からよく練り上げられた完成度の高いモデルだと思います。イヤーカップに搭載するボタンによるリモコン操作もシンプルなので迷うことがありません。あえて注文を付けるとしたら、同社のほかのモデルもそうですが、今後ブラック以外のカラバリを増やしてもらいたい、というところでしょうか。