「羊が1匹、羊が2匹…」。夜眠れないとき、羊を数えるというのは常識となっています。
でも、なぜ羊なんでしょう? そして、なぜ羊を数えると眠くなるのでしょう?そんな疑問に答えてくれるのが、『子どもに大ウケ たのしい雑学クイズ365』(中村智彦・監修/世界文化社・刊)です。
子ども向けの雑学ネタ満載の書籍ですが、大人が読んでも「ほほう」となるネタも多く掲載されています。
羊で眠くなる原因は発音にあった!
そして本題。なぜ、眠れないときに羊を数えるのでしょうか? 本書には以下のように記されています。
眠れないよりに必備を数えるという話のネタ元は、欧米の民話『果てしなし物語』といわれています。召使いが「羊が1匹、羊が2匹……」と単調なフレーズをくり返すことで、王様が退屈になって眠くなるように仕向けたのです。
(『子どもに大ウケ たのしい雑学クイズ365』より引用)
まあ、羊をただひたすらカウントすれば退屈なのは想像できます。眠くもなるでしょう。しかも、英語で羊は「sheep」。「シー」という息を吐く発音なので、自然と腹式呼吸となるのも眠気を誘うようです。
ただし、この羊を数える睡眠法、日本人にはあまり効果がない模様。
しかし日本語で「ヒツジ」と言っても腹式呼吸にはならないので、日本では眠気を催す効果はないといえます。
(『子どもに大ウケ たのしい雑学クイズ365』より引用)
「シー」と発音することで腹式呼吸となり眠気を誘うシステムなのだから、「ヒツジ」と発音する時点でこの理論は成立しません。そう、我々日本人は羊を数えたところで眠くなんてならないのです! シーラカンスとか数えたほうがいいかもしれませんね。
羊羹は甘いお菓子ではなかった
羊つながりでもう1ネタ。甘くておいしい和菓子、羊羹。「羊」という漢字がはいっていますが、特に羊要素は感じられません。なぜ羊という漢字が使われているのでしょうか。
「羊羹」の「羹」は、「あつらえもの」と読みます。羹はとろ味のあるスープのこと。唐(昔の中国)では、羊のスープのことを羊羹と呼んでいました。
では、なぜこれがあの甘いお菓子の名称になったのでしょう。それは、唐に留学した禅僧が間食用として持ち帰ったのが始まりのよう。
しかし、禅僧は肉食禁止だったので、羊羹に羊肉を使えず、小豆や小麦粉、葛粉といった植物性の材料を使った汁ものが作られました。やがてそれに甘みが加わって蒸し羊羹となり、江戸時代の後期には寒天を用いた今風の練り羊羹が作られるようになりました。
(『子どもに大ウケ たのしい雑学クイズ365』より引用)
羊肉のスープがいろいろな事情で和菓子に変わったため、名前だけが残ったのですね。
これから羊羹を食べるときは、「これは元々は羊のスープだったんだ」と思うと、なんだか別な食べ物のように感じるかもしれません。
こういった雑学は、別に知らなくても生きていけますが、知っておくと身の回りの物事が新鮮に見えてきます。お子さまに読ませるだけでなく、自分でも読んでみると新しい発見があるかもしれませんよ。
【書籍紹介】
子どもに大ウケ たのしい雑学クイズ365
著者:中村智彦
発行:世界文化社
動物、自然、社会など身の回りの疑問をおもしろく、わかりやすく解説!読み応え抜群、最新雑学365ネタを収録。バラエティー番組感覚のクイズ形式なので、家族でワイワイ楽しむことができ、簡潔な説明で子どもにも教えやすい。