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2020/4/23 21:00

マツダのSUV「CX-30」を分析。「マツダ3」に勝るエレガントな内装と快適な乗り心地だった

ベテラン自動車ライターの永福ランプとフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をするクルマ連載。今回は昨年発売されたマツダの新型SUV、CX-30を取り上げます。見た目はシュッとしていますが、中身はどうでしょうか?

 

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永福ランプ(清水草一)

日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。様々な自動車専門誌や一般誌、ウェブなどで、クルマを一刀両断しまくっています。2018年以降、ペンネームを「MJブロンディ」から「永福ランプ」へ変更しています。

 

安ド

元ゲットナビ編集部員で、現在はフリーエディター。永福ランプを慕い「殿」と呼んでいます。

 

【今月のクルマ】マツダ/CX-30

SPEC【XLパッケージ・4WD】●全長×全幅×全高:4395×1795×1540mm●車両重量:1540kg●パワーユニット:2.0L直列4気筒●最高出力:180PS(132kW)/6000rpm●最大トルク:224Nm/3000rpm●WLTCモード燃費:16.8km/L

239万2500円〜371万3600円

 

内装は(マツダ3より)CX-30のほうがエレガントだ。マツダ3は足回りが固すぎるのが難点だったが、CX-30は乗り心地が適度にソフトで、そのふたつに関しては断然良かった」

安ド「殿! CX-30は、マツダ3の車高を上げてSUVにしたクルマですよね!」

永福「そうとも言えるが、そうではない」

安ド「どっちなんです?」

永福「ベースは同じだが、形はかなり違う。特に車体の後部は形状がまるで違う」

安ド「そ、そうなんですか?」

永福「サイドウィンドウの形を比べるとよく分かる。ついでに言うと、実はマツダ3よりCX-30のほうが全長が6.5cmも短くて、全高は10cmしか高くない。ギリギリ立体駐車場にも入る高さだから、一見大きそうに見えるCX-30のほうが取り回しはラクだ」

安ド「それは意外です!」

永福「私もさっき知った」

安ド「ガクーッ! それにしてもデザインがきれいですよね!」

永福「デザインもマツダ3に準じているが、マツダ3ほどデザイン優先でもないな」

安ド「SUVにしては窓の上下幅が小さくて、コインパーキングで駐車料金を払うとき釣銭口に手が届かなくて困りましたが」

永福「それは釣銭口が下のほうにあるからで、SUV共通の問題。窓の上下幅は関係ないんじゃないか?」

安ド「そ、そう言われれば……」

永福「デザインはマツダ3のほうが純粋に美しいが、CX-30もかなり良い」

安ド「内装も高級感がありますね!」

永福「内装はCX-30のほうがエレガントだ。それに、マツダ3は足回りが固すぎるのが難点だったが、CX-30は乗り心地が適度にソフトで、そのふたつに関しては断然良かった」

安ド「新開発のスカイアクティブXエンジンはいかがですか?」

永福「高すぎる……」

安ド「いきなり価格ですか!」

永福「価格は一番重要なポイントだ。どんなに良いエンジンでも、高すぎたら価値はない」

安ド「僕は、トルク感のなさが残念に感じました」

永福「確かに期待ほどじゃない。やっぱりディーゼルのほうがトルクがあって良いな」

安ド「ですよね! これでめちゃくちゃ燃費が良いならともかく、実質リッター12kmくらいでしたから、それほどでもないですし」

永福「フツーのガソリンエンジンより2割パワフルで2割燃費が良いというところだ。それで68万円も高くなるんじゃ、割に合わない」

安ド「スカイアクティブXは失敗作ですか?」

永福「いや、ガソリン圧縮着火という夢の技術を実現したのは、本当に頭が下がるし涙が出る思いだが、あまりにもメカが複雑になり、価格が上がってしまった」

安ド「やっぱり失敗でしょ?」

永福「40万円値下げしてくれればオッケーだ。ムリだろうが……」

安ド「ディーゼルを買えば良いってことですね!」

永福「だな」

 

【注目ポイント1/樹脂パーツ】SUVらしさを主張する足もとの黒い部分

車体下部をグルリと一周するように黒い樹脂パーツが付いています。これは、悪路走行でボディをぶつけてもキズが付きづらくするためです。いまやクロスオーバーSUVで悪路を走らせることも少なく、キャラ付けみたいなものですね。

 

【注目ポイント2/コマンダーコントロール】手元を見なくてもグリグリ操作できる

運転席と助手席の間、センターコンソールのシフトノブ後方には、このようにボタン類が整然と配置されています。真ん中のダイヤルをグリグリ回してカーナビやら何やらを操作できます。ひと昔前は、輸入車に多かったものです。

 

【注目ポイント3/トランスミッション】マニアを刺激するマニュアル車の設定

CX-30にはATだけでなく、多くのグレードにMTの設定があります。普通の人は「いまどきMT?」と思うかもしれませんが、これだけでカーマニアはマツダを褒め称えます。ま、実際はマニアでもほとんどの人はATを買うんですけどね。

 

【注目ポイント4/荷室&リアシート】デザイン優先だが実用性は低くない

デザイン優先のために低く設計されているルーフ高。ゆえに後席は狭いと思われがちですが、実際それほどでもなく、平均身長くらいの日本人なら快適に過ごせるレベル。荷室はそれほど広くないですが、狭すぎることもありません。

 

【注目ポイント5/リッド付きカップホルダー】優雅に開くフタが高級感を演出

CX-30は、エクステリアだけでなく、インテリアもとても質感高くまとめられています。シフトの前方に設置されたカップホルダーも、まるで高級車のような分厚いフタが付いていて、実に“ゆっくり”と開きます。この“ゆっくり”が優雅さを感じさせます。

 

【注目ポイント6/スカイアクティブX】高い技術料を支払う必要あり

CX-30には、ガソリンエンジンとディーゼルエンジン、そして新世代ガソリンエンジンの「スカイアクティブX」と、3種類のパワーユニットがラインナップされています。技術的にものすごい仕組みで、高い低燃費性能を実現したスカイアクティブXですが、価格もちょっと高めです。

 

【注目ポイント7/ヘッドライト&グリル】目はそっくりでも顔の印象は異なる

ヘッドライトは最新のマツダテイストで、中央の大型グリルにメッキパーツを介して薄型ヘッドライトがつながっています。このあたりもマツダ3とそっくりなんですが、バンパーの厚みがあるだけでCX-30は顔がゴツく感じます。

 

【注目ポイント8/テールゲート】ゆっくり盛り上がってキュッとくびれる

ボディ後方は特徴的な形状で、ルーフからなだらかに下がってきたラインが頂点を迎えた後、一度くびれてから、またバンパー部分にかけて盛り上がっています。まるでマッチョマンの胸筋のようでたくましさを感じます。

 

【注目ポイント9/エンブレム】なぜ「4」ではなくて2ケタになったのか?

マツダのSUVといえば、CX-3とCX-5がありました。CX-30はその間のサイズなのですが、車名はCX-4ではなく「30」に。これまでのラインナップからはみ出た異端児的な存在という意味らしいですが、次に追加されるモデルの車名が気になりますね。

 

【これぞ感動の細部だ!/サイドパネル】マツダ3と異なるサイドに隠れたS字の表現

マツダ3をベースに設計されたCX-30ですが、ボディサイドパネルは、マツダ3とはまた違った面持ちで美しくまとめられています。ハッキリとしたキャラクターラインがなく柔らかい面の表情で表現しているのは同様ですが、CX-30はフロントドアからリアドアにかけてSの字が浮かび上がるような造形になっていて、前後方向への伸びやかさが感じられます。

 

撮影/我妻慶一

 

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