ステイホームでも室内で過ごす時間が増えたいまこそ、自宅で簡単に工作できるヘッドホンアンプ制作に挑戦してみませんか。「ハンダ付けは敷居が高い」という方へ、ドライバーとレンチがあれば30分で組み立て可能な「Nu:tekt HA-S」キットをご紹介します。電池で動作する真空管を使ったユニークなアンプで、キットでしか手に入りません。
次世代真空管Nutubeを搭載
音だけでなくほのかに光るガラス管が魅力の真空管アンプは、動作させるには数百ボルトの電圧が必要で、プリント基板を使わないディスクリート回路のキットが多いとビギナーには手の出しにくい面がありました。さらに電池駆動のモバイル用のヘッドホンアンプに真空管を搭載することは困難とされていたのです。
これらの問題を解決したのがNutubeという次世代真空管です。これは、オーディオメーカーのKORGとノリタケ伊勢電子のコラボによって開発されたもの。もともとは蛍光表示管だったものをオーディオ用に改良して倍音成分が豊かな直熱型双三極管として働くように製品化されました。
従来の真空管の2%以下の電力しか消費せず、5Vから80Vで動作するため電池駆動に対応、連続使用時間は3万時間以上と長寿命。見た目はLEDのようですが中身は立派な真空管。Nutubeは通常パーツとして販売されています。これを使った製品にポータブルプレーヤー「Cayin N8」があり、38万8800円と非常に高価なハインエンドモデルとなっています。「Nu:tekt HA-S」はキットということで税込2万7500円で入手可能。
撮影しながら組み立てても45分で完成
「Nu:tekt HA-S」は基板にすべての部品が実装済みなので、基本はネジ止めだけで完成します。撮影しながら作って45分だったので、ビギナーの方が慎重に作っても30分、慣れた方なら15分ぐらいで完成できると思います。
箱を開けたら最初にすべてのパーツを取り出して、説明書にあるパーツリストと見比べて欠品がないかをチェックしましょう。ネジ類は小さいので無くさないように小皿に乗せるか、口が閉まるジップロックなどのプラスチックバッグに収納します。
Nutubeの真空管は衝撃に弱く物理的には壊れませんが、振動がノイズの原因になるためスポンジで周囲をカバーしてメイン基板にスポンジ付き両面テープで固定します。メイン基板に固定用のネジを締め込んで、缶ケースに収め裏側から2本のネジで固定します。
メイン基板をケースに収めたらほぼ完成!
メイン基板を滑らせるようにして、ボリューム用の穴のある方に向けて収めたら、絶縁用のシートを両面テープで缶ケースの底に固定します。端子の位置を確かめたら、裏側からナベ頭ネジでメイン基板をネジで止めましょう。ボリュームはワッシャ−を挟んで10mmのレンチでナットを締め込みます。レンチがなければラジオペンチか手で締めることも可能。
次にボリュームノブを固定しましょう。この時、イモネジを締めるためにマイナスの精密ドライバーが必要です。これは代用品がないため必ず用意しましょう。フタの裏に電池抑え用のスポンジを貼って、ローレットネジを手で締め込んだら完成です。フタはアクリル製でネジをドライバーで締め込むと割れる可能性があるので、手で回すだけで充分です。