在宅ワークの困りごととして挙げられるのが、「集中できない」ということ。無論、“仕事をする場所”として設定されているオフィスと、プライベート空間の自宅では雰囲気がまるで違う。“休むための自宅空間で働く”なんて、本来ならありえない話なのだ。集中できなくても当然なのである。
とはいえ、在宅ワークで働くしかない→とはいえ落ち着かない→それでも集中して働かなければならない→無理してストレスが溜まる→よけいに集中力が削がれる……完全な負のスパイラルである。ここから脱却しようと考えるなら、スパイラルのどこかを改める必要があるだろう。「無理して頑張ろうとする」部分しかない。在宅ワークは、無理しない・頑張りすぎない、がコツなのだ。
そこで提案したいのが、いま小中学生に人気の「タイマー学習法」の応用だ。タイマー学習法とは「30~45分勉強したら10分休む」のローテーションを、タイマーを使って管理する学習メソッド。長時間だらだらせず、深い集中が持続できる時間だけ使って、その後は休んで気分をリセット。こうすることで、集中力を長く持続させるわけだ。(「ポモドーロテクニック」という名称でご存知の方も多いかもしれない)
これなら短時間集中するだけなので、在宅でも無理せず仕事に向き合えるのではないだろうか。
残り時間が“見える”タイマーで短時間集中
実際、いま子どもの勉強用に学習タイマーが人気を集めている。各メーカーから面白い製品がいくつも発売されているが、なかでも個人的におすすめしたいのが、ソニックの「トキ・サポ 時っ感タイマー」である。
ソニック
トキ・サポ 時っ感タイマー(10cm)
2200円(税別)
いまのタイマー製品はほとんどがデジタルなのだが、この「時っ感タイマー」はご覧の通りアナログ式。
使い方は簡単で、例えば45分仕事をしたいなら、中央のダイヤルを時計回りにぐるっと回して、45のところに針を合わせるだけ。これでもうタイマーはスタートして、針が0に戻ったらアラームが鳴る、というシンプルな機構である。
こんなの、厳密に時間管理をしたい社会人に向いてねぇだろ! と怒る人はすでにかなりストレスが溜まっているはずなので、ちょっと休むといい。むしろアナログ式だからこそ、時間管理がしやすいということもあるのだ。
いま、0の部分から針のある45のところまで、色のついた帯がぐるっと伸びているのにお気づきだろうか? これが、このタイマーにおける最大のポイント、残り時間の可視化機能だ。
針が戻るにつれて色の帯もどんどん減っていくので、パッと見ただけで、残り時間がどれくらいなのかを体感的に把握できるという仕組みである。
もちろんデジタル表示のタイマーでも残り時間は目に見えるが、それはあくまでも「残り9分25秒」などの数値的なものでしかない。それよりも、ざっくりと「あ、もう1/3過ぎたな」というように視覚で捉えられたほうが、脳にスッと入りやすいのだ。
タイマーをかけて仕事をすると、最初のうちは「気付くと時間になっていてタイマーが鳴っている」ということが多い。が、このメソッドに慣れると、ちょくちょく盤面を気にする余裕も出てくるだろう。
そういうときに「残りもうちょっと?」と感覚的な把握ができると、「じゃあこの作業だけ片付けて休憩しよう」といった気分の切り替えもしやすくなるのだ。これがデジタルだと、あと2分、あと1分12秒、あと……と数字で追いかけられてしまうので、気分が切迫するため、逆にストレスを生みかねない。あくまでも無理をしないための時間管理なので、やはりアナログのざっくり感がおすすめである。
在宅ワークの時間をタイマー管理することで、もうひとつメリットがある。それがエコノミークラス症候群の予防だ。外出や社内を移動してのミーティングがない分、自宅でずっと座りっぱなしになりがち。ということで、最近は自宅でエコノミークラス症候群になるケースが増えているのである。
こまめに時間を区切って休憩すれば、そこで水分を摂ったりちょっと身体を動かしたりできる。それだけで予防できるのだから、タイマー使っての在宅ワークはメリットしかないよ、という話だ。
「きだてたく文房具レビュー」 バックナンバー
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