新型コロナウイルスの影響で、テレワークが急速に一般的なものとなった。接触を減らすという当初の目的以外にも「通勤時間を削減できる」「家族との時間を増やせる」など、メリットは多く、「コロナ後」も定着しそうだ。
※こちらの記事は「GetNavi」 2020年8月号に掲載された記事を再編集したものです。
「とにかくやる」段階から快適性や効率を求める段階へ
突然の外出自粛要請で、急遽テレワークを始めることになったという人は多いだろう。そうした人でも一定期間が経過したいまは、テレワークにも慣れ、快適性や効率を求める段階へと移行しつつある。従来は仕事向きではなかった自宅で、なるべくオフィスに近い環境を整えようという流れだ。
テレワークが一般化する要となったのはビデオ会議だ。なかでも会議に適した機能が充実した「Zoom」は大ヒットサービスとなった。また、ビデオ会議をビジネスシーンで活用するには、その品質も重要だ。対面での会議になるべく近づけるよう、高品質なカメラやマイク、高速Wi-Fiルーターといったビデオ会議向けギアの需要も高まっている。
こうした作業環境の整備が個人に託されたのも今回のコロナ禍の特徴だ。PCやプリンターの販売数が一気に増加し、格安ノートPCやタブレットなども売り切れが多発した。また、作業時間が長くなりがちなテレワーク向けに、リビングでも快適に仕事ができるよう、PC用デスクやチェア、ディスプレイなどを導入する動きもある。
コロナ禍で加速したとはいえ、テレワークの推奨は社会的な流れでもあった。コロナの終息後もテレワークは継続されると考えられており、今後もテレワーク関連商品への注目は高まりそうだ。
【コレがヒット!】Zoom
招待・参加が手軽で、会議を円滑にする機能も豊富なビデオ会議サービス。コロナ禍を経て利用者が約30倍に増加しており、現在は1日延べ3億人が利用する。
【その1】利用者が30倍に躍進した最有力ビデオ会議サービス
Zoom
Zoom
無料(アプリ内課金あり)
PCやスマホのアプリのほか、アカウント不要でウェブブラウザからも参加できるビデオ会議サービス。無料で100人まで会議に参加でき、「録画」や「挙手して発言」、「投票」「個人間でこっそり文字チャット」など、便利機能も充実。
【ヒットのワケ】バーチャル背景向けの画像配布が話題を読んだ
自宅でビデオ会議に参加する際、自室が映り込んでしまうのが嫌な人は多いだろう。そんなときはバーチャル背景機能を使えば、自分の映像はそのままに、背景だけ好きな画像に変えられる。企業が公式で背景画像を配布するといったプロモーションも話題を呼んだ。
【その2】画面共有などの機能が次々と追加された
LINE
LINE
無料(アプリ内課金あり)
日本で約8割の普及率を誇るLINEは、ビデオ会議にも利用可能。先日、ビデオ通話時に、スマホ画面やYouTube動画を参加者で共有可能になるなど進化を遂げた。
【その3】高い知名度を誇るネット通話の代名詞的存在
マイクロソフト
Skype
無料(アプリ内課金あり)
2003年に誕生し、現在はマイクロソフトが提供。「相手がSkypeを立ち上げ、ネットにつながっている(オンライン)かどうか」を相互に確認できる点が便利。
【コレがヒット!】ビデオ会議向けギア
ビデオ会議をより快適にしてくれる周辺機器は売り切れ多発の事態に。高性能なカメラやマイク、高画質映像配信に対応できる高速Wi-Fiルーターなどが売れた。
【ヒットのワケ】より高品位&快適さを求める人が急増した
ノートPCに内蔵されたカメラやマイクでもビデオ会議はできるが、機会が増えたことでより高品位かつ快適な使用感を求めるユーザーが増加。ルーターの買い替えなどの需要も喚起し、関連アイテムが売り切れ多発の状態になった。
【その1】カメラを近くに設置してもしっかり収まる広角対応
【ウェブカメラ】
ロジクール
PRO STREAM WEBCAM C922n
実売価格9890円
オートフォーカス対応ウェブカメラ。フルHDの1080p(30fps)や、720p(60fps)といった高品質で撮影可能。画角が78度と広く、狭い場所でも上半身がしっかり収まります。暗い場所でもキレイに撮れる明るさ補正機能や、音声の鮮明なステレオマイクも装備。
【その2】最新の高速規格Wi-Fi 6にいち早く対応!
【Wi-Fiルーター】
TP-Link
Archer AX50
実売価格1万3860円
Wi-Fi 6に対応し、最大2402Mbpsで通信可能なルーター。4本のアンテナと利用中の端末を狙って電波を届けるビームフォーミング機能により、到達範囲も広い。転送遅延が最大75%まで減少しており、ビデオ会議での不自然なズレも低減できる。
【その3】音声に特化したマイクとイヤホンで明瞭に会話
【ヘッドセット】
Jabra
Talk25
実売価格3890円
会話用に最適化された無指向性マイクと直径11mmのスピーカーを搭載したBluetoothヘッドセット。音声通知も利用可能で音楽再生にも対応する。Android向けの専用アプリでは、設定やテキストメッセージの読み上げ機能などを利用できる。
【Column】仕事だけじゃない! オンライン飲みも話題に
飲み会は、会議以上に濃厚接触の危険度が高いうえ、自粛期間中の飲食店は臨時休業が多発していた。これを受けて、注目を集めたのがビデオ会議のシステムを利用した「オンライン飲み」だ。「コストが抑えられる」「終えたらすぐ寝られる」などメリットも多く、大きな話題になった。
■オンライン飲みの経験調査
経験済み、または興味があるという人は約25%と、知名度に比べて浸透度はそれほど高くはない結果に。しかし、別の調査では、体験した人の半数がリピートするなど、若年層を中心に定着しつつある。
オンライン飲み会に適したアプリも!
「いまの参加者」が入る前にわかってありがたい
Life On Air
Houseparty 無料(アプリ内課金あり)
欧米でも人気のビデオ通話アプリ。「パーティー」というグループ単位で会話する。各パーティーの参加者が事前にわかるので、特定の人を避けることもできる。スマホやMacOS、ウェブブラウザのChrome上などで利用可能。
【コレがヒット!】格安ノートPC
自宅作業の必要が生じたことで、PC需要が急上昇。高性能なモバイルノートと手ごろな格安モデルという両極に分かれ、前年比で約1.5倍の販売増を達成した。
【ヒットのワケ】ハイコスパCPUの登場で安さと高性能が両立
格安PCの「遅くても我慢して使う」イメージを変えたCPUが、AMDのRyzenシリーズだ。PCの頭脳に当たるパーツで、安価ながら高速に動作する。そのおかげで、格安でも快適なPC製品が次々に登場しているのだ。
【その1】高級感のあるデザインで価格以上の満足感アリ
HP
ENVY x360 13
実売価格7万6450円〜
Ryzenと13.3型タッチ液晶を備えた薄型軽量ノート。バックライト内蔵キーボードを装備するほか、隣から画面が見えにくいプライバシーモードや指紋センサーなども搭載でき、セキュリティが充実。外装に天然木を採用したモデルも用意する。
【その2】コンパクトな筐体ながらテンキー装備で作業性上々!
レノボ
ThinkPad E595
実売価格5万2800円〜
CPUにRyzenシリーズを採用した15.6型ノートPC。薄型軽量ながら、映像出力対応のUSB 3.1 Type-C端子のほか、HDMI端子や有線LAN端子、microSDスロットなど、十分な拡張性を確保した。テンキー搭載で数字入力の多い作業も快適だ。
データで見る2020年のPC市場
PC市場は、Windows 7のサポート終了というタイミングで昨年末に大きな山場を迎えた。その反動でしばらく販売が低迷すると考えられていたところへ、コロナ禍によるテレワーク需要が発生。3月以降に売上が急増し、前年比で150%近い売れ行きを見せている。
■PC販売台数 指数推移
PCだけでなくタブレットにも注目が集まる!
スマホの簡単操作とPCの快適性を両立
ノートPCを使うほどではないが、スマホではやりにくい、といった作業が主体の人に選ばれているのがタブレット。iPadをはじめとした昨今のタブレットは、キーボードやマウスにも対応し、PC的な作業を快適に行える方向に進化している。
【その3】美しいモニターと高速処理でPCを超える使いやすさ
Apple
iPad Pro
8万4800円(11インチ/Wi-Fiモデル)〜
色精度と輝度に優れた「Liquid Retina」ディスプレイを装備するハイエンドモデル。別売りとなるが、専用のキーボード付きカバーやペンなどが用意され、PCライクな快適操作が可能だ。
【その4】Windows搭載で対応アプリが多く使い勝手に優れる
マイクロソフト
Surface Go 2
6万5780円〜
10.5インチのタッチパネルを装備。質量544gの軽さで、片手で保持して書き込むような用途でも快適だ。別売キーボードを接続すればWindowsノートとしても使用でき、慣れたアプリを利用できる。
【コレがヒット!】ゲーミングチェア
テレワーク中は、イスに座っている時間が長くなりがちだが、食卓のイスやソファは仕事にあまり向いていない。職場と同等以上のイスを求める人がPC作業に適したゲーミングチェアに注目した。
夏に涼しく冬は暖かい高通気性の素材を採用
AKRacing
Wolf
実売価格4万5100円
安定性の高い5本足キャスターを採用したゲーミングチェア。肌触りが良く通気性の高いファブリック素材を使用する。堅牢なメタルフレームと極厚クッションを装備し、座面は平均的な日本人の体型に合わせてやや低めに設計。
【ヒットのワケ】ゲーミングチェアの特性はテレワークにもベストマッチ
「画面に向かって長時間快適に座り続けられる」というゲーミングチェアの特性は、テレワークにもぴったり。腰痛や肩こりを防ぐサポート機構やムレにくい素材、静音キャスターといった装備が、仕事を快適にしてくれると評判に。
【コレがヒット!】モバイルディスプレイ
PCに接続して画面を拡張できる、持ち運び可能なディスプレイ。「ウェブページを閲覧しながら、資料を作成」といった作業が快適になる。画面の小さいノートPCとの組み合わせで需要が高まった。
セカンドモニターに最適な薄型軽量のフルHD液晶
サンコー
Type-Cモバイルディスプレイ15.6
実売価格1万9800円
薄さ9mm、質量700gの15.6型液晶ディスプレイ。対応したPCとUSB Type-C端子で接続すれば、映像転送と電源確保を同時に行える。miniHDMI端子も備え、ゲーム機を接続してモニターとしても使用可能。1Wのスピーカーを2基内蔵する。
【ヒットのワケ】職場に近い環境を自宅で手軽に構築できる
マルチディスプレイは作業効率アップに効果的な手段のひとつ。職場でマルチディスプレイ環境だった人が自宅でも同様の環境を構築しようとモバイルディスプレイに飛びついた。現在でも品切れの商品が多いほど売れています。
【コレがヒット!】スタンディングデスク
つい長時間座りっぱなしになるテレワークは、腰痛や足のむくみを引き起こしがちだ。スタンディグデスクなら「50分作業して10分休憩」といったリズムが作りやすい。設置スペースの小ささも魅力。
立っても座っても使えるPC対応の作業デスク
バウヒュッテ
BHD-1200H
実売価格4万560円
高さ調節が可能で、立位にも座位にも対応する。スライドテーブルを備え、キーボードやマウスも使用可能。テーブルタップや小物入れなどをかけておけるサイドハンガーも装備する。
【ヒットのワケ】最小限のスペースでミニオフィスを構築できる
イスを設置しないため、リビングの片隅など狭いスペースに設置できる点も人気の理由のひとつ。座っているとダラダラ続けがちな作業を、立って行うことでスピーディに効率良く進められるようになる点もメリットだ。
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