文房具
2020/10/21 19:00

使う分だけ引き金引いてワンハンドでカット! ニチバンの良作を復刻した「プッシュカット」はやっぱり快適だった

愛用していた文房具が、いつの間にか店頭から姿を消している。おかしいな? と思って調べると、メーカーサイトの製品リストからも消えている───そう、廃番(または製造終了)だ。

 

困ったことに、愛用しているからにはそれなりの“使っている理由”があって、つまり他に代替品となるものがないケースが非常に多い。なので、「待って待って、困るよー」とオロオロし、小売店やネットショップで在庫を探し回り、「なんで廃番にした!」と怒りに声を荒げることになる。

 

当然のことながら、メーカーだって好きで廃番にするわけではない。部材の供給が難しくなったり、そもそも単純に売れていなかったり、などと理由は様々にあるだろう。これほど次々に新製品が出ているのだから、その陰で消えていく製品も出ざるを得ないのだ。仕方ないことなのだ。ギギギ……。

 

とはいえ、ごく稀なケースではあるが、「祝! 復刻!」なんてこともないではない。それも「ユーザーの声に押されて復刻」なんてことになれば、廃番を惜しむ声(というか、怨嗟の声)を挙げた甲斐もあったというもの。今回は、まさにそういう復刻を果たしたばかりのおめでたい製品を紹介したいと思う。

 

片手で切り貼りできて快適なテープカッターが復刻

2011年、ニチバンの「ナイスタック ハンドカッター」「メンディング テープハンドカッター」という製品が販売終了となったのをご存じだろうか?

 

これらは、片手でテープが切り貼りできる携帯型テープカッターとして非常に優秀だったのだが、海外生産における部材の安定供給が難しくなったことで、最終的に市場から姿を消してしまった。で、そのハンドカッターが2020年に復刻! という形で、このほど同社から再びの新発売となったのが、「プッシュカット」である。

ニチバン
左:マスキングテープ プッシュカット
右:ナイスタック プッシュカット
各1200円(税別)

 

当時のハンドカッターは商品名の通り、メンディングテープとナイスタック(両面テープ)にそれぞれ専用で対応したものだったが、新発売のプッシュカットは、メンディングテープの代わりにマスキングテープがラインナップ入りした。

 

これは、ハンドカッター販売時のユーザーがDIY・クラフトホビー系や、プロの塗装業者に多かったことを受けてのことだそう。なるほど、特にそのあたりの層から、復刻を願う声が強かったのかもしれない。

 

販売時には、緑のボディにマスキングテープ、赤のボディにナイスタックがそれぞれ装填されているが、機構的に専用ということではなく、どちらのテープでも使用可能だ。

 

↑レバーを引くたびに約12mmずつテープが出てくる機構。動作はスムーズで、テープ詰まりなどのトラブルもなし

 

使い方は簡単。まず本体下のレバーを引くと、内蔵されたテープが約12mmずつ、にょろっと外に飛び出してくる。

 

何度かレバーを引いて必要な長さになったら、上部のボタンをギュッと押し込む。するとテープ排出口内側の刃が降りて、カットできるという仕組みだ。もちろん、レバーを引くのが面倒なときは、にょろっと飛び出たテープ先端を手でぐいっと引き出してもOK。

↑テープを切るにはボタンをギュッと押し込む。テープ断面がギザギザせずフラットに切れるので、塗装マスキングに使いやすい

 

しかも、レバーを引く回数を揃えれば、常に同じ長さのテープを取り出すことが可能となる。これなら、広い面積に複数枚の両面テープを揃えて貼る、といった作業が簡単になるはず。

 

レバー1回12mmというのもなかなか絶妙で、両面テープで“点付け”をするための、小さな正方形に近いテープ片を量産するのがとてもラクなのである。特にナイスタックのような高品質両面テープは、剥離紙が頑丈で小さく切りにくいが、それがサクサク切れる。実際にやってみると、これは非常に快適だ。

↑テープ幅は15mmなので、レバー1回でカットすれば15×12mmのテープ片が量産できる

 

ハンドカッターシリーズからの最大の変更点は、刃を降ろしてのカットがボタンプッシュに変わったところだ。

 

従来は「本体上部のスライダを後ろに引いて切る」だったので、手の動きを考えれば、よりスムーズに使えるようになっている。旧モデルで30分ほどテープを連続して切ったときなどは、親指がクタクタに疲れたもので、少なくともボタンを押し込むほうがはるかに疲労は少なそうだ。

↑旧モデル(ハンドカッター)は、上部のスライダを親指で引いて切る仕組みだった。これ、長時間繰り返しているとけっこうつらい

 

テープの装填は、透明カバーをパカッと外して持ち上げ、引き出したテープを排出口に通しながらリールにセットする。

 

このとき、テープを排出口からはみ出すぐらいの長さに伸ばしておくと、扱いやすい。はみ出した分は、リールにセットしてから巻き取ればいいのだ。また、本体内部でテープが少したるむようにしておかないと、透明カバーをハメたときに干渉してしまうので、その点は要注意である。

↑透明カバーは真上に持ち上げれば簡単に外れる

 

↑再装填時は、写真のパーツにテープが干渉しないよう注意。このパーツの下をテープが通ることで、スムーズなテープ送りができるようになっている

 

ちなみにテープの詰め替えは、マスキングテープ・両面テープともにニチバンの推奨品を使うように、と注意書きにある。これは、本体のテープ送り出し性能がテープの粘着特性に左右されるため、構造が推奨品に最適化されているからだ。

 

とはいってもニチバンのテープだから、両面テープは言うに及ばず、マスキングテープも車両塗装にまで使える高品質な製品である。あえて送り出し性能を落としてまで非推奨品を使う必要はないと思う。

 

↑カット用ボタンに加えて、本体後部にセーフティーコード用の取付穴も追加された。この辺りは工事現場などで使う道具として重要なポイント

 

実は筆者も、従来品のハンドカッターをヘビーに使っていたので、久々に使ってあらためて「やっぱりいい製品だな」と感じた次第である。同じく以前使っていたという人には待望の復刻だろうし、初見の人にも用途がハマれば間違いなく便利なはずだ。ぜひ長く愛用してやってほしい。

 

 

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