ペットボトルや調味料の容器に使われるプラスチック量を削減するために、イギリスのスタートアップが「食べられる包装材」を開発しました。すでに同国ではいろいろな形で試用されており、プラスチックのごみ問題を解決する有力な手段として期待が高まっています。飲みものや調味料の包装にも使われるこのカプセル状の袋は、どうやってできているのでしょうか?
ロンドンのNotpla社が開発したのが「Ooho」と名づけられた包装材。そのまま食べることができる一方、捨てた場合は4~6週間で自然に分解されるのが特徴です。
このOohoの原料となっているのは、フランス北部で養殖されている海藻。乾燥させた海藻を粉状にし、同社独自の方法で粘着性の液体に変化させ、これを乾燥させるとプラスチックに似た物質としてできあがるのだとか。そうすることで、なかにソース類などの調味料や飲み物を入れることができるのです。
同社が使っている海藻は1日で最大1メートルも成長するうえ、養殖には肥料なども必要ないそう。原料が豊富にあることは、プラスチックに代わる材料として今後広まっていくために大きなアドバンテージとなることでしょう。
Notpla社はOohoの開発にイギリス政府から資金援助を受けており、これまでにもイギリス国内でOohoを使用する試みがいろいろ行われてきました。例えば、2019年に開催されたロンドン・マラソンでは、ランナーへ配布する飲料にこのOohoが使用され、3万個以上を配布。ランナーはカプセルごと口に入れれば水分を補給できて、廃棄する容器は一切出ません。普段なら、選手が捨てたペットボトルなどの容器が道に散乱しますが、ランナーに配布していたペットボトルを20万本も少なくすることができたそうです。
さらに2020年には、サントリーの子会社であるルコゼード・ライビーナ・サントリーがNotplaと提携。ドリンクが入ったOohoの自動販売機を開発し、これをスポーツジムに設置して実証実験を行ったほか、さまざまなイベントでもOohoの利用を促進しているそうです。
Oohoを通してプラスチック使用量の削減に貢献するNotpla社では、2020年後半に生分解性の食品用容器を発表する予定。通常の段ボールなら3か月はかかるところ、新容器なら3~6週間で分解され、水と油にも強い素材でできているそうです。専門店などで調理された料理を持ち帰る中食産業などに活躍の場が広がりそうです。
新型コロナウイルスの影響でレストランのテイクアウトやオンラインショッピングの利用が増えるなか、使い捨て容器や包装材の需要が高まる一方で、プラスチック廃棄物も増えていることが報じられています。食べられる包装は、ごみ問題の救世主のひとつになっていくかもしれません。