誰にはばかることもなく堂々と表明するが、可愛いものが大好きだ。
ひとくちに“可愛い”と言っても、犬とか猫とかヒョウモントカゲモドキのように万人向けオールマイティな“可愛い”もあれば、ファンシーキャラ萌えもあるだろう。場合によると、排水溝の中からジッと見つめてくる殺人ピエロの「無機質な目がキュート!」ってこともあるはず。なにが可愛いと感じるかは人それぞれで、つまり世界は70億人以上の“可愛い”で満たされていると考えて良い。ビューティフルワールドだ。
筆者がなかでも特に可愛いと思うのは、小さな機械だ。チマっとした歯車やテンプが噛み合ってチャカチャカ、コリコリと一生懸命に仕事をしているのを見ると、心の奥に潜む野生の乙女がキュンキュンと吠えるのである。
文房具で言うと、三菱鉛筆のシャープペンシル「クルトガ」が、軸の内部で芯を回転させる歯車が動いているのを見ると、「はー、がんばってるねー」と撫でてやりたくなるぐらいに好き。
なぜ冒頭から、こんな“可愛い”をダダ漏れ状態で語っているかといえば、今回紹介する新製品が、まさにそんな筆者の乙女心に刺さって捻って練り潰されるほどにツボだったから。これは、ほんっっっとうにかわいいのである。はー、尊い。
可愛すぎて無限にマステを巻きたくなるシステム
その“最きゃわ”に素敵な新製品というのが、コクヨが2021年1月に発売するマスキングテープ小巻き機と、その周辺ツールで構成された「Bobbin(ボビン)」シリーズだ。
マスキングテープ(以下マステ)は、すでにコレクションアイテムとして世間的にも完全に浸透した感があるが、紙芯そのままだと気軽に持ち歩きにくく、誰かとトレードするのにも不便。それなら「コンパクトな小巻き芯に巻き直すと使いやすいよ」という話で、その小巻きマステを作るアイテムや専用カッターをシステム化したものである。
まずはこれがないと始まらないのが、「ボビン芯」と「コマキキ」だ。
コクヨ
Bobbin
ボビン芯 300円(税別・6個セット)
コマキキ 600円(税別)
主軸となるのは、小巻きマステの芯である「ボビン芯」と、巻き直すための「コマキキ」。「Bobbin」という名前は、この芯がミシンで使う糸巻きのボビンそっくりなところに由来している。
そしてなにより「コマキキ」! チマっとしたハンドルとリールを見ただけで分かるとおり、このハンドルを回してマステを小巻きにするのである。ああ、もう巻く前から自分の“可愛い”のツボに刺さるのが分かるやつだ。
本体のロックを外すとパカリと裏側がフタのように開いて、内部にアクセスできるようになる。
大きなリール側に、巻き直したい15mm幅のマステ(芯の内径18~40mmに対応)を、ハンドル側の軸にボビン芯をセット。フタを戻してロックしたら、マステの端をボビン芯に貼れば準備OKだ。
あとは時計回りにハンドルを回すと、マステがきれいに巻き取られていくという仕組みである。
動きを見てみよう。
このハンドルを回す際に、チキチキチキ……といかにも「頑張って作動してます!」的な音(おそらく逆転防止ラッチの音)がするのだが、Bobbin開発チームはこのチキチキ音にもかなりこだわって作ったと聞いている。いいぞ、何が大事なことか分かってるね!
そして、単純な「ハンドルを回す」という作業により、マステを巻き取り成長していくボビン芯という、明確な“リターン”が得られる喜びも大きい。
チキチキ音とラッチの効いたハンドルの回し応えを味わいつつ巻いて、もう充分に満喫したかなと思ったら(もしくは必要な量だけ巻けたら)、ハサミでカット。再びロックを外してボビン芯を取り出せば、小巻きマステの完成である。
ちなみにボビン芯同士は、凹凸を組み合わせて簡単に連結させることも可能。まとめてコンパクトに収納できるし、1つだけどこかへ転がってなくなっちゃった! というような悲劇が起こりにくいのだ。
ささやかな小ワザではあるが、実際に運用し始めると、この便利さを体感できると思う。コクヨ、こういうのはとても上手い。
Bobbinは専用カッターもお見事なクオリティ
さて、せっかく作った小巻きマステだから、並べて置いておくだけでなく、きちんと貼る用にも使ってみたいと思うはず。
そこでBobbinシリーズには、携帯しやすい「カッター付きケース」と、手軽に使える「プチカッター」という2タイプのマステカッターもラインナップされている。
もちろん、小巻きにしたボビン芯を装着して運用するように作られた専用ツールなんだけど、これがまたどちらも「お見事!」と言いたくなるレベルで、気が利いている秀品なのだ。