民間人が自由に宇宙旅行を楽しめる時代が近づきつつありますが、宇宙が私たちの新たな旅行先となれば、問題となるのは「どこに泊まるか?」。そんな考えから現在、宇宙に初めてホテルを作る計画が始まっています。「宇宙ホテル」とは一体どんなものなのでしょうか?
宇宙ホテルの建設に取り組むのは、米スタートアップのオービタル・アッセンブリー・コーポレーション。同社が先日発表した内容によると、宇宙ホテルは「ボイジャー・スペース・ステーション」と呼ばれ、24個のモジュールが直径200メートルのリング状に並ぶ形をしています。リング状というのがポイントで、巨大なリングを回転させることで重力を人工的に作りだし、宇宙にいても無重力状態にならない設計になっています。このホテルは地球を周回する人工衛星などと同じように、約90分で地球1周をまわり続けます。
ホテルの内部には宿泊スペースのほか、娯楽スペース、ジムスペース、緊急医療ルームなどの施設が設けられ、収容人数はゲスト300人と従業員100人の合計400人。宇宙研究機関の職員のほか、宇宙での滞在を楽しみたい一般人の利用も想定しています。またエネルギー源には太陽光を利用し、緊急帰還用の乗り物44機が用意されるそう。
ボイジャー・スペース・ステーションは2025年に建設を開始し、27年には完成予定。現在、スペースXは23年以降を目処に民間の月旅行を開始する計画を進めている一方、25年までに火星へ有人飛行することも目指していますが、オービタル・アッセンブリー・コーポレーションも民間人の宇宙旅行が開始してから数年以内(2027年〜30年)を目安に宇宙ホテルを建設する計画です。
宇宙空間では建設に使える道具や資材などが限られることから、建設時にはロボットの利用が考えられます。しかしロボット技術は進歩しているとはいえ、ロボットと人間では依然として能力に大きな差があることが宇宙ホテル建設の懸念事項である、とオービタル・アッセンブリー・コーポレーションはウェブサイトで述べています。
宿泊料金はまだ発表されていませんが、宇宙にホテルが本当に建設されたら、ロマンあふれる滞在になることは間違いないでしょう。お金持ちだけとは言わず、私たちもいまからお金を貯めておいたほうがいいかもしれませんね。