2019年末に“1人1台の学習端末”を骨子として発表された『GIGAスクール構想』だが、2021年度は、いよいよ高校でもICT環境の整備がスタートする。そこで、注目されるのは“どのようにICT環境を構築するべきか?”だろう。
本特集では、GIGAスクール構想に先駆けて、すでにICT環境を整え、活用している埼玉県の『学校法人塩原学園 本庄第一高等学校』(以下、本庄第一高校)を取材。教育機関におけるICTの使いどころや注意するポイントを探っていく。
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すでに導入されている学校でICTの“使いどころ”を調査!
GIGAスクール構想は、当初、2020年度からスタートする小学校のICT環境整備を皮切りとして、1年ごとに中学校、高校と拡充していく予定だった。ところが、コロナ禍の影響もあり、高校の環境整備は1年も早まり、2021年度からスタートする見込みとなっている。多くの高校では、この対応を迫られているのだ。
まずは、いち早くICT環境の導入に取り組み、校内全館にWi-Fiを整備して、1人1台の学習端末の導入も実現している本庄第一高校で、ICTの使いどころを現役教員にお伺いしました。
「コロナ禍でも、まったく影響なく授業ができました。本校では“Google Classroom”を使っているのですが、課題の配布や提出などの管理に活用しています。課題の提出状況をひと目で確認できますし、つまずいている生徒にはオンラインで指導が可能です。自動採点・集計機能も便利ですね」と語るのは、ICT推進担当の森大祐教諭だ。
オンライン上で授業を実施できるのはICT導入の大きなメリット。加えて、生徒とのコミュニケーションが、より深くなるケースもあるという。
「生徒がオンラインで気軽に質問や相談をしてくるようになりました。やはり、職員室を訪ねるのは抵抗がありますよね(苦笑)。オンラインなら落ち着いて相談ができるようです。生徒指導に力を入れられるのはうれしいですね」(森教諭)
生徒指導の面でも、ICT環境の整備はプラスに働いていた。
もちろん、ICTの活用シーンは、学習や生徒指導の面だけではない。コロナ禍で必須となった検温報告をネットで一元管理したり、職員会議をオンラインで実施したり、校務でもICTは大活躍だ。
「以前は、授業が変更になったり、部活の立会いができなくなったりした場合には、個別に予定を確認して代わりの先生を探すので、手間がかかりました。いまは、予定の空いている先生がすぐにわかるので、突発的な変更にもスムーズに対応できます」(森教諭)
なお、これらのシステム構築には、情報科の木暮紀樹教諭が簡単なプログラムを組むなどの協力をしている。
ほかにもプリント類をデジタル配布にし、印刷や配布、掲示の手間を削減するなどの工夫もしている。教員の長時間労働が問題視されているが、ICT環境の整備が多忙な教員を助けるのだ。
そもそも“GIGAスクール構想”って、どんなプロジェクト?
GIGAスクール構想とは、ICTを基盤に誰1人取り残すことがない、公正かつ個別最適化された学びを実現するという政策。文科省が2019年に提唱した。GIGAは“Global and Innovation Gateway for All”の略。将来的にはスタディ・ログなど、教育ビッグデータの活用も視野に入れている。当面は義務教育の児童・生徒向けに1人1台の学習専用端末と、高速大容量通信ネットワークの整備を2023年までに実現するのが目標。
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