犬や猫などのペットを飼っている人は、動物も人間と同じように笑っていると思う瞬間に遭遇したことがあるはず。以前は「笑う」という行為は人間特有のものと思われていたようですが、動物の笑いに関する最新の研究によると、人間と同じように笑う動物は65種類もいるとのこと。その中には意外な動物も含まれていたのです。
人の笑いは、遊びの一環であるほかに、協調性や親しみを示す役割がありますが、このような行為は本当に人間だけに見られるものなのでしょうか? 米国・カリフォルニア大学の研究チームが、 人間以外でも笑う行為をしている動物がいるという前提に立ち、どれくらいの種類の動物が笑うのかを調査しました。
この研究チームは動物の遊びに関する先行研究を調べるのに際して、その中でも、笑いと見られる「声」を使った遊びに焦点を絞りました。録音された動物の笑い声の大きさや長さ、音の高さだけでなく、それが1度だけ起きるのか、それともリズミカルに続くのかなどを分析。それに加えて、これまでに判明している動物の遊ぶときに発する声の特徴と一致するかどうかを調べていったのです。
その結果、笑う行為をしていると考えられる動物は、少なくとも65種類に及ぶことが明らかになりました。その中には、ニホンザルなどの霊長類、犬、猫などペットとしておなじみの動物のほか、イルカ、アシカなどの水生哺乳類、インコやカササギなど、3種類の鳥類も含まれているのです。この研究を行った1人が、笑う動物のリストをTwitterに公開しています(英語)。
Ever wondered how uniquely human laughter is? Check out my new paper in #Bioacoustics with Greg Bryant – we review scholarship on play vocalizations across the animal kingdom and describe a theory for the evolution of laughter from a pant-like play signal https://t.co/V7ByMqpkff pic.twitter.com/tYCpYLOf7B
— Sasha Winkler (@ScienceSquil) May 7, 2021
この結果を受けて、研究チームは新たな仮説を立てています。人間の笑いは自分が楽しんでいることを周囲に伝え、「一緒に楽しもうよ」という意味を伝達していますが、動物の遊びの多くは激しく、けんかと似ているときもあります。しかし、そのときに動物が笑い声を発することによって、「相手や周囲に攻撃を加えることはない」というメッセージが強調されているのではないだろうか——?
野生動物では、このような遊びの音を観察することは困難な模様ですが、研究が進むことで、動物社会における笑いの機能や、人間の社会行動の進化との関わりについて新たな発見があるだろうと研究チームは語っています。
人間は遊ぶ存在である、と歴史家のヨハン・ホイジンガは述べていますが、人間は動物から進化しました。人間
【出典】(2021) Play vocalisations and human laughter: a comparative review, Bioacoustics, DOI: 10.1080/09524622.2021.1905065