「はせがわ酒店」といえば、業界で知らぬ者はいない日本酒界の巨人。数々の美酒を発掘してきた実績を持ち、表参道ヒルズ、東京駅グランスタ、東京スカイツリーなど、話題のスポットに出店を果たした有名店です。さて、そんな国内屈指の規模を誇る同店では、いったいどんな銘柄が売れているのか、知りたいとは思いませんか? そこで、編集部でははせがわ酒店を直撃し、麻布十番店限定ながら売上ランキングトップ10(※)を入手。各銘柄の特徴と魅力を、麻布十番店のマネージャー、安藤大輔さんに語ってもらいました!
※2016年1月~8月の麻布十番店の売上本数データにもとづく
「下町の酒屋」はいかにして表参道ヒルズに出店したか? 国内最大級の日本酒ターミナル「はせがわ酒店」社長に聞く
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10位
香りを抑えキレを重視して醸した1本
秋田県
山本 純米大吟醸 朝日
(やまもと じゅんまいだいぎんじょう あさひ)
1800ml 3300円 720mℓ 1650円
「岡山県産の『朝日』というお米を50%まで削って使用。香りを抑え、酸味や旨みのバランス、後味のキレを重視して醸しています。蔵元によると『いま流行りの華やかな酒質を期待して購入すると、飲んだときにがっかりすることになるので、ご注意下さい』とのこと」(安藤さん)
9位
日本酒が苦手でも飲みやすい食中酒タイプ
和歌山県
紀土 純米大吟醸 山田錦
(きっど じゅんまいだいぎんじょう やまだにしき)
1800ml 3024円 720mℓ 1512円
「口の中で甘みがふくらみながら、キレが良いのが特徴。日本酒が苦手な方でもおいしく飲める味わいです。香りは華やかですが、純米大吟醸にしては落ち着いたほうなので、食事との相性も抜群。リゾットなどのクリーミーなお料理に合わせるのもおすすめです」(安藤さん)
8位
華やかさと爽やかさが際立つロングセラー
岐阜県
醴泉 活性にごり 純米吟醸
(れいせん かっせいにごり じゅんまいぎんじょう)
500ml 1080円
「瓶内発酵で炭酸ガスを発生させる、本格的な製法で醸造。華やかな吟醸香と炭酸ガスの爽やかさ、米の旨みを存分に楽しんで頂けます。乾杯のお酒として、また食中酒としても人気。発売から10年以上、季節を問わず多くのお客様に購入頂いているロングセラー商品です」(安藤さん)
7位
マスカットのような香りときめ細やかな泡が魅力
宮城県
愛宕の松 Sparkling
(あたごのまつ スパークリング)
720ml 1954円 360mℓ 1198円
「『伯楽星』で知られる新澤醸造店が、昨年末にリリースした新商品。ビールやシャンパンに代わる乾杯酒として少しずつ定着しています。マスカットのような爽やかな香り、きめ細やかな泡が心地よい爽快感を演出します」(安藤さん)
6位
料理との相性を考え味のバランスを徹底追求!
京都府
澤屋まつもと Tojyo
(さわやまつもと とうじょう)
1800ml 4104円 720mℓ 2052円
「最上の山田錦の産地として名高い、兵庫県東条産の山田錦を使用。ピチピチとした口当たりのあと、ジューシーな旨みが口の中に広がり、心地よい苦みと酸味が全体を引き締めます。スマートな飲み口ながら、しっかりとしたボディが感じられるのも特徴。『京都の味が自分の基本にある』という松本日出彦杜氏が、料理との相性を様々な角度から分析し、五味のバランスを徹底的に追求したお酒です」(安藤さん)
5位
優しい味わいでどんな料理にも合う!
宮城県
伯楽星 純米吟醸
(はくらくせい じゅんまいぎんじょう)
1800ml 2991円 720mℓ 1620円
「世界一の日本酒を決めるコンペ『SAKE COMPETITION 2016』純米酒部門で念願の第1位になった蔵元。日本酒の管理にこだわることでも知られ、飲み頃を見計らって出荷するのはもちろん、夏を過ぎたころになると、全国の酒販店を回り、ピークを過ぎたお酒を回収しています。本品は、爽やかな優しい香り、ほどよい甘みと適度な酸が特徴。和食・洋食を問わず、どんな料理に調和する食中酒です」(安藤さん)
4位
白ワインを思わせる澄み切った味わい
愛知県
醸し人九平次 純米大吟醸 山田錦50
(かもしびとくへいじ じゅんまいだいぎんじょう やまだにしきごじゅう)
1800ml 4191円 720ml 2095円
「蔵元は元モデルで、杜氏は元エンジニア。元々は畑違いの仕事をしていた同級生二人が醸す銘柄です。15年程前にサンプルを持って売り込みに店舗を訪れてから、瞬く間に人気銘柄となりました。本品は『九平次』を代表する1本。口に含んだときの爽やかな香り、優しく澄み渡るような味わい、キレイな酸味が白ワインを思わせます」(安藤さん)
3位
海外輸出を視野に入れたチーズやフルーツに合う商品
静岡県
磯自慢 特別純米 雄町55
(いそじまん とくべつじゅんまい おまちごじゅうご)
720mℓ 3358円
「静岡を代表する蔵元。完全空調管理の総ステンレス張りの蔵で、熟練の南部杜氏、多田信男杜氏のもと、若い造り手さんたちが酒造りを行っています。本品は、酒米に岡山県赤磐地区産の雄町を使用。バナナのような吟醸香と深い味わいが特徴で、日本料理はもちろん、洋食、魚卵、チーズなどのほか、イチゴなどのフルーツとの相性も抜群です。本来は海外輸出用の商品ですが、弊社限定で販売させて頂いています」(安藤さん)
2位
昔ながらの製法で醸した丸みのある味わい
※写真は「新政 生成 -Ecru- 別誂 中取り」。2位にランクインした通常版は、瓶の首部分のシールがないだけで、瓶やラベルは同じです
秋田県
新政 生成 -Ecru-
(あらまさ えくりゅ)
720ml 1359円
「蔵元は、現在頒布されている清酒酵母のなかでは最古となる『きょうかい6号』の発祥蔵。秋田県産米のみを用い、すべてのお酒を生酛造り(※)、純米造りで醸しています。本品は、秋田県産の米『秋田酒こまち』を麹米40%、掛米60%精米して醸した生酛純米酒。ナチュラルで丸みのある味わいに、新政らしい酸味のアクセントが効いています。お燗でもおいしいですよ!」(安藤さん)
※生酛造り……天然の乳酸菌を利用する昔ながらの造りで、通常の造りよりも日数がかかる。酸味の強い濃厚が味になるのが特徴
1位
華やかな香りを持つ「これぞ純米大吟醸」という逸品
山口県
獺祭 純米大吟醸 磨き三割九分
(だっさい じゅんまいだいぎんじょう みがきさんわりきゅうぶ)
1800ml 4835円 720ml 2418 円
「華やかな上立ち香(うわだちか・グラスから立ち上る香り)と口に含んだときに感じるハチミツのようなキレイな甘み、飲みこんだあとの長い余韻。どれを取っても『これぞ純米大吟醸』という上質なお酒です。フルーティで飲みやすいので幅広い層に人気」(安藤さん)
安藤さんによると、「やはり知名度の高い『獺祭』『新政』『磯自慢』『醸し人九平次』などが人気。お酒のタイプとしては、フレッシュで飲み口の良いものが好まれています」とのこと。7位の愛宕の松、8位の醴泉など、爽やかな発泡性のお酒も人気があるようです。一方で、流行の酒質ではない「山本」が10位にランクインしているのも興味深い点。流行一辺倒でなく幅広い酒質のお酒が売れているあたり、目の肥えた客が多いことがうかがえます。みなさんも、同店で選ぶ楽しさを味わってみてはいかがでしょうか。
【URL】
はせがわ酒店オンラインショップ https://www.hasegawasaketen.com/eshop/