【文房具愛好家・古川耕の手書きをめぐる冒険】
文房具をこよなく愛す、放送作家の古川耕氏による連載。「手書き」をテーマとし、デジタル時代の今だからこそ見直される“手書きツール”を、1点ずつピックアップしている。第17回となる今回は?
第17話
ぺんてる
カルム
150円(単色タイプ・税別)、400円(3色タイプ・税別)、500円(多機能タイプ・税別)
静音設計を取り入れ、ノック時の操作音を従来品の66%に抑えた油性ボールペン。グリップには、カメラの持ち手を思わせる革シボ調の素材を採用。グリップの幅が広いため、どこを握っても手にしっかりフィットする。
心地良い静音が放送作家の琴線に触れた
ウェブ会議をするようになってから、これまで意識していなかったボールペンの「カチャカチャ音」がスピーカー越しに気になり始めた人、最近増えているんじゃないかしら。これはラジオの仕事をしている筆者には昔から切実な問題で、ノック音が小さなボールペン——ラミーの「ノト」やカランダッシュの「849」シリーズ、トンボ鉛筆の「リポーター」など——を見つけては、新人のアナウンサーさんやラジオを始めるパーソナリティにプレゼントしていました。
そんな筆者にとって、2021年12月に発売されたぺんてるの「カルム」はまさに待望の新製品。というのも筆者が知る限り、初めてノック音の静かさを全面に押し出したボールペンだからです。
手に取ってみると、単色タイプはしっとりしたマイルドな押し心地。ただし完全無音というわけではありません。それでも「無音ではなく〝心地良く調律された周囲になじむ音〟」を目指した、というとおり、金属パーツが立てる尖った高音はミュートされ、例えるならアナログレコードのような中音域の優しい音色。しかもゆっくりノックすればほぼ無音でノック可能。これなら十分合格でしょう。
かたや多色タイプは緩衝材をかませてかなりの消音を実現。こちらはいわば、小さめのモノラルスピーカーで聴いてる感じ?
ということで結論としては、この価格、この性能なら全然あり! 世界中のラジオ局で標準採用をおすすめします。
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【第16話】ぺんてる「エナージェル」に20周年限定で登場した「黒推し」モデルに、偉大なペンの矜持を見た
https://getnavi.jp/stationery/679166/