1985-86シーズンのNBAと言えば、デビュー2年目のマイケル・ジョーダン(シカゴ・ブルズ)が、現在も破られていないプレーオフ1試合63得点の歴代最多得点記録を樹立した試合(1986年4月20日、対ボストン・セルティックス戦)を思い浮かべるファンもいるだろう。
今回紹介するシューズはこの試合で着用されたものではない。しかし、その希少価値を考えると、この歴史的な試合すら上回るかもしれない。
このシーズンのジョーダンは開幕から3試合目で左足を骨折。レギュラーシーズンの約8割を欠場し、約5か月ぶりの1986年3月15日に復帰した。そのため、ナイキ社は治療中の骨への影響を軽減するべく、工夫を凝らしたシューズを提供する必要があった。
そして生まれたのが、4月1日のミルウォーキー・バックス戦の1試合のみで着用した、この一足である。
Lots of headlines about the Jordan debut ticket this weekend but there were two other huge MJ results as well. The earliest photomatched Air Jordan 1s sold for $675,000, a record for game worn Air Jordans. And this Barons jersey is the highest selling MJ baseball item at $204,000 pic.twitter.com/6IIhJ0kM0z
— Heritage Auctions Sports (@Heritage_Sport) March 1, 2022
同試合では、ジョーダンはベンチスタートでプレータイムは26分だったが、チーム最高の28得点をマーク。しかし、チームは敗戦と特に取り上げるべきゲームではなく、NBA公式サイトでもこの試合の動画は確認できない。
では一体、このシューズの何が凄いのか? オークションを主催したヘリテージ・オークションズは、このシューズの特徴を動画でこう紹介している。
見た目は通常の「エアジョーダン1(AJ1)」と変わりないが、細部で仕様が異なっている。例えば、右足の内側、3つ目のアイレットがない。また、標準の「AJ1」ソールではなく、ナイキダンクモデルのミッドソールとアウトソールを搭載。
これらは実際の試合の画像と一致していることが確認されており、足首の内側に印刷されたコード「13860304STPS」は1986年3月から4月の間に製造され、「ST」は製造場所、そして「PS」は「Player Sample」で、ジョーダン用に作成されたモデルでのみ使用できるコードとなっている。
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この逸品をヘリテージ・オークションズは「1986マイケル・ジョーダンゲーム着用&サイン入りナイキエアジョーダン1スニーカー エイプリルフールにミルウォーキー・バックスへ!」と題し、インスタグラムで公開。スニーカーマニアの間では、どこまで高値がつくのか注目されていた。
そして3月2日、ジョーダンのサイン入り着用モデル史上最高額となる67万5000ドル(約7800万円)で落札されたとツイッターで報じた。
「エアジョーダン」といえば、スニーカーブームを代表するシリーズ。「エアジョーダン1」はキング・オブ・スニーカーとして今なお圧倒的な人気を誇っているが、その中でも超レアな一足が誕生したといえる。
1985年のファーストリリース以降、今でもスニーカー界の最高峰に鎮座する「AJ1」の存在感。マニアにとっては垂涎の逸品として、これからも憧れの存在として君臨し続けるだろう。