食品サンプルは、海外からの高い評価と、アート、アクセサリー界からの熱い視線によって、再びその熱が再燃しているという。本稿は、そんな食品サンプルの魅力をひもとく連載の第2回。初の食品サンプルビジュアルブック「食品サンプル百貨店」の著者のひとり、タイムマシンラボの小西七重さんに、食品サンプルの世界をガイドしてもらいます。今回は、洋食やご飯もののサンプルのほか、誰かが身に着けていたら絶対に二度見してしまう、食品サンプルのアクセサリーをご案内!
【ガイドしてくれるのはこの人!】
小西七重さん
2002年、竹村真奈によって設立された書籍や雑誌の編集・執筆・企画・プロデュースを中心に活動する編集プロダクション「タイムマシンラボ」に所属。タイムマシンラボの近著「食品サンプル百貨店」(ギャンビット)のほか、様々な書籍を手がける。
サンプルなのに本物に見えて困ることがある!?
――食品サンプルといえば、洋食系が多い気がしますが。
小西 前回の持ち上げ系でも出たナポリタンなどは、洋食屋さん、喫茶店ではお馴染みですもんね。ただ、「食品サンプル百貨店」の撮影のときに困ったことがあって。食品サンプルを写真に収めようとすると、リアル過ぎて、本物にしか見えなくなってしまうことでした(笑)。
――食品サンプルの本なのに、本物の料理に見えるんですか(笑)?
小西 そうなんです。お腹が空いてきてしまうような。実際に作っている職人さんたちに「ずっと作ってると、お腹が空いてきたりしませんか」と聞いたのですが、「もう40年も50年もやってきてるから、そんなこと全然思わないよ」と言われました(笑)。
卵かけご飯や食べ終わった納豆ご飯のお椀もある
――あと、ビックリしたのがご飯もの系ですね。牛丼、しらす丼があるのはわかるんですけど、卵かけご飯、納豆ご飯もある(笑)。
小西 食品サンプルのメーカーさんは、オーダーする料理屋さんのメニューに従って作るので、こういうサンプルももちろんあります。実は、本には載せなかったもののなかに、食べ終わったあとの納豆ご飯のお椀などもありました(笑)。糸がへばりついてるような感じで、すごくリアルに再現されていましたね。また、ある食品サンプルのメーカーさんでは、職人さんたちが好きなものを作っていいというコンテストがあるらしくて。それがもうすごかったです。料理が出てから量が減っていって、お皿が空になるところまでを、全部時系列で作った人とか(笑)。
――原人が人間に進化していく様子みたいですね(笑)。
小西 まさにそうですね。人参がすりおろされてジュースになっていく過程とか。想像力と技術力を競うコンテストなんですけど、職人さんたちは普段の仕事以外でも技量を試したくなることがあるんだろうなぁと思いました。
アクセサリーにもなっている食品サンプル
――また、最近では食品サンプルを使ったアクセサリーもあるようですね。
小西 特に外国人の方などにウケているんです。作りが精巧だから一瞬驚くんですけど、よく見るとかわいい。特に小さいものは作り込みの差が如実に出ますね。例えばコロッケパンのリングには、コロッケの下に細かいキャベツが入ってたりして、これには感動しました。そういうものは見ているだけでも楽しいし、圧倒されるばかりですね。
食品サンプルの世界には、まだまだ面白いモノが盛りだくさん。次回もお楽しみに!
【より詳しい情報はこちらをチェック!】
食品サンプル百貨店
編著:竹村真奈、小西七重(タイムマシンラボ)
発行:ギャンビット
価格:1512円