アップルの忘れ物トラッカーAirTagを、本来の目的から外れて悪用される例がいくつか報じられてきました。そんなか、ある家族のディズニー・ワールドでの楽しいひとときが、AirTagによりストーキングされていた可能性があると分かったことで、ゾッとする雰囲気になったと伝えられています。
米テネシー州に住むガストン一家は、ディズニーワールドを一日がかりで楽しんでいたそうです。しかし、iPhoneから「見知らぬAirTagが一緒に移動している」との通知が届き、楽しむどころではなくなってしまったそう。
母親のジェニファーさんと娘のマディソンさんは、夜遅く車に向かって歩いていたところで通知を受け取ったそうです。最初の検出は午後7時9分で、午後11時33分に再通知され、約4時間にわたってストーキングされていたことが明らかに。母娘ともに駐車場でバッグや衣服を揺すったものの不審なAirTagは見つからず、その後に車でホテルに向かい、途中で警察に連絡したと語られています。
もし物理的にAirTagが見つかれば、シリアル番号から所有者、つまり犯人が突き止められたはず。しかし結局のところ発見されず、犯罪行為を特定できなかったそうです。それでも(iPhoneに通知があったことは事実のためか)捜査官は事件の調書を取ったとのことです。
真相としてあり得るのが、ひとつには「駐車場でAirTagが落ちて行方不明になった」ということ。しかしパーク内にはAirTagのほか、かなり多くのアップル製品があったと思われ(AirTagでも検出されます)「誤検出」だった可能性も指摘されています。
ディズニー・ワールドの人気アトラクションには数時間にもおよぶ行列ができることもあり、その間に「ずっと(行列とともに)一緒に移動している」として検知されるかもしれない、というわけです。
とはいえ子を持つ家族にとっては、それで気休めになるわけでもありません。ジェニファーさんは「親として、その時はだただ必死でした」「誰かが娘にそんな意図を持っていると考えただけで恐ろしかったんです」と振り返っています。
AirTagを悪用したストーキングと思しき事例は引き続き報告されており、米ニューヨーク州司法長官も注意を呼びかけていました。
が、それはAirTagがストーカー防止対策を施しているために「悪事がバレやすい」という側面もあります。The New York Times記者も、実際に擬似ストーキングを実験してみて、AirTagが競合他社製品よりも強固なセキュリティ対策をしているとレポートしていました。
AirTagによる迷惑な追跡を避ける、あるいは察知するには、こちらの設定をご確認ください(iOS 14.5以降)。
- 「設定」>「プライバシー」>「位置情報サービス」を表示して、「位置情報サービス」をオンにします。
- 「設定」>「プライバシー」>「位置情報サービス」>「システムサービス」の順に選択します。「iPhone を探す」をオンにします。
- 「設定」>「プライバシー」>「位置情報サービス」>「システムサービス」の順に選択します。自宅など、特定の場所に着いたときに通知してもらうには、「利用頻度の高い場所」をオンにします。
- 「設定」>「Bluetooth」の順に選択し、「Bluetooth」をオンにします。
- 「探す」App を開いて、「自分」タブをタップし、トラッキング通知を有効にします。
アップルはストーカー対策を強化していくと約束しており、実際にファームウェア更新によりAirTagのアラーム音が大きくされたばかりです。今後も、いっそうの対策を望みたいところです。
Source:WKRN.com
via:AppleInsider