伝説のテニスプレーヤー、ジョン・マッケンローが自分自身と対戦したらどうなるのか? そんな永遠の疑問に答えるため、1992年にシングルス競技から引退した63歳のご本人がコートに立ち、AIで訓練されたバーチャルな自分と対戦する企画が実現しました。
テレビゲームやVR体験ではなく、本物のマッケンロー氏と実体を持たないマッケンローAIがどうやって現実のボールを打ち合うのか。
そのカラクリは、本物のマッケンロー氏がネット上にボールを打ち込むと、ホログラム表示(不透明な粒子スクリーンに投影)されたAIアバターがその方向に反応して「スイング」するというもの。このとき、煙幕で覆われたボール発射装置からボールが射出され、あたかもアバターのラケットからボールが打ち出されたように見える、という具合です。
このAIアバターは、世界的な制作会社UNIT9がUnreal EngineのMetaHuman技術(フォトリアルなデジタルヒューマン=人間とほぼ同じ姿で同じような動きをするAIアバターを実現)に全身モーションキャプチャおよびスキャンを組み合わせ、本物のマッケンロー氏と1日がかりで作り上げた成果です。実際にマッケンロー氏にモーションキャプチャースーツを着てもらっている様子も、映像で確認できます。
また米Adweek誌によると、マッケンロー氏のAIアバターは1979年のデビュー当時、1981年にトップ選手に上り詰めたころ、1992年のプロとしての最後の年など、同氏のキャリアにおける5つの時期に基づいているとのことです。
さらにUNIT9は、過去のマッケンロー氏の試合など数百時間に及ぶ映像を分析し、AIアバター用に308種類ものショット(ボールを打つ一連の動作)を記録したそうです。つまり63歳のマッケンロー氏は、かなり若いころの自分と対戦することになりますが、AIアバターが有利とは限りません。
米TechCrunchによれば、この特別番組は7日の午後10時(東部標準時)にスポーツ専門の有料配信サービスESPN+で放送されたそうですが、ESPN+は日本での視聴はできません。どこかのタイミングで、全世界から見られるかたちでオンライン公開されることを期待したいところです。
Source:TechCrunch