デジタル
2022/5/6 15:15

Facebookが雇用凍結した「4つの要因」を発表。アップルによるiOS 14.5以降のアプリトラッキング透明性導入の影響も示唆

世界的な大手SNSのFacebookは大規模な「雇用凍結」(一時的に社員の採用を停止すること)を発表しています。この決定につき親会社のMetaが、背景には4つの要因があり、その1つがアップルによるアプリトラッキング透明性(ATT)の導入だと従業員に説明したと報じられています。

 

 

これは米Business Insiderが入手したという、Metaの最高財務責任者デイビット・ウェーナー氏が全社員に送ったメモに基づいた報道です。それによると収益の伸びの鈍化とコスト増の原因は4つあり、1つ目がATTだと語られているそうです。

 

アップルはiOS 14.5以降にATTを導入し、異なるアプリやウェブをまたいでユーザーを追跡するときには明示的な許可(追跡していいですか?とポップアップを表示)を求めることを義務づけています。これによりターゲティング広告が難しくなり、Facebookもクライアントに「わが社の広告は効果的です」と証明しにくくなっています。

 

これまでもFacebookは、自社の広告ビジネスにATTが与える影響を繰り返し訴えながらも、それは中小企業のことを心配しているからだと主張してきました。が、今回のメモではFacebookの経営につき「年初に予想したよりも収益の伸びが鈍化するなど逆風にさらされている」とした上で、原因の一つとして「iOSの変更に伴う信号の喪失(ユーザー追跡が難しくなった)」が挙げられているかっこうです。

 

もっとも、他に「ウクライナ戦争から来るビジネス上の課題」や「一般的なマクロ経済環境」および「新型コロナ禍の規制が解除されたことで、オフラインで過ごす人が増え、感染拡大前の消費パターンに戻りつつある」などの要因も並べられています。つまり、アップルのATTのせいだけにしているわけではありません。

 

ただし、Facebookのグローバル採用責任者のミランダ・カリノウスキー氏が「エンジニアリング職が大きな打撃を受ける」とのメモを出しているそうです。機械学習の上級職を除いて、ほとんどのエンジニアの採用は直ちに一時停止され、これ以上の内定は出ないだろうとも述べており、やはりATTにより(おそらくネット広告に関わる)技術職は難しい立場に置かれているようです。

 

その一方でウェーナー氏は、「iOSの変更による信号損失(ATT)を克服するための広告システムへのAIの組み込み」やメタバースの実現を通じて、成長を再加速できることをも語っています。

 

MetaのザッカーバーグCEOもアップルのプライバシー対策がビジネスに「悪影響を及ぼしている」と何度も発言しています。が、その一方でターゲティング広告に使える個人データが減ったことを補えるよう広告インフラを「再構築」しているとも明らかにしていました

 

これから数年はメタバースで利益を出すことは難しいとも予想されますが、ザッカーバーグ氏の夢を叶えるためにも、プライバシーを侵害しない範囲で広告で稼げるよう努力が注がれることになりそうです。

Source:Business Insider
via:9to5Mac