連日、猛烈な暑さが続く日本。突然やってきた本格的な夏に「もう耐えられない!」と、例年よりも早い時期にエアコンのスイッチをオンにした方も多いのでは?
しかし、エアコン本体のメンテナンスや試運転チェックを行わずに、そのまま夏の間稼働させていると「急に動かなくなった」「冷気が出なくなった」などの故障や不具合に発展してしまう可能性が……猛暑日ですら当たり前になりつつあるなか、エアコンなしで過ごすなんて、考えるだけでもゾッとしちゃいますよね?
そこでGetNavi webでは、エアコンを始めとした季節家電のメンテナンス術をパナソニック・エアマイスターの福田風子さんに取材! 3回に分けてお届けします。
第1回目は、夏が終わるまでエアコンを快適に稼働させておくために必要な「エアコン・メンテナンス術」。忙しい人でも実践できる”最低限これだけは!”というお掃除のポイントを伝授してもらいましたよ。
メンテナンスをサボると、こんなデメリットが……
――エアコンのメンテナンスや掃除をせずに使用した場合のデメリットはありますか?
福田:1年間お掃除せずにそのまま使用することが良くないのは、皆さんなんとなくわかると思うのですが、特に清掃が必要な部分が「フィルター」なんです。実は、フィルターを掃除するか否かで消費電力が25%も変わるんですよ。
――夏季の電気代で25%となると、なかなか痛手な金額です……
福田:夏場に冷房の温度を1℃上げるだけでも約10~13%の省エネになると言われています。しかし、なるべく設定温度を高めにして電気代を抑えようとしても、フィルターが汚れていたら意味がないんですよね。
――それに、汚れた空気が排出されていたら人体への影響もありますよね?
福田:そうですね。フィルターに溜まっているホコリはカビの栄養源になるので、気温が高く湿度も高い夏場はカビ菌にとって快適な環境。ホコリを取り除くだけでも、カビの発生を抑えることができます。
――フィルターの掃除をするだけでも、いろいろとメリットがあるんですね。
福田:忙しい方は、フィルターのホコリをサッと落とすだけでも効果があるので、ぜひ実践してほしいですね。クリーニング業者に依頼ができない状況でも、自分でできることを少しでもやっておくことが大切なんです。
さっそく、エアコン・メンテナンスをスタート!
① 重要! 電源プラグをチェック
まずは、エアコンの電源プラグ付近にホコリが溜まっていないかチェックします。エアコン用のコンセントは壁の高い位置にあることから、長期間プラグを差しっぱなしで過ごしてしまうことが多いですよね。しかし、差し込んだままにしておくとプラグとコンセントの隙間にホコリが溜まり、そのホコリが空気中の湿気を吸収することで、漏電し発火してしまう危険があるんだそう。「トラッキング現象といいます。湿度が高いと発生しやすいので、メンテナンス時に電源プラグを抜いたら、同時に乾いた布でホコリを拭きとっておいでください。」(福田)
② 前面パネルを取り外す
エアコンの前面パネルをパカッと外す。この時に、中に溜まっているホコリが舞ったり床に散ってしまうことがあるので、必要であれば新聞紙を敷いたり、付近の家具を覆ったりして対策を。
③ フィルターを外して、ホコリを取り除く
フィルターに溜まったホコリを取る。この際、掃除機を使って吸い取るのがオススメ。忙しい時は、写真のように積もっているホコリをハンディモップなどでサッと取り払うだけで完了。「もし、カビが生えてしまっている場合は、胞子をまき散らさないようにそっと浴室などに運び、洗い落とすといいですよ」(福田)
④ 汚れがひどい場合は、つけ置き洗いに
キッチンから出た油汚れが付着していたり、たばこのヤニの臭いや汚れが染みついている場合は、水で薄めた市販の中性洗剤でつけ置き洗いするのがベター。その後、よく洗い流し、直射日光やドライヤー乾燥は避けて、十分に乾かしましょう。「汚れの具合にもよりますが、1時間も漬けておけば充分です」(福田)
⑤ ダストボックスも定期メンテナンスを
自動掃除機能とダストボックスがあるエアコンは、フィルターに付いたホコリをブラシで自動的にかき取り、ダストボックスに溜めます。が、集めたほこりがダストボックスに溜まっていくので、定期的なお手入れをしないとホコリがギッシリに。フィルターと同様、ボックス内のホコリを掃除機で吸い込むと良いでしょう。
⑥ ボディやルーバーのホコリをふき取る
エアコンのボディやルーバー(羽板)部分などは、気づかないうちにホコリが溜まりやすい場所。固く絞った水拭き雑巾などでふき取ると良いでしょう。ただ、パネルの素材によっては傷つきやすい場合もあるので、マイクロファイバー素材のクロスなど柔らかい生地の雑巾を使うのがオススメ。空気を排出している送風路は、カビが生えてしまうことも多いので定期的にチェックして拭き取り掃除しよう。
取材時は説明を受けながらも、15分程度で作業は完了。慣れない人でもこのくらい手早く掃除できてしまうほど、簡単なお手入れ作業です。
メンテナンス後も、キレイな状態をキープするには?
――フィルターのお手入れはどのくらいの頻度で行えばいいのでしょうか?
福田:できれば、2週間に一度くらいはチェックしてほしいですね。夏場は連続で稼働させていることも多いので、ホコリが溜まりやすい。気づいたときに、ちょこっとでもお掃除してもらえたらいいな、と思います。
――ちなみに、エアコン自体の機能できれいな状態を保つ方法はありますか?
福田:今のエアコンですと「内部クリーン機能」というモードがついていることが多いので、ぜひ活用してほしいですね。これは、加熱乾燥やイオンなどを内部に充満させてカビの発生を抑制する機能のことです。実は、冷房や除湿の使用後は内部に結露水が発生して湿気が多い状態になり、カビが繁殖しやすいんですよ。
――なるほど。常に設定しておいた方が良い機能ですね。
福田:そうなんです。でも製品の出荷時に設定されていなかったり、エアコンを使い終わったら毎回お客様自身でオンにしないといけない場合が多いんです。機能に気づかず、全く活用されていないケースも……(笑)。あとは、エアコンの電源をオフにしたあとに自動で内部クリーン運転が始まるので、「アレ? 電源切れてない? 」ともう一度オフを押して、内部クリーン機能を停止させてしまっている方もよくいらっしゃいますね。
――それはもったいない……!
福田:ですから、ご自宅のエアコンの機能と設定を一度確認して頂くと良いかと思います。もし、内部クリーン機能がないエアコンの場合は、冷房や除湿運転の後に送風を3時間以上運転し、乾燥させるといいです。送風であれば3時間運転しても電気代は約1円ほどですので、エアコン内部はしっかり乾燥させることをおすすめします。ぜひ実践してみてください。
――さっそくやってみます。ありがとうございました!
次回はエアコンの室外機のメンテ術をお届けします。
まとめ/kitsune 撮影/鈴木謙介