自立する、中身の出し入れに工夫がある、整理収納できる……などなど、ペンケースの高機能化が止まらない昨今である。もちろん便利な方がいいのは当たり前だし、ペンケースの使い勝手によって作業効率が変わってくるケースも充分に考えられるだろう。
だが、ちょっと待って欲しい。ペンケース、ただ単に便利なだけで良いのだろうか?
実のところ、少し大きめの文房具店でペンケースコーナーを見てもらえば、今の疑問の意味は伝わると思う。並んでいるペンケースのうち3〜5%ぐらいが、いわゆる“ぬいぐるみペンケース”なのだ。そんなバカな! と思われるかも知れないが、実際に現場は「えっ、ここ玩具売り場じゃなくて?」というぐらい、ぬいぐるみペンケースが並んでいるのである。
つまり我々がよく知らないだけで、機能性絶無のぬいぐるみペンケースには、需要がガッツリある。便利じゃなくたって、かわいければ間違いなく売れるのである。
中でも、6月にキングジムが発売した新しいぬいぐるみペンケースは、かわいさを超大幅にアップさせるギミックを搭載。アラフィフおじさんも「やだ、欲しいかも…(トゥンク)」と思わずときめくレベルなのだ。
かわいさ倍増!? 骨格でポージング自在のペンケース「ポーズー」
ぬいぐるみペンケースとは文字通り、綿入りでフカフカしたぬいぐるみの中に文房具が収納できるようになっているもの。ベーシックな動物型から鳥、魚、昆虫、植物など種類は多いが、おしなべて機能性は皆無。とにかくかわいければそれで良し! というジャンルである。
そこへキングジムが新たに打ち出してきたのが、「<ポーズー>ペンポーチ」シリーズ。
キングジム
「ポーズー」ペンポーチ
トラ・ライオン・ネコ・パンダ・レッサーパンダ
各2250円(税別)
5種類の動物が並んでるだけでも確実にかわいいのだが、とはいえこの時点では、従来のぬいぐるみペンケースと見た目はなんら変わらない。まぁ普通にかわいいよねー、ぐらいの感じだ。
「ポーズー」が従来と違うのは、外からは見えない身体の内側。なんと背中と両手足に“骨格”を内蔵しているのである。この骨格は、フレキシブル三脚によく見られる多関節構造で、グネグネと自由に折り曲げることが可能。これによって、綿が詰まっているだけのぬいぐるみでは絶対に不可能なポーズ固定ができるようになったのだ。
単にボサーッと伸びているだけの素立ち姿と、しなやかで躍動感のあるポーズ、どちらがよりかわいいかなんて、考えるまでもないだろう。
使ってみて気付いたのは、このかわいさに思ったより機能性があるな、ということ。机の上でかわいいポージングをさせておくだけで気持ちが和むし、なんなら疲れたときのリフレッシュ・ツールとしても有効。冒頭で「機能性は絶無」なんて書いちゃったけど、ごめんなさい。かわいいの、仕事にも役立つかも。
機能性の話で言うと、ポーズをつけて、狭い机のスペースを有効活用するべく自立させておく、というのもありだ。筆記具の出し入れが効率的になるわけではないので、自立させて特に便利になるわけではないが、かわいいから良しとしたい。
また、スマホを抱え込ませることでスマホスタンドとして使えるのは、意外なメリットだ。休憩時間に動物動画を見るときは、ぜひこの姿勢を有効活用したい。
ただ、ペンケースとして筆記具を収納してしまうと、背骨の骨格を曲げることはできなくなる。つまりポーズの自由度は大幅に下がってしまうということ。考えてみれば当然なのだが、かわいさを取るかペンケース機能を取るかのトレードオフが発生してしまうのは悔しいところだ。
そこはもう「かわいいからしょうがない」と言い切るしかないのだけれど。