米マイクロソフト(以下「MS」)は、開発者がXboxゲームパスにゲームを提供することを邪魔するため、ソニーが「ブロッキング権」の代金を支払っていると主張していることが報じられています。
この主張はブラジルの経済擁護行政委員会(CADE/日本の公正取引委員会に相当)に提出された文書に書かれたものであり、MSによるゲームパブリッシャー大手アクティビジョン・ブリザード買収に関する審査の一部となっています。
なぜ買収が審査されているかといえば、Xboxプラットフォームを持つMSが巨大なゲームソフト企業を買収することが独占禁止法に違反しているかどうかを調べるためです。
さてMSがCADEに提出した書類では「ゲームパスの拡大を続けるMSの能力は、そうした成長を抑えようとするソニーの願いにより妨げられてきた」と述べられています。ソニーはゲーム開発者がゲームパスやその他の競合するサブスクリプション(定額制サービス)にコンテンツが追加されるのを防ぐため「ブロッキング権代」を開発者に支払っているとのことです。
もしもソニーがゲーム開発者に「他のサブスクにゲームを提供させない」ために追加でお金を払っているのが本当だとしても、それが問題だとは限りません。資金などを支援したゲームプラットフォームが、開発者に期限付きで競合プラットフォームに提供しない契約を結ぶのはよくあることです。
たとえばPC版『シェンムー3』がEpic Gamesストア時限独占となり、Steam版は1年遅れとなったこともありました。ゲームのパブリッシングに関する契約は複雑になりがちで、公正か不公正かをたやすく判断はできません。
MSにしても、同社のアプリストアで扱うPCゲームの販売手数料が本来は30%のところを、ストリーミングの権利を引き換えに12%に引き下げることを検討していたとの機密文書が明らかにされていました。
そもそもMSがソニーを批判しているのは、同社がアクティビジョン買収につき、『Call of Duty』(以下「CoD」。アクティビジョンが開発・販売)シリーズがかけがえのない存在であり、Xbox独占になればゲーム機の売れ行きにも影響を与えるとして、要は反対する意見をブラジル政府に出しているためです。
すっかりMSとソニーの泥仕合になった印象もありますが、CoDシリーズは全世界的に大人気シリーズのため、PS5への提供を辞められては困るというソニーの心配も理解はできそうです。
一応はMS側も「現在ある(マルチプラットフォームの)契約を守り、今後もCoDシリーズをPlayStationに提供し続けたい意向」を表明してはいますが、さらに「時限独占にしない」など譲歩を求められるかもしれません。
Had good calls this week with leaders at Sony. I confirmed our intent to honor all existing agreements upon acquisition of Activision Blizzard and our desire to keep Call of Duty on PlayStation. Sony is an important part of our industry, and we value our relationship.
— Phil Spencer (@XboxP3) January 20, 2022
Source:CADE(Word doc)
via:The Verge