11月に入り、夜になると冷え込むようになってきました。そんなときほしくなるものといえば、やっぱり燗酒ですよね。また、最近は好みのお酒を選んで燗にできる店も増えてきて、何を選ぶべきか迷うこともあるはず。そこで今回は、日本酒界の巨人として知られる「はせがわ酒店」に協力を依頼。麻布十番店のマネージャー、安藤大輔さんに燗酒にぴったりな銘柄5種を選んでいただきました。併せて一緒に食べたい料理と、家庭で手軽に燗をつける方法も教えてもらいます!
手軽に狙った温度にするならレンジでチンでもOK!
まずは、安藤さんに燗酒をおいしくつけるコツをうかがいました。
「お燗といえば『徳利に入れて湯で温めるもの』とイメージしている方が多いと思いますが、徳利のお酒をお湯で均等に温めるのはなかなか大変。便利なのは、やはり電子レンジです。やり方は、片口(一方に注ぎ口の突き出した酒器・下写真)にお酒を入れて、サランラップをしてレンジでチンするだけ! 確実に目指した温度で均等にお燗ができますよ」
レンジでチンもいいですが、「もっと風情を楽しみたい」という人はどうしたらいいですか?
「そんな方は、錫(すず)のちろり(湯せん専用の筒形の容器)を使うのがオススメ。錫は熱伝導が良いため、少量のお酒もさっと温めることができます。このように、お燗は温度の違いを楽しむのはもちろん、シチュエーションに応じてお燗の道具や酒器が一緒に楽しめるのも魅力ですね」(安藤さん)
それでは、燗のおいしいつけ方と魅力に触れたところで、以下、安藤さんが燗にオススメする銘柄を見ていきましょう!
その1
タレの焼き鳥と合わせると杯が止まらない!
高知県
土佐しらぎく ぼっちり 純米酒
(とさしらぎく ぼっちり じゅんまいしゅ)
1.8ℓ 2538円
「“ぼっちり”とは、“ちょうどいい”を意味する土佐弁。その名の通り、ちょうどいいボディの純米酒です。フルーティで口当たりが良く、ふっくらした米の味わいが楽しめます。冷やしてもおいしいですが、上燗(45℃程度)のお燗にするとまた旨い。特に、タレの焼き鳥と合わせるのがオススメです。甘いタレと鶏の脂に調和し、杯が進むこと間違いなし!」(安藤さん)
その2
熱めの燗でおでんやふろふき大根に合わせたい
高知県
安芸虎 蔵燗 特別本醸造
(あきとら くらかん とくべつほんじょうぞう)
1.8ℓ 1944円
「蔵元が燗につけておいしいお酒を追求して造った本醸造。熟成した旨みが、燗によってほんわかした心地よい味わいに変わります。燗の温度は、上燗(45℃程度)から熱燗(50℃程度)の熱めでOK。おでんやふろふき大根などの煮物と合わせて、身心ともに温まってください!」(安藤さん)
その3
上燗にすると湯豆腐や生ハムにぴったり!
山形県
山形正宗 まろら
(やまがたまさむね まろら)
720mℓ 2099円
「ワインで使われることが多いマロラクティック発酵を日本酒に取り入れた実験的なお酒。幅広い温度帯に対応し、氷を入れたロックから燗まで楽しめます。燗のオススメの温度は、優しく柔らかな味わいになる上燗(45℃程度)で、湯豆腐に合わせると最高。意外な組み合わせとして、生ハムやカモの燻製などもオススメです」(安藤さん)
その4
繊細なお刺身にも合う軽快な低アル酒
広島県
雨後の月 特別純米 山田錦
(うごのつき とくべつじゅんまい やまだにしき)
1.8ℓ 2743円 720mℓ 1371円
「アルコール度をワインと同程度の13度に抑えることで、飲みやすさ、食事との合わせやすさを追求したお酒。お燗というと、旨みたっぷりのお酒を勧められがちですが、本品のような軽快なお燗酒も使い勝手が良し。繊細なお刺身などともよく合うので、合わせる料理の幅も広がります。温度帯はぬる燗(40℃程度)から上燗(45℃程度)がオススメ」(安藤さん)
その5
魚の煮付けや鍋との相性バツグンの辛口酒
広島県
富久長 新橋の男達の酒
(ふくちょう しんばしのおやじのさけ)
1.8ℓ 2160円 720mℓ 1296円
「超辛口の純米酒。まずは一杯、キリッとした冷やで喉を潤してから、ぬる燗に変えるのがオススメ。味わいがまろやかになり、香りが華やかに広がって一味違った魅力が味わえます。オススメの温度帯はぬる燗(40℃程度)~上燗(45℃程度)。甘辛いタレの魚の煮つけや、鍋料理との相性はバツグンです!」(安藤さん)
燗酒の旨さを経験すると、寒さすら最高のおつまみに思えてくるのが不思議ですね。ぜひ今回のお酒をお供に、豊かな冬をお過ごしください。
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