コロナ禍の影響もあり、キャッシュレス決済比率は32.5%と10年前の2倍以上(※1)に伸長。関連したユニークな支払方法やポイント還元などの新サービスが続々と誕生し、インフレ時代の生活防衛策に欠かせないものとなっている。そこで、ここでは2022年にヒットしたお金にまつわるテクニックを紹介する。
※1:経済産業省「2021年のキャッシュレス決済比率」
※こちらは「GetNavi」 2023年1月号に掲載された記事を再編集したものです
2022年にヒットしたものを私たちが選びました!
【ポイント投資】 現金を使わない投資体験が初心者にウケた
ポイントを使って投資の疑似体験ができる運用や、ポイントで投資信託・株式が購入できる投資が一般化。最近はポイントをもらいながら積立投資ができるクレカ積立も誕生した。
売上: 8/10
影響: 10/10
市場開拓: 10/10
PayPayのポイント運用は、開始からおよそ2年半で利用者700万人を突破(2022年10月)。世間での投資への関心度は高く、本格的な投資への動線となった。
投資初心者のお試し体験で終わる!?
クレジット会社からすれば、貯まったポイントの処理に「投資」を使わせているだけ。いまは目新しいから注目されていますが、投資初心者のシミュレーションで終わる可能性も。(岩田さん)
クレカ利用者に手軽な投資体験を提案
ポイントを投資に回せるおトク感と、手元の現金が減らない安心感があります。一方で、ポイント付与はクレジット会社にとって身銭を切る行為なので、サービスの改悪に注意。(頼藤さん)
リスクがほとんどなく投資へのハードルが下がる
投資運用の必要性を感じつつ、手を出せなかったという人は多いはず。特に女性はリスクのないポイ活を好む傾向があるので、投資のファーストステップとしてオススメです。(丸山さん)
【その1】 貯まった楽天ポイントを有効活用できる
【ポイント投資】
2017年8月提供開始
楽天証券
ポイント投資
楽天ポイントを使って、楽天証券で投資信託や米国株式などを購入できるサービス。ポイントは1ポイント=1円で利用でき、現金との併用も可能。条件達成すれば楽天市場でのお買い物が 最大で+1倍に!(※2)
※2:投資信託、米国株式のみ対象
●対象ポイント:楽天ポイント
●対象商品:楽天証券で取り扱う投資信託や米国株式など
●対象口座:楽天証券の口座、特定口座、一般口座、NISA口座、つみたてNISA口座(ジュニアNISA口座は対象外)
【その2】 無料でSBI証券に口座を開設して資産形成に活用できる
【ポイント投資】
2022年5月提供開始
Vポイント投資
三井住友カード決済などで貯まるVポイントを使い、金額を指定して投資信託を買い付けるサービス。1ポイント=1円相当で、ポイントの利用上限が9999万9999ポイントと高い。
●対象ポイント:Vポイント
●対象商品:SBI証券で取り扱う投資信託
●対象口座:SBI証券の三井住友カード
仲介口座、特定口座、一般口座、NISA口座(※3)
※3:つみたてNISA 口座、ジュニアNISA口座除く。また、「SBI証券Vポイントサービス」の登録が必要
【Check!】 クレカ積立も急拡大中!!
【BNPL】 海外で人気の決済サービスが日本で本格始動
携帯番号とメルアドだけで後払いできる決済手段。基本、手数料無料で翌月一括払いだが、分割払いに対応するサービスもある。
売上: 6/10
影響: 10/10
市場開拓: 10/10
ネット決済画面で見かける機会は増えたが、日本での認知度はまだ低め。クレジットカードを使いたくない、持たない人を中心に普及する可能性は高い。
キャッシュレス決済のひとつとして定着しそう
クレジットカードの類似品と見られがちですが、今後はキャッシュレス多様化の申し子として定着しそうです。前払い、即時払い、後払いはクレジットカードだけじゃなくなりました。(岩田さん)
Z世代以降を中心に利用が進む可能性も
クレジットカードを利用できない人や、個人情報の入力に抵抗がある人に最適なサービス。利用限度額が低めとはいえ、支払い能力を超える可能性もある点は気を付けましょう。(頼藤さん)
【その3】 クレカや手持ちの現金がなくても後払いで買い物ができる!
【オンライン決済サービス】
2014年10月提供開始
Paidy
ペイディ
スマホがあれば、ネットショップなどで簡単に後払いができるサービス。支払いは翌月にまとめてコンビニ払いや銀行振込、口座振替などで行えばOKだ。本人確認をすれば分割の手数料無料(※5)の「3回あと払い」が利用できる。
※5:口座振替・銀行振込のみ分割手数料無料
決済は4ステップ
1
決済画面で「あと払い (ペイディ) 」を選択。メールアドレスと携帯番号を入力。
2
SMSで送信された4桁の認証コードを入力。買い物後に承諾メールが届く。
3
利用日の翌月1~3日の間に、請求金額をメールとSMSで知らせてくれる。
4
翌月10日までに、コンビニ払い、銀行振込など指定した支払い方法で決済する。
【その4】 使用すればポイントも貯まるおトクなサービス
【オンライン決済サービス】
2002年7月提供開始
ネットプロテクションズ
NP後払い
全国18万9000店舗(22年3月31日時点)で展開する、国内での後払いサービスのパイオニア。支払いは請求書発行後14日以内で、コンビニや銀行、LINE Payが利用できる。ユーザー向けに独自ポイントを付与しているのは、後払いサービスで唯一。
【健康管理ポイ活】 無理なくチャレンジできると利用者増!!
健康増進を図りながらポイントが貯まるアプリ。歩数や消費カロリーなども確認できる。
売上: 7/10
影響: 7/10
市場開拓: 8/10
「Tヘルスケア」は、リリースから半年で50万ダウンロードを突破。利用者の4割が歩く頻度・時間が増えたと回答するなど、生活習慣改善への貢献も明らかに。
“ポイントを稼ぐ”から“健康”に活用する時代へ
“ポイント=おトク(儲け)”のイメージが強かったが、そこに“健康”という付加価値が入ってきた。ポイントを稼ぐのではなく、健康づくりに活用しようという時代になったのです。(岩田さん)
“ちりつも”の精神でコツコツ貯めるのがコツ
歩くだけ、レシートを撮るだけ、と買い物をしなくてもポイントが貯まるアプリが増加。一度にもらえるポイント数は多くありませんが、日々の習慣にすれば大きく積もります。(丸山さん)
【その5】 歩くだけでdポイントが貯まる
【健康管理アプリ】
2022年4月提供開始
ALKOO for スゴ得
NTTドコモ「スゴ得コンテンツ」の歩数計アプリ。歩数・移動距離・消費カロリーがグラフで確認できるほか、毎日規定歩数達成でもれなくdポイントが貯まる。
【その6】 マイルをもらって健康管理
【健康管理アプリ】
2022年4月提供開始
Tヘルスケア
バーチャルで世界遺産ラリーを楽しみながらマイルがもらえるアプリ。6000歩ごとに設定されたスポットを通過するとマイルが貯まり、Tポイントに交換できる。
【その7】 イベント達成でポイントを獲得
【健康管理アプリ】
2022年10月提供開始
楽天ヘルスケア
健康寿命やQOLの改善を目指すアプリ。チャレンジイベント達成で楽天ポイントが抽選で当たるなど、「身体活動記録」に連動したインセンティブを用意する。
獲得可能ポイント
dポイント(期間・用途限定)
獲得方法
1日1000歩以上歩いて1ポイント、週5万歩で5ポイントなど
Tポイント(マイルから交換)
獲得方法
6000歩達成ごとにランダムでマイルが供与されるほか、ウエルシアなど対象店舗のチェックインで2マイルなど
楽天ポイント(抽選で獲得)
獲得方法
1日5000歩のチャレンジ達成で「楽天ポイント」が当たる抽選に参加できるなど
【リアルタイム米国株】 時価総額上位を占める巨大企業が揃う
閲覧が有料だった米国株のリアルタイム株価を、無料で見られるサイトが登場。コストをかけず情報が得られるように。
売上: 6/10
影響: 6/10
市場開拓: 8/10
米国株に投資する日本人は短期トレードではなく、高配当株・増配株での中長期トレードが多い傾向にある。リアルタイムな情報が投資に大きな影響を及ぼすとは考えにくい。
短中期のトレードをする中上級投資家向けサービス
ナスダック取引所から配信される気配値情報がリアルタイムで確認できるので、機動的な株式取引に生かすことができます。中上級投資家にとってはうれしいサービスですね。(頼藤さん)
【その8】 米国株の気配値情報をリアルタイムで配信
【リアルタイム株価提供サービス】
2022年6月提供開始
楽天証券
米国株オーダーブック
一般2200円/月
ナスダック取引所での取引情報を基に、上下最大30本の気配値情報がリアルタイムで確認できる。価格ごとの注文量が一覧で表示されるため、株価がどう変動するか予測しやすく、注文のタイミングをつかむのに最適だ。
【その9】 国内株・米国株を取引できるスマホアプリ
【トレーディングアプリ】
2020年3月米株対応
楽天証券
iSPEED
無料
スピーディな注文が可能なトレーディングアプリ。国内株式、米国株式に対応し、テクニカルチャートや四季報など投資情報がリアルタイムで閲覧できる。投資情報画面を自分流にアレンジできて便利。
【にゃんPay】 宅急便運賃12%割引!! “にゃん”とびっくりのおトク感が話題
売上: 6/10
影響: 9/10
市場開拓: 8/10
個数に関係なく割引となる点が魅力。クロネコメンバーズへの登録は必要だが、近所に営業所がある人や対面集荷を希望する人の間で利用は進みそう。
ニッチなところでのコード決済が流行るかも
宅急便専用のペイが出るなんて考えもしませんでした。でも、にゃんPayの動きをみると、今後ますますニッチなところでスマホ決済が流行っていきそうな気がしています。(岩田さん)
【その10】 宅配便送料の支払い時におトクに使える決済サービス
【スマホ決済サービス】
2022年9月提供開始
ヤマト運輸
にゃんPay
ヤマト運輸で決済できる、みずほ銀行のハウスコインを活用したスマホ(二次元コード)決済サービス。銀行口座からチャージした「にゃんPay」を営業所や対面集荷での宅急便発送時の支払いに使うと、運賃(送料)が12%引きになる。
利用方法
1 公式アプリをダウンロード
2 ユーザー情報/金融機関口座を登録
3 残高をチャージ(または「ちょうどチャージ」を設定)
利用できる商品・サービス
宅急便の運賃など
残高上限額
2万円
支払い・チャージ上限額
2万円/日(残高上限額を超えるチャージは不可)
支払い・チャージ手数料
無料
【スマホ保険付帯】 利用する可能性大! 実用的な付帯保険として人気
日常利用できる付帯保険へのニーズが高まり登場したスマホ保険。一般カードにも拡大中!
売上: 10/10
影響: 7/10
市場開拓: 10/10
スマホ保険を付帯するカードが増え、ここ数年で認知度もアップ。自己負担額が高めと難点はあるが、金欠時でもスマホを修理に出せる安心感が得られる。
カードを選ぶときは補償内容にも気を付けて
個人的には水濡れ補償が付いてるのがオススメ。クレジット会社やカードのグレードによって補償内容は異なるので、何が補償されているのか確認しておくといいでしょう。(岩田さん)
【その11】 ブランドやグレードによって補償限度額や内容が異なる
【Coke ON】 “1本無料”の魅力でダウンロード数が4000万超え
売上: 10/10
影響: 7/10
市場開拓: 9/10
22年9月に4000万ダウンロードを達成した人気サービス。貯まっていくスタンプ、アプリに表示されるドリンクチケットなど、利用者を楽しませる企画力が秀逸だ。
自販機飲料も値上がりしアプリのおトク度に注目
自販機で15本買うと1本無料になるのは、かなりのおトク。定額制やサブスクを利用すると実質1本90円程度で飲めるサービスもあり、多くの支持を得ているのでしょう。(丸山さん)
【その12】 スマホでドリンクを買えば15本で1本ぶん無料に!
【ポイントサービス】
2016年4月提供開始
日本コカ・コーラ
Coke ON
スマホを使って自販機でドリンクを購入できるアプリ。買うたびにスタンプが貯まり、15個集めると1本分のドリンクチケットがもらえる。現金や電子マネーで決済でき、対応決済サービスと紐付ければスタンプとポイントが貯まる。
スタンプの貯め方は3通り
1 自販機
アプリを起動し、対応自販機にスマホを近付けて接続。好きなドリンクを購入する。
2 ウォーキング
アプリのCoke ON ウォークで目標歩数を設定。目標達成するとスタンプが積算される。
3 キャンペーン
キャンペーン期間中にドリンクを購入すると通常の倍のスタンプがもらえる。
【節電プログラム】 エントリーで2000円相当を獲得でき、全家庭必見!
22年夏に、国と電力会社が実施を開始した節電協力キャンペーン。厳しい電力需給が予想される今冬の実施も決定した。参加表明で2000円相当、前年同月比で3%以上減らした家庭に1000円相当のポイントが進呈される。
売上: 7/10
影響: 8/10
市場開拓: 7/10
エントリーでの2000円相当は納得。だが、3%の節電で1000円相当、節電要請を受けての節電は0.1kWhごとに0.5ポイントと還元率の魅力は小さめ。
ちょっとした工夫で無理なく節電が実現
1つの部屋で暖房・照明・テレビなどを共有する“ウォームシェア”、羽織もの・靴下・スリッパで身体を温める“ウォームビズ”などが有効。工夫次第で無理なく節電が行えます。(丸山さん)
【その13】 2000円相当+節電で1000円相当のポイントをゲット!
1 国のプログラム供給ぶん
+
2 電力会社ごとの特典ポイント をGet!!
auでんき利用の場合
auでんきなどKDDI系の電気サービス利用者が対象。auでんきの専用サイトでau IDを使ってエントリーするだけで、全員に「エントリー特典」が、要請を受け節電に成功すると「チャレンジ成功特典」が、Pontaポイントで付与される。
【特典1】 節電チャレンジプログラムにエントリーして2000Pontaポイント
auでんきの「節電チャレンジプログラム」にエントリーすると、翌月に2000ポイントが付与。使いやすいPontaポイントなのもうれしい。
【特典2】 節電チャレンジを成功させて0.5Pontaポイント(0.1kWh節電ごと)
auでんきから利用者にメール等で節電要請を通知。指定時間に節電を実行すると、節電電力量0.1kWhごとに0.5ポイントがもらえる。(※)
※:特典は今後変更になる可能性がある
【自治体キャッシュレスキャンペーン】 予算を早々に達成し、早期終了する自治体も続々
地域経済の活性化、キャッシュレス普及などを目的に、各地の自治体が実施するキャンペーン。利用金額に応じて自治体独自のポイントが付与され、次回の買い物に使える。居住者以外でも利用できるケースがほとんど。
売上: 8/10
影響: 7/10
市場開拓: 7/10
国の「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」を活用するだけに、抜群のおトク度。コード決済が多く、スマホ非保有者への恩恵は限定的だ。
通勤通学エリアも確認し取りこぼしを防ぐ
地域の加盟店で利用するだけでポイントがもらえるのは、家計にとって大助かり。利用者を限定しないケースが多く、通勤通学で利用しているエリアなら利用価値も高まります。(丸山さん)
【その14】 付与上限や還元率の高さで話題になった自治体はココ!
文/卯月 鮎、海野大介、佐伯尚子、中山秀明、平島憲一郎、ブルーラグーン、湯浅顕人、撮影/小田駿一、島本一男(BAARL)、鈴木謙介